第8話 僕と幼馴染と初恋の人

《初恋》


そういえば柊太には初恋の相手がいるのかなぁ……

で、でも、もしいたとしても今は私と付き合っているから関係ないよねっ!!………そうとはいっても、気になるなぁ………。よし、聞いてみよう!!

「あのさ………柊太の初恋の人って誰かいるの?」

「…………いない」(いるとは思うけど、思い出せねぇ………)

「本当に?」

「あ、あぁ…………」

そうなんだ、いないって事は私が初恋の人って訳だよね?…………嬉しい………!!

「……………………」(やっべーーっ!!いるとは思うんだけど、思い出せねぇよ!!でも、思い出したら思い出したで夢乃に悪い気がする……。そして、最近周りからの視線がとてつもなく痛い気がする………)

「ねぇ、影里君。貴方、初恋の相手は本当にいないのかしら?」

むっ!確か、この人は影から柊太のハートを射抜こうとしている狙撃者T!!………負ける訳にはいかない………っ!絶対に柊太を守ってみせるんだから!!

「な、何を言っているんだ!いる訳………ない、だろ?」

………かすってしまった!柊太をここまで動揺させるなんて…………恐るべし。………動揺したってことは、やっぱりいるんだよね…………。

「柊太!!いないんじゃ………ないの?」

「あぁ、いないよ!!うん、いない!」(よし、自分に暗示をかけるとしよう……)

「本当に?よく、思い出してみて?あの、林間学校を」

「うっ!!い、いるわけねぇだろ!!てか、なんで僕が林間学校に行ったとか、小6の時の僕を知ってるんだよ!!」

「それは……………いずれ分かるわ。時が経てば必ず」

「…………何言ってんだよ、お前」(当初はさん付けとか、敬語を使っていたが同じクラスになり、数ヶ月が経った今はこうして普通に話しているんだ……)

も、もぉーーっ!!何をしているの、私はぁ?!このままじゃあ柊太の心が動くかもしれないよぉ!!

………どうにかせねば!!

「柊太!そんなことより、今を楽しも!!」

「影里君、気にならない?4年前、何があったのかを」

つ、つよぃ!!なんなの、この人?!まさか、私に敵意を抱いていて、ワザとやっているんじゃ……

こっちも仕掛けなきゃ!!………まずはっ!

「柊太ーーーっ!!」

「えぇぇぇ?!」

思いっきり抱きつく作戦!!どう……かな?

「夢乃………どうしたんだ?大丈夫か?」

大丈夫かって聞きたいのは私の方だよーーっ!!

「だ、だいじょーーぶっ!!オールオッケーだよ!」

「………そ、そうか」(………全く大丈夫な感じがしないんだが……)

「………で?影里君。どうなの?気になるの?」

貴方は来ないでーーーっ!!むーぅ!つよぃ……!

「柊太!…………私と、キスして?」

「………ホントに大丈夫か?」

「いいから、早く!!」

「…………お、おう」(どうしちまったんだ?夢乃の奴。ほんとに心配するけど、まぁ、キスなら……てか、本当に周りの視線が痛い………)

…………いざ、するとなると恥ずかしいな……っ!

周りも見てるし………もう、バカップルみたいだよぉ!

「……………んっ」

………柊太の唇……柔らかいなぁ……って!!私は何を考えてっ!?

「…………影里君。4年前、実は………」

今、キスの最中だよーーっ?!くっ!こうなったら!!

「………んっ!!」

私は腕を柊太の肩の辺りにのばして、抱き寄せる!

背中……温かいなぁ………。

「ふ、ふぅめぇのぉ?!」

多分、夢乃って言ったんだと思う……。

「………この話の続きはまた今度ね、影里君。楽しみにしててね」

言い終えて教室を出ていった時坂さんを確認すると、私は柊太の唇から離れる。

…………長いキスだったけど、幸せだったなぁ…。

「……………なんか、ごめんね?柊太………」

「いや、気にしてねーよ。大丈夫だ」(周りの視線はめっちゃ気にしてたけどな!!)

良かった………でも、また来るとか言ってたなぁ。

絶対に……柊太は誰にも渡さないんだからっ!!

………でも、なんだかんだ私も気になるんだよなぁ……柊太の初恋の相手がもしいるのなら。

……………ん?これは………?

私は床に落ちていた1枚の写真を拾う。

確か、さっき抱きつけた衝動で柊太のポケットから、落ちたものだ。

そこに写っていたのは―――――――――。












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