闘いはここでも起きていた。
「皆さん、準備は良いですか?」
その問いに皆は臨戦態勢で答える。
「では、手筈通り。
壁外に炸裂弾を投入。爆発の余波が落ち着いたら門を開けます。
その後、先頭部隊はなるべく大技で連中を門から引き剥がしてください。
その後、支援魔法部隊は先頭部隊の支援を絶やさぬように。
攻撃魔法部隊は極力距離を取りつつ牽制や遠距離攻撃をお願いします。
では、皆さん、死なないで。」
ギルド長ガービスはそう言って上を見上げて壁の上にいる冒険者に合図を送る。
それを確認した冒険者数名が大きな樽を転がし、城壁の外側。転がり落ちるギリギリまで運んでいく。
樽は大人二人で転がす程重く、樽の蓋には縄のようなものが付いていた。
「着火!」
1人が大声でそう言うと、樽に付いていた縄にそれぞれが火を着けて急いで壁の下に蹴り落とす。
蹴り落とした冒険者は直ぐ様壁の上で伏せの体勢になって耳を塞ぐ。
それが終わるとほぼ同時に城壁の外で何かが砕ける音が幾つもした。と思ったら…
『ズガーン!』
昼の様な明るさの最中だというのに、城壁を軽く見下ろす真っ赤な火柱と爆音が響き渡った。
門の内側には衝撃波と熱こそ来ないものの、音と振動は十二分に伝わった。
城壁の向こうから煙が立ち上る。
硝煙と何かが焼ける匂いが辺りに漂う。
城壁の上に居た冒険者の1人が煙る壁外を覗き…………
「いけます!」
それを確認したギルド長は……………
「クエスト開始ぃ!
冒険者よ!生きて勝ち取れぇ!!」
吼えた。
「「「「「「「「「「ウオォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」」」」」」」」」」
ギィィィィィィィィィ
門が開く。
ギルド長に呼応して吼えた冒険者達が門の外へとなだれ込んでいった。
煙る中、冒険者達が焼け焦げて抉れた地面を踏みしめて進んで行く。
炸裂弾の効果が有ったのか、城壁周辺には今、スライムは一匹も居ない。
「初手の炸裂弾はあくまで壁外に皆さんを無事に出す為のもの。問題はここからです……。」
城壁に登ったガービスはそう言いつつ、目を瞑る。
『
この場に集った冒険者の視界を全て支配した。
そして
『眼光支配』
煙る視界を見通す透視能力を併用した。
これにより、一時的に冒険者全員の眼に透視能力を疑似的に付与した。
「ギルド長、大丈夫ですか?」
城壁の上で炸裂弾を投げ落とした冒険者が目を瞑り、顔をしかめているガービスに心配の視線を向ける。
侵眼通は多人数に使い過ぎると使用者の脳がオーバーヒートする。
更に眼光支配を使うのは負担が大き過ぎる………が、
「流石に………………昨日今日冒険者になった人達に……大役を押し付けて……僕だけ……!
待ってる訳にはいかないよね!
さぁ、僕が情報を統合するから、君達はそれを皆に伝えて。」
ガービスの…正確には冒険者達の視界の端に蠢くモノがチラっと見えた。
スライムだ。
「先頭部隊3番に通達。会敵と同時に大技で薙ぎ払って!
同時に支援魔法部隊は攻撃魔法部隊に支援魔法を。
攻撃魔法部隊は支援魔法を受けたら3番方向に攻撃を!味方を巻き込まない様に!」
「承知!皆に通達!」
壁の上に居た冒険者が広範囲に意志を伝える『伝言魔法』で冒険者全員に作戦を伝える。
「ウォオッッシャア!!飛ばすぜ!『
先頭に立った冒険者が斧を振り下ろし、地面に叩き付ける。
斧が叩き付けられると、周囲に土煙と土塊を撒き散らしながら爆発した。
「ププププププププププププ!」
近付いて来たスライム達を斧の衝撃が吹き飛ばす。
何匹ものスライムが派手に吹き飛んだが、それでも変異種が居る為に、大したダメージにはなっていないように見える……が。
「はいはーい。『チャージ・マジック』。
攻撃、いっちゃってー。」
支援魔法部隊が魔法を強化する支援魔法を使う。
「承知した。『
攻撃魔法部隊が間髪入れずに炎の槍を空中のスライム達に飛ばす。
ブシュゥと厭な音が聞こえ、スライム達の魔石だけが地面に落ちて来る。
「魔石は後で!次、行きます。」
派手な魔法や技で視界不良になる事は僕の力で何とかフォロー出来る。
作戦や情報統制も侵眼通と伝言魔法でスムーズに行える………ただ、
「さぁ……何処までいけるか…………な?」
ガービスのそんな声は始まった戦闘音で掻き消されて、誰も聞く事は無かった。
後書き>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
実は、ガービスさんはチラッと出して『後々便利だったら出て来るかな?』くらいのキャラの予定でした。
が、本サイトの方でガービスさん推しな方がいらっしゃいまして、その方を見ていたら割と面白い事が思いつけたので、こうして割と活躍するに至りました。
他者の言葉や意見、感想って大事ですね。
スライムVSヒロイン(?)のリクエストマッチがここまで広がるとは思わなんだ。
感想、星、ハート、フォロー、レビュー、SNSやらの電子系が割と出来ない作者に代わっての宣伝等お待ちしています。
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