第2話 僕と幼馴染と………
「帰宅」
「ふぅ、疲れた……。てか、早く支度しなきゃ夢乃が来るのか……ホント、休む暇もないな」
僕は一人っ子なので、家には僕しかいない。大体、両親は旅行にいくので、自分で身の回りのことは出来るようになった。僕が少しくつろいでいると、インターホンが鳴った。恐らく夢乃だろう。
「はーい、影里です」
「柊太ーっ!!夢乃だよ!!早く入らせて!」
「わかった、今行くから、まずは落ち着いてくれ」
そう言ってインターホンをきると、適当に普段着に着替えて玄関に向かう。………なんか、玄関ごしでも、元気オーラを感じるんだが。
「どーぞ、お入りくださ…って、のわっ?!」
「柊太ーーーっ!!」
うわっ!めっちゃいい匂いだ。え?女の子ってみんなこんなにも良い香りを発することができるの?なにそれ、欲しい。
「ゆ、夢乃……わかった、まずは離れてくれ」
「う、うん!」(少し過激すぎたかなぁ……)
ふぅ、思わずドキってしちまったじゃねぇか…。
「まぁ、上がってくれ」
「はーい!!おじゃましまーっす!!」
本当に僕は今日、理性を保てるのだろうか?
「話題」
「………………」
「………………」
…………なんだ、この状況!!おい、どうした夢乃!!いつもあんな元気に喋ってくれるじゃないか!!何故、今日に限って黙り込むんだよぉ!!
はっ!!そうか、なんだかんだ、異性の部屋に入って、流石の夢乃でも恥ずかしいのか?まぁ、夢乃も普通の女の子だから、そうなのか。(可愛さは普通じゃないけど!!)
「ね、ねぇ、柊太」
「ひゃ、ひゃあい!?」
やべ、思わず変な声が出ちまった!!引かれてねーよな?
「その、なんか、喋ってよ」
「と、いうと?」
「わ、私だって……少しは恥ずかしいんだよ?普通の男の子じゃなくて、柊太の部屋だから……」
「え?それって、どういう……」
「な、なんでもないっ!!そ、そうだ、なんか話題考えてよ!」
うわっ!難しいのが来たな。話題かぁ……。ここは、攻めていくか?
「その、さ…………」
「う、うん、なに?」
「夢乃は、好きな人とかいるのか?」
「ひゃう!?しゅ、しゅきな人ぉ?!」(今、私の目の前にいます!って言いたいよぉ!!………ダメだ、恥ずかしすぎるぅ!)
「いや、なんか気になってさ。ほら、僕達幼馴染だろ?なのに、互いのそういう事あんま、知らないなって………別に、答えたくないなら、無理しなくていいけど」
「い、いるよ、好きな人………」
「い、いるのか………」
「え?」(なんで、そんなに残念そうな顔してるの?もしかして、私の事………」
「で、でも、柊太には教えてあげないもんね!!」
「なんでだよぉ!教えてくれよぉ!」
「だーめ!でも、いつか教えたげる。私の大好きな人をね」
やばい、可愛い。
「命令ゲーム01」
「じゃあ、柊太!ゲームしよ!ゲーム!!命令ゲーム!!」
「命令ゲーム………懐かしいな、よし、やるか」
命令ゲームというのは、ほんとに単純。ジャンケンをして、勝った方が相手になんでも、命令できるのだ。なんでもってとこがとても魅力的なゲーム。
「よし、ジャーン、ケーン、ポイ!!」
「ポイっ!!」
………負けた。初手で負けるのは痛い。
「じゃあ…………膝枕」
「え?そのくらいなら、いいけど」
そう言って、僕が正座をしようとすると、夢乃は赤面して首をふった。
「ち、違うの!!柊太が、きて?」
「……………は?」
それって、僕にとってはとっても得なんだけど。
「いいよ、柊太」
「じゃ、じゃあ、失礼します」
僕は、夢乃の膝に頭を置く。柔らかいけど、張りのある肌。そして、またもや、夢乃特有の良い香り。
………軽く、幸せ。
しばらく、極楽に浸っていると我を取り戻した僕が夢乃に言う。
「あの、夢乃?いつまでなんだ?」
「もう少し………」
夢乃の表情を観て、ボクは頷いた。
「あぁ、了解……」
「命令ゲーム02」
「よし、今度は僕の番だな!!」
この命令ゲームの良い所その2は負けても、結局、勝った人の次に命令が出来るという点。
「そうだな、夢乃の手料理をご馳走してくれないか?」
「え?そんなので、いいの?私の手料理なんかで」
「あぁ、僕は夢乃の手料理が食べたいんだ」
「わかった………!!頑張るっ!!」
リズミカルなトントンという音が台所で響く。甘い匂い……とても、美味しいものができていそうだ。
しばらくして、料理が運ばれてきた。色鮮やかなサラダ。鮭の塩焼きに海鮮汁。とても、美味しそうだ。
「美味そう………た、食べていいか!?」
「うん、いいよっ!!今回は結構自信作なんだ!」
口に入れる。……………。
「なんだ、これ……………っ!う、美味すぎる!!夢乃、毎日僕の家にきてごはんを作ってくれ!!いや、いっそ、ずっと、僕の家に!―――――ぁ」
「柊太、それってつまり―――?」
「じょ、冗談だよ!!でも、ホントに美味しいよ!!最っ高だ!!」
「…………ありがと、嬉しいな。柊太に喜んでもらえて」
本格的に嫁に迎えたくなってきたぜ…………。
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