第3話 僕と幼馴染と中間考査

「中間考査―前夜―」

「……ん?夢乃からメール?こんな時間に?」

今日は中間考査前夜。高校に入ると一気に科目数が増えて中学の時の何倍も勉強しなくては理想の点数がとれないようだ………。

"柊太ーーっ!!中間の範囲を教えてー!範囲表無くしちゃった!!”

………ここに猛者がいたぜ。

"いいぞ、ちょっと待っててくれ”

"ありがとうーーっ!!私、今から頑張るよっ!”

僕は席を立ち、範囲表を探し始める。………お、あった、あった。これを、スマホで撮って夢乃に送った。

"どーぞ、てか、明日だぞ?平気なのか?”

すぐに返信が来る。

"うん!!私の一夜漬け、けっこー当たるんだよ!!”

"そっか、まぁ、がんばれ”

"そういう柊太はテスト平気なの?”

……………。

"そこそこだ。まぁ、どうにかするさ。さて、明日はテストだし、互いに頑張ろうな”

"うん!!がんばろーねっ!!”

…………、テスト前夜…だよな?


「中間考査―当日―」

「ふぅ………やべぇ、疲れたぜ……」

いったい今日は何時間寝れたのだろうか?まぁ、記憶にはちゃんと入ってるし、まぁ、大丈夫だろう。

考えているうちに学校についた。………くっ、ふ、腹痛がぁっ!!夜、お腹が空いて食べたのがここで毒にぃ!

「おはよう、影里君」

「お、おはよう時坂さん……」

僕は静かに自席にすわる。……始まるまで、ノートでも見てるか。

「か、影里君、あの……」

「は、はい?」

恐らく、時坂さんが話そうとしているのはこの前の例の件のことだろう。だが、やめてくれ!こんな場所でその話題をださないでくれーーっ!!

「その、この前の件のことなのだけれど……」

と、時坂さんが何か言いかけたその時、何故かいつもの元気オーラを感知した。

「柊太ーーっ!!おっはよー!って、な、なんの話しをしていたの?!」

「ゆ、夢乃!?え、えーっと、これは、その……」

「今回の範囲の復習をしていたのよ。私が教えていたの、ね?」

「あ、あぁ、そうなんだ!全く分からなくてさぁ

!!」

「そ、それならまぁ、いいか………」

ふぅ、まさか時坂さんが助け舟を出してくれるなんてな……、助かったぜ。

「よーし、お前ら、座れーっ!」

よし、戦いの幕開けだっ!!…………結局、ノート見れなかったじゃねぇか…。


そして、テストが始まった。それなりに問題は解けている感じがするものの、時間が過ぎるにつれてお腹が大合唱をおこす。……っ!本気でやばい……。

流石に我慢していると、いつか気を失いそうなので、僕は次の休み時間にトイレへ駆け込んだ。


「中間考査―帰り道で―」

もう、当然の様に男友達からの誘いを断り、夢乃と帰り道を歩いている。テストが終わって、二人とも疲れているのか、会話が続かない。

と、そこで、夢乃が僕の手に触れてきた。

「……………っ!!ゆ、夢乃、さん?」

「柊太、私、頑張ったよ?ご褒美が欲しいなぁ~!」

「ジュース1本奢ります」

「却下!!もう!!で、デートしよう……よ…」

「へ?」

「で、デートしようよ。私とじゃ、…………嫌、かな?」

「その、僕なんかとでいいのか?もっといい奴もいるだろう」

「も、もう!柊太だから……柊太だから、誘ったんだよ!!そのくらい……気づいてよ……バカ…」

…………!!ぼ、僕、だから?やっぱりこれって脈ありってことなのだろうか?

「………ごめん、そして………」

僕は立ち止まる。右を歩いている夕日に染まる朱色の顔をした夢乃の方を見て、僕は言った。

「僕からも、お願いします。こんな僕ですが、一緒にデートに行ってください!」

「…………っ!!…はい、是非!!」

こうして、僕と夢乃が今度、デートをすることが決まったのだ。

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