待っていた黒炎
薄暗い光の中、漆の様な光沢を帯びた黒さ。
全身は黒いドロドロに覆われ、獰猛な目をしたフクロウの頭と、鳥には明らかに不要な鋭利さと禍々しさを帯びたクチバシを持ち、上半身には全身に巨大な目玉を幾つもギョロつかせた蛇が巻き付いていた。
姿は私が見たアモンに似てる。
雰囲気も私が感じたアモンに似てる。
でもやっぱり違う。
似てるけど、根本的に何かが違う。
なんか混ざってる?
あと……目玉ギョロギョロしてんの…………何か見られてるみたいで腹立つ!
「GgGyagyaGAgAgYAaaaAaAAAAAAAaaaaaaaAAAA」
あとコイツ、人語話してない。
印象としては……………獣っぽい?
「gVOoooooOOOOOooOOOoO!」
ゴウッ!
牙を剥き出し、カチカチ鳴らしながら口から真っ黒な炎の塊をいきなり吐き出した。
「のりゃぁ!って熱っ!」
裏拳で炎の塊を掻き消す。黒い火の粉が周りに飛び散って壁や天井にその光が反射して黒く煌めく。
塊は火の粉になったが……
シュー!
掻き消した拳が熱い。超熱い。煙出てる!で、気持ち悪い!
火を触るというより、蒸気を触った感じに近い。皮膚の下まで焼かれる感じ?
あっきらかに質が違う!
「GyaAAAAaAA!」
叫びながら黒炎を機関銃の様に吐き続ける。
「あっぶな!」
静止からの全力疾走。
迫る黒炎を天井や壁を蹴り飛ばし、重力を無視した跳躍で躱す。
辺り一帯に黒炎が弾け飛び、黒く燃え上がる。
燃えた場所を見ると、黒炎がぶつかった岩からジュウジュウ音がして、墨汁みたいな色のマグマになって、固まっていくのが見えた。
しかも、当った場所が当たってない場所と比べてより黒く、輝きが増しているのが解る。
「洞窟の変質ってこの火が原因!?
何あの黒く燃える火ぃ?
炎色反応でそんなの有るなんて聞いた事無いし、火の色でモノが変質するなんて聞いた事無いけど!?」
呼吸をする度、周りの温度が上がっていくのが解る。
一度不用意に触れてしまったあの火。
今の所拳が真っ黒になったり目や耳や口が生えてきたり、サイコガンになっては無いけど、乱射するあの黒炎全部に触れるのはあんまりやりたくはない。
ただ、乱射される無数の黒炎は天上、壁、地面で弾けて黒い火の粉を撒き散らして視界を黒く染める。
これを回し受けし続けるのはジリ貧確定。攻める事が出来ない。というか、バール使っても触れるリスクが大きすぎる。
かと言って何も考えないで突撃したらそれこそ全部触れる事になる。
「じゃぁどうするか?」
天井へ飛び、天井を蹴って壁へ、壁を掌底で打って逆サイドへ。
黒炎を避けつつ近寄って…………あ、やっぱりダメだ。
アモン擬き……通称『黒アモン』って事にしておこう。
黒アモンを中心に黒炎塊が弾幕展開される関係で、本体に迫ろうとするとどうしても黒炎の密度が増す。
なら、背後に回り込めって話だけど、洞窟の壁や天井を利用しても、適度に広い所為でほぼ広間中心に居る黒アモンを振り切る事が出来ない。
「さて…どしよっか?」
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