困難はいつも連続で、しかしてそうと解らない様に、二番目以降は一番目の背に隠れてやって来る。
作者より: 二週間以上間が在って申し訳ない。
両腕がドロリとした何かを噛み潰した感触に蝕まれる。
飛び散るドロッとした黒い血と肉。
気色と気味が悪い。
洞窟の地面に黒い重油の様な何かが飛び散る。
後には私と呆然としたアモンだけ。
「終わった……………のかな?」
気配を探る。
矢張り気配は二つ。
二つ。
‼
「テミスちゃん!テミスちゃん何処⁉」
テミスちゃんがさっき迄隠れていた場所へ駆け寄ると、そこにはドロリとした液体が、ナメクジが這った跡みたいに地上へ続いていた。
「クソ!やられた!」
アイツ、私とやり合ってる間にテミスちゃんの方を狙ってたんだ!
私よりも仕留めやすいテミスちゃんを狙った!
……………違う。
コイツは思ったよりも狡猾。
足手まといになるテミスちゃんをワザワザ攫って行った…………つまり、目的は人質!
「あのメガクロォォぉ!今度こそとっ捕まえてかば焼きにしt……おっと……。」
地上へ続く道を駆け出そうとして………後ろからの強風でつんのめりかけた。
「ちょ………………何?」
空虚な洞窟に私の声が響き渡った。
「避難民、全員の安全圏避難完了を確認しました!」
その場全員の頭にそんな声が響き渡る。
「全員、第一作戦終了!
後退して城門を閉じて下さい!」
ギルド長の声が響き渡り、直後にスライムとの最前線部分で幾つもの土埃と轟音…爆発が起き、スライムが幾つも飛び上った。
避難民が逃げた先は王都から離れた開けた丘。
近隣のギルド長からの協力でそこには予め馬車を用意してある。
城壁を閉ざした後でスライム達が標的を王都から避難民に変更しようとしても、逃げ切れる。
そうなれば最早城門付近で無限に湧き出すスライムを相手に消耗戦を仕掛ける理由は無い。
大技は距離を取る為。前衛を下げる為の時間稼ぎである。
「支援魔法部隊と攻撃魔法部隊は協力して先頭部隊を巻き込まない様に攻撃魔法で壁を!
その隙に皆さん、門の中へ!」
先頭部隊が背を向けて走り出す。
その後ろで攻撃が壁になってスライム達を押し留めて居る。
支援魔法部隊と攻撃魔法部隊も徐々に撤退、城門迄あと少しで到着。
「!
皆さん!城門から離れて!」
伝言でギルド長の声が響く。
「皆にげろおぉぉぉ!」
次に気付いたのは正面を向いていた魔法部隊。
狙いに気付いた者は支援魔法や攻撃魔法でスライムの波へと自分達を吹き飛ばす。
最後に気付いたのは背を向けていた先頭部隊だった。
「何だよ……あれ…………」
振り返った者が見た景色は絶望的だった。
「我々は衝撃に備えて!」
城門上部に居た人間は全員が伏せ……………
ズン!
城門へ巨大な岩が飛来して、地面を、城門を揺らす。
とは言え、城門に風穴は開かない。
王城在る王都を守る巨大城壁。巨大岩の一つや二つ、防げない訳が無い。
が、衝突を防ぐという事は、
「迂闊でした…………。」
城門の上。最も視野の広いギルド長が現状を正しく認識していた。
スライムの波の遥か後方。
巨大スライムが大砲の様に飛ばした岩が城壁に衝突し…………城門を塞いだのだ。
彼らは、逃げ場を失った。
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