筋肉探偵の真千代写楽の事件簿
※思い付きで書いたので雑になりました。申し訳ない。
え?「何時も思い付きで雑でしょ?」
返す言葉も無い。
「皆様、謎は全て解けました。」
キラリと眼が……眼だけでなく、真っ白な歯と筋肉が光り輝く。
「あの………刑事さん、この人は?」「何だよこの不審者はよぉ⁉」「えぇっとぉ…………この人、なんで全裸サスペンダーに短パンなんですか?」
爆発物を無理矢理押し込めた様に爆発的な大胸筋、中に鉄骨が埋まっているのでは無いかと訝しむばかりの上腕二頭筋、モーセも慄く割れた腹筋。
そこに短パンとサスペンダー、おまけに蝶ネクタイ(これが異常に小さく感じるのは身体の大きさ故だろう)を付けただけの、筋肉で完全武装した大男がキラっと笑った。
「あぁ、あの、安心して下さい。
僕の、中学時代の友人で、警察に、協力してくれている、筋肉探偵の、
僅かに
若干童顔な為に、傍から見れば『少し頼りない青年』に見えなくも無いこの男。
名前:
職業:警察官
階級:警部
備考:弱冠26歳で警部となった敏腕刑事である。
「ゴメンね九郎。こんな格好で。」
「いや、いいさ。今度は帽子もかぶっておいてよ。」
二人の遣り取りから気の置けない間柄だという事は目に見える。
「で、ラク。謎は解けたんでしょ?説明してあげてよ。」
「あぁ、この、『引退した大企業の会長が建てた洋館で起きた事件』の概要を、お伝えしよう!」
キラッ
歯が光る。
五階建ての円柱状の洋館。と言えば簡単な造りである様だが、実態は実に不思議な、奇妙な構造で、中心部分が吹き抜けの様になって円柱の屋根付き室内運動場に、その周囲の建物部分はバームクーヘン状となっていて、環状の建物の内側に部屋が有り、窓は運動場側に、扉は外側に有り、その外側が回廊と階段、そして外部の光を取り入れる大きな窓となっている。
ここ、
妻に先立たれて一人田舎に引っ込んだ理智は子ども三人を集めてささやかな食事会を開く事になった。
だが、その日、悲劇は起きた。
食事会の前、理智が自分の部屋に入ったのを目撃された直後、突如凄まじい爆音が邸宅全体に響き渡って屋敷を揺らした後、書斎を訪れた三人が見たのは破壊された窓と血塗れの理智の死体だった…………………。
「被害者は射殺。書斎には鍵が掛かって密室。
凶器は不明。屋敷に居る他の方々にはアリバイがある。
で、ラク、どうやって彼を亡き者にしようとしたか教えてくれるかい?」
「あぁ、それは簡単。
事件の前に屋内遊技場が閉鎖されてたって聞いてピンと来たよ。
少し持ち上げたんだけど、この屋敷、矢鱈重いから何だと思って探してみたら、屋敷の屋根部分にガウス加速器が取り付けられていたよ。」
爽やかスマイルでマッスルポーズを取る男の言動に違和感を憶えた。
「ねぇ今あなた………」「持ち上げただぁ?」「一体どういう………………」
「ねぇおじさん、話聞いたのは私なんだけどさ、流石に長くない?結局何だったの⁉」
流石に疲れて話を飛ばして貰おうと思った。
鴨谷幣章 著 『筋肉探偵の事件簿』
友達から借りた筋肉自慢の探偵が活躍するミステリ―を読んでたところ、『あ、これ俺の友達が書いたんだ。』という真千代おじさんの話を聞いた所、割と事件背景をガッツリ説明してくれた。
有難いよ。有難いんだけど流石に長い!
「いやぁ、屋内遊技場の上にガウス加速器っていう大掛かりな大砲モドキが有って、それで吊り天井を下に押し出して空気を圧縮。
理智さんの所の窓ガラスに弾丸を減り込ませておいて、隙間を埋める。
圧縮された空気は弾丸部分に圧力を加えて発射したって訳だよ。
いやぁ、屋外から垂直跳びをして見ると割と露骨に屋根が厚いから直ぐ解ったよ。
で、犯人は子ども達三人が共犯だってことが解って、遺産目当てって動機が解って、序に理智さんは予めトリックを教えた九郎が避難させて死んだふりさせておいたから。めでたしめでたしって訳さ。」
筋肉をギチギチ言わせながらポージングして、どや顔でそう言った。
「おじさん、おじさんは何で探偵になったかな?
筋肉、要る?」
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