第9話 僕と幼馴染とReviving memory ―前編―
〖夏休み―01―〗
「暑いねー、柊太」
「あぁ、暑いな………マジでどうなってんだよ、これ。日本崩壊も近いかもな………」
いや、かなりマジで。
「私は世界が無くなっても、ずっと柊太と一緒だよ?」
……………。
「お、おう………そう言って貰えると嬉しいよ…」
なんで?!なんで、こんな恥ずかしいセリフを平気で言えるんだよ!!キュンって、きちまったよ!!
………なんか、更に体が暑くなってきた………。
「夢乃、何が欲しい?奢るぞ」
僕は近くにあった自動販売機に歩み寄る。どのジュースもキンキンに冷えていそうだ。
「う〜ん…………柊太が選んで?」
「いいよ、夢乃が選べよ。好きな物でいいんだぞ?」
「私は、柊太が選んでくれたものなら、なんだって飲むから!!」
…………。いちいちダメなんだよ……!!可愛すぎるんだって!
僕は、この暑さをふっとばすかのような炭酸系のサイダーを選んだ。
「サイダーで大丈夫か?」
「うん!!ありがとっ!!」
ふぅ…………、どうにかなったな。すると、隣でサイダーを飲んでいる夢乃が僕の方に視線を向ける。
「ねぇ、柊太。せっかくの夏休みだしさ、今度、海に行かない?」
「う、海?!……………構わないけど」
ダメだ!全然よくない!!いや、ダメってのは僕がカナヅチだからとかではなく…………
「やったーっ!!新しい水着買ったんだ!楽しみだなぁーーっ!!」
コレだよ………!!
ねぇ、分かる?!分かって?!めっちゃ可愛い夢乃に水着を着させるんだぞ?どうなるか考えただけで恐ろしいぜ…………。
「じゃあ、今度の土曜と日曜でいい?」
「いいぞ………なぁ、夢乃………」
「なに?」
「…………やっぱなんでもないわ」
……………可愛すぎずに来てくれ!!そうでないと
、僕の精神、理性がもちません!!
………なんて、言えるはずがなかった………。
〖夏休み―02―〗
「うぉっ!!綺麗な海だなぁ………透き通っているぞ」
「うわーっ!!ホントに綺麗だねっ!!早く泳ぎたいな!!」
「そうね、私も早く泳ぎたい」
…………??今、ここにいるはずがない人の声が聞こえた。怖いぞ?……じゃなくて!!
「あのー、なんで時坂さんがいるのでしょうか?」
「偶然よ」
「なんでっ!!私、この人誘ってないよ?!」
「………まぁ、いい。………変なことするんじゃねぇぞ」
「えぇ、もちろん。わかっているわ」
………心底不安でたまらないぜ……。そして、このまま僕達の激動の2日間は幕を開けた。
〖夏休み―03―〗
「じゃあ、宿に荷物を置いて海で集合にしよう」
「柊太、水着で…………行くの?」
「あぁ…………僕はそうするぞ。海だし……」
「じゃあ、私も!!…………時坂さんは、どうするの?」
「私も水着に着替える。……楽しみにしててね、影里君♪」
こいつ………キャラがよく分からん。まぁ、こんな美少女2人の水着姿を拝めるというのはまるでラブコメの主人公みたいだけど…………。
〖夏休み―04―〗
………大丈夫か?少し遅いな……。まぁ、女子だから、着替えるのに戸惑っているのか?
「………し、柊太!!おま、たせ…………」
「影里君、どうかしら?」
声が聞こえた方向に振り向くと、そこには……ぶはっ!!!
「し、柊太?!大丈夫?」
「あ、あぁ………どうにか」
ダメ!!近くに来ないでくれぇ!!直視するなんて、とてもじゃないが無理だ!!
夢乃の水着はすごく夢乃らしさが出ている。元気さ、可憐さをさらに引き立たせていて、これまた、とにかく可愛いんだよ………。
そして、時坂の方はというと………なんか、デカいのが強調されている…………。
「……間違っても影里君、襲わないでね?」
「襲わないよ?!それぐらいの理性はあるよ?!」
半分嘘です。
「じゃ、じゃあ、行くか……」
「よーし!!思いっきり遊ぶぞーっ!!」
「…………影里君、襲わないでね?」
「ねぇ、いつまでそのネタひきずるの?!」
〖夏休み―05―〗
み、みづらぁい!!
「やったなーっ?えいっ!!」
やめてくれぇ!いちいち揺れてるんだよ、夢乃さん!!見ちゃダメなのはわかってるけど………健全な男子高校生には辛すぎるっ!
まぁ、流石にやられてばかりでは男として、どうかと思うので水をかけ返す。……あ、ダメだ。更に揺れる……。どうすりゃいいんだよ、これ………。
「ねぇ、影里君。私の事も見てる?」
お前は無理だよ!!見ちまうとすぐにでも鼻血がでそうなんだよ!わかった、アレだ。美少女×水着ってつまりは、混ぜるな危険ってやつだよ。
「……ねぇ!影里君!!」
時坂さんが僕に身を寄せてくる。当たってる、当たってる!もうちょい自分の体は大事にしようよ?!
………でも、柔らかいな、オイ。
「わ、分かったから!離れてくれ!!」
そう言うと、大人しく引き下がってくれた。やけに素直だな。いや、いつも素直なんだけど。
そう、この油断が命とりだった。
「もう!!なにしてるの?!柊太にさりげなくアピールしてさ!柊太は私だけのものなんだから!!」
ありがたい……!嬉しい……!けどな?柔らかいものを押し当てられながらいわれても、感動しないんだよ!!もう、寿命が100年くらい縮んだ気がするぞ………。…………僕、それ死んでね?
「………そうだ、柊太!日焼け止め……塗って、くれる?」
……………は?
つまりそれは僕に、その、夢乃の身体を触れと?
「………影里君。私にも、塗ってくれるかしら?」
…………ふぅ。本格的に襲っちゃうかもだぜ☆
〖夏休み―06―〗
「じゃ、じゃあ………いくぞ?」
「………うん、いいよっ……!!」
僕達はパラソルの下の日陰にやってきた。そして、今、僕の手には日焼け止めクリームが握られていて。
僕はまず、夢乃の背中から塗り始める。綺麗な、白い肌だ。それでいて、ちゃんと体温も感じられて。
「…………ぅん。気持ちいいよ、柊太ぁ」
「……お、おう」
僕は人間として間違っていないのだろうか?
不安になってくる………。
「その………次は太もものあたりをお願いぃ……」
「………了解…」
…………はりのある太ももへと僕は手を伸ばす。………柔らかいなぁ………。
「……ぅん……いいよぉ…気持ちいい………」
……………ダメだ。切り上げよう。理性がもたん。
「…………よし!夢乃、この位でいいだろ?これだけ塗れば日焼けなんてしないよ。うん」
僕の心臓はもう、焼けまくってるけどな!!
「うん!ありがとっ!!」(本当はもうちょっとして欲しかったけど………柊太も男の子だもんね!)
「…………あれ?時坂さんは?どこにいったの?」
「そういえば、いなくなってるな。まぁ、宿にでも戻ったんだろう」
「そうだよね!!じゃあ、また遊ぼっか!」
「まだ………遊ぶのか?」
「私達の海は、まだ始まったばかりだよーーっ!」
ふぅ………後1日とちょっと………。耐えられるのか?僕は。このとんでもない可愛いさに――――。
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