かぐや姫
森唄 鶴人
かぐや姫
私はもう結婚してから15年以上経つ。私も妻も仕事を一生懸命にしてきたので、お金に困ったことはない。幸せな結婚生活を送ってきたと思う。
しかし、どんなにお金があっても、どんなに妻と愛し合っていてもどうしても私たちのあいだに子供はできなかった。
ある日、妻との夜ご飯の帰り、子どもと3人で手を繋いで歩いている家族と道ですれ違った。その時の妻の顔を見て
「養子を迎えないか?」
と提案してみた。
それから2人で長い時間考え、1度施設の子供を見に行くことにした。
施設にを見学し、子供たちの様子をみると妻と私はどうしようもないくらいの気持ちになった。
数カ月経ちそこの施設から月乃という子供を養子として迎えることにした。
子供のいる生活はとても幸せだった。2人は「まるで月から来たように可愛い子だ」と言いたっぷりの愛情をそそぎ、月乃はすくすく育ってもう大学も卒業し就職していた。ちょうど育ててから20年経ったあたりで、望月という彼氏を紹介された。
あぁもうそんな年齢か。結婚してしまうのか…。という私の表情を見て、月乃は少し寂しそうな顔をしたが、すぐに決意を持った表情で私に
「親のいなかった私の親になってくれて、ありがとうございました。これからもずっと親でいてください。」
と言った。
月乃は強い。大丈夫だ。
望月君の所へ旅立つ月乃を私はこころよく送り出した。
かぐや姫 森唄 鶴人 @morinana
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