僕の幼馴染が可愛すぎる件について
雪境 ユキ
第1話 僕と幼馴染と入学式
「入学式―登校編―」
今日から僕は高校1年生。それなりの成績で都でも上位の私立高校に進学。そして、これから僕は平和な高校生活を送るのだ―――、送る、はずだった…
「同じ高校だなんて、奇遇だね、柊太!」
「どこの高校に行くか中学の時に聞いてきた幼馴染の天咲 夢乃さん、おはよう」
「そ、そんな事もあったかもね!でも、それは過去のことなんだよ!前を向いて歩こう!って、ふぎゃ!!」
思いっきり夢乃は、電柱に顔面からぶつかった。……やれやれ、しょうがない奴だな。
「大丈夫か?全く、お前は昔から変わってないな」
しゃがみこんで顔の辺りを抑えている夢乃に手をさしのべる。夢乃は涙目になりながらも、笑顔で答えてくれた。
「ありがとう、柊太。なんだか、私、元気になったよ!!」
「……お前はいつも元気だろ」
「…………元気なのは、柊太と居るから、話してるからだよ?」
「ん?何か言ったか?すまん、聞き取れなかった」
……嘘だ。本当は聞こえていた。でも、僕はそれを隠すように誤魔化した。紅潮する顔を夢乃に見られるわけにはいかない。……やばい、夢乃さん、可愛いすぎる。
「い、いいの!なんでも、ない!……でも、いつか、話すよ。絶対に」
おいマジか、告白宣言されちゃったよ。でも、その時はちゃんと、真面目に返事を返さなきゃいけないな。
「入学式―教室編―」
始業式を終え各自、自分の教室へ入る。僕は1―Aだった。教室に入り、自席に着く。すると、隣の席には何故か――――
「え?影里君?なんで、貴方が、ここに………?」
「……だ、誰ですか?なんで僕の名前知ってるんですか?」
「覚えて、ないの?………ファーストキスの相手なのに……」
は?今、この人はなんと?ファーストキス?僕が?この人と?いや、確かに超絶美少女なんだけど。だからこそありえん。超絶美少女なら、覚えているはずだ。そこで、後ろから声が聞こえた。よく知る声。今日も朝、一緒に登校してきた、
「う、嘘?柊太、ファーストキス、してたの?この人と」
夢乃だった。
「入学式―修羅場編―」
「い、いや、まて夢乃!!僕はまず、この人を覚えていないし、ファーストキスをした覚えなんてこれっぽっちもないんだ!!」
「ほ、ほんと?」
「あぁ、嘘じゃない!本当だ!」
僕はとりあえず便宜をはかる。本当に、覚えなんてないんだ。夢乃が、少しずつ、笑顔を取り戻す。
………そして、問題はこれからだ。
「あの、貴方は、本当に僕とキスをしたのですか?同じ苗字で、似てる人とかじゃなくて、僕と?」
僕は慎重に言葉を選んでいく。少しでもズレたことを言えば、また、夢乃を悲しませることになる。
「えぇ、本当に影里君、あなたとよ。私はあの日を忘れないわ」
「…………すいません、僕、本当に覚えていないんです。ごめんなさい」
「そうよね、だって、小学6年生の時だなんて、もう忘れてしまっているわよね………ごめんなさい」
「………………ぁ」
そうだ、思い出してしまった。小学6年の時の林間学校。その日、僕は―――――、
「とにかく、貴方がキスをしていようが、私はそれより前からずーーっと、柊太と一緒にいたんだから!!お、お風呂にだって、一緒に入ってたんだからね!!」
ちょ、夢乃さん、それはかんぜんにアウトォーっ!
ま、やっぱ、可愛いからセーフだわ。
「入学式―下校編―」
あの後、先生からの明日の指示などを受け、かなり早く下校することになった。僕は、男友達から、一緒に帰ろうと誘われたが、断ってしまった。
だって―――――、
「ねぇ、ねぇ、柊太!!帰ったら柊太の家に行っていい?けっこー、いってないから、久々にいきたいんだー!」
こんなにも可愛い、幼馴染がいるのだから。
「あぁ、確か今日はオヤジとおふくろは旅行行ってるから、家に誰もいないな………別に、暇だから、いいぞ」
「やったーー!!じゃあ、家で何する?」
「寝る」(眠いからな)
「え、ね、寝るの?」(添い寝なんて、流石に恥ずかしぃよぉ)
「ね、寝るのはダメ!!もうちょっと、大人になってからだよ………」
「睡眠するなと?!こ、殺す気かよ!!」
「え?あ、そ、そういうこと!!な、なんだ、焦ったよ!!」
まさか、こいつ、僕と添い寝することとか考えてたんじゃあるまいな…………。
「とりあえず、早く帰ろうよ!なんだか、走りたくなってきちゃった!!」
「そ、そうだな!!走らなきゃな!!あ、アハハ!」
………何してんだろ、僕。
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