005 鶏を喰う女達のいる風景

 どのピースをどう合わせるととり一羽分になるかを話し合いながら、二十歳過ぎの女が二人、フライドチキンをかじっている。

 どれが羽根なのか脚なのかを、上司の文句を言うのと同じ低い声音と男言葉で話し合う。

 多分口にする言葉の意味はさして重要ではなく、片方の言い出したことにもう片方が等しいテンションで乗ることそれ自体が意義なのだろうと思う。


 共有することが勝利条件である。

 より正確に解釈・理解することではなく。

 意味よりも状態の生き物か。


 私は鶏の頭について考える。

 それから二人の女が双子のように良く似た化粧をしていることに気付く。

 動物のようだ。

 しかし、類似集団に溶け込むことは、実効性の高い防御だ。

 あれらは私より上位の生物である。




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