第11話 僕と幼馴染と夏祭り―前編―

〖夏休み最終日―01―〗


………今日で夏休みも終わりかぁ……!

去年の夏休みよりかは全然楽しくて、最高だったぜ………!時間を確認する。午後5時か……。

そろそろ行くか………。

そういって、僕は手短に身支度を済ませて家を出た。向かうのはすぐ隣の家………夢乃の家だ。

「あ、柊太!今から私も行こうとしてたんだっ!」

丁度、隣の家の玄関から夢乃がでてきた。

…………可愛えぇ!この前の水着といい、夢乃はマジでなんでも似合うな!!浴衣をひらりと振り、くるっと回る。

「……どう?似合ってる、かな?」

「あぁ!似合いすぎて怖いぐらいだ。可愛いよ」

「あ、ありがとぅ………やっぱり、恥ずかしいな」

赤面した夢乃もまた可愛い!!

「は、花火が始まっちゃうよ!早く行こっ」

そういって、照れながらスタスタと行ってしまった……………。行動の1つ1つが可愛さに満ち溢れているよ…………。


〖夏休み最終日―02―〗


「ちょっと、早く着きすぎちゃったね………屋台でも回ってようよっ!!」

「そうだな!」

ふぅ………。どうにか緊張の糸は切れてくれた様だ。普通に会話は出来る。

「柊太!射的やろ!!」

「おう!!」

夢乃は…………人形を狙っているな。1発ずつ慎重に狙っている。頑張れ!もう少しだ!!………あ、最後の1発になってしまった…………。

「…………よし、夢乃、僕に任せてみろ」

「………うんっ!お願い、柊太!!」

外す訳にはいかないな、こりゃ。僕は狙いを定めて………今だっ!!

"コツン”と音がした…………が、倒れたのはその人形ではなく、横に置いてあったミサンガがかけてある台だった。

僕は店員から景品を貰うと、夢乃に渡した………。

「………………すまん、これ、景品だ……」

「………ううん、柊太がとってくれたものだもん!大事にするねっ!!ありがとう!」

………うぅ、この笑顔に救われるよ……。


《夏休み最終日―03―》


「………ねぇ、なんでこの人がいるの?」

「…………すまん、それは僕が聞きたい」

「………ダメかな、しゅー君?…………」

……いや、いや!!なんでいるんですか?!

貴方前回、気持ちよく終わったんじゃないの?!

「………ごめんね、私、いらないよね…………」

………!!うっ、………ずるいぞ…………。

「別に、そんな訳じゃないけどさぁ……………」

「………柊太、弱い………!!」

「すみません、すみません、すみませんでした!!

………コホン…………」

僕はわざとらしく咳払いをし、いったん呼吸を整える。うん、大丈夫。何が来たって怖くない。

「ごめんな、時坂。僕には夢乃g……………」

「……ケリは、つけた。また、ゼロからでもいい。だから、今度こそしゅー君を全力で振り向かせる……もう、後悔は、したくないから………っ!」

毎回毎回、とっても良いシーンなんだよ?

でもね?何故、毎回その膨らみを押しつけてくるんだよ?!浴衣越しでも破壊力が分かるぜ………恐らく戦闘力は100万をゆうに超えている………!!

「………別に構わないが、僕は夢乃の事が好きだってことは変わらないと思うぞ」

「………大丈夫!必ず、夢乃さんを超える!」

膨らみの方はもう、超えているけど………。

「…………だから、一緒に行動しても良い?」

「………夢乃、良いか?」

「………柊太が言うならしょうがないなぁ………」

………ありがとう、夢乃。時坂の気持ちを汲み取ってくれて。

………そして、更に美少女2人を連れて歩くという、罰が僕にのしかかった…………。いや、かなり嬉しい罰なんだけど。周りの視線は冷たいが。

…………2人とも、手は繋ぐのやめようぜ?僕がどっかの魔王みたいじゃないか………。


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