醜炎と終焉の始まり
「確認した所、あの太陽………疑似太陽と称する事にしましょう……あの疑似太陽は低空域に浮かんでいる事が解りました。
それこそ、鳥が飛んでいける様な距離に………しかも…」
思った以上に近い。道理で、夏場の首都みたいに太陽光で熱いと思った訳だ。
「しかも?」
「巨大な攻撃魔法。王城の魔術師総出でも作り上げることが出来ない様な大火力の炎の魔法だという事も解りました。」
「…………………………………つまり?」
「アレが万一落ちたら蒸発します…………この都市全てが。」
Oh!まさかの超絶危機的状況!
「アレを我々如何こう出来る様な力は我々には……無いです。」
しかも詰み状態!
「おまけに…今入った情報によると、どうもあの巨大魔術の魔力の余波の所為で周囲のスライム達が活発に動き出して、どうもこの辺り一帯スライムの群れで囲まれて、あと一時間もしない内に街に雪崩れ込みそうで…………。」
あ、ヤッバ。
いざとなれば如何にか分身するレベルで高速移動して、全員この都市から担いで運び出そうかとも思ったけど……流石にスライム相手にしながらは厳しい!
「トドメで………あの疑似太陽。どうも作った犯人が地下に居るようでしてね…………疑似太陽の魔法の痕跡を追って見つけたのですが、それが今日……昨日…火柱が立った辺りに居る様です。」
あぁぁぁぁぁぁああああああ点と線繋がったよ!だよね!この国の主力が総出で疑似太陽作れないなら人智凌駕したヤツが犯人だよね!私知ってた!
《現在の状況》
・疑似太陽が空から落ちたら都市蒸発。
・その太陽に引き付けられてスライムが街を襲いそう。
・疑似太陽を作ったのはアモン。
疑似太陽を放置したら都市諸共人が蒸発。
かと言ってそっちに全戦力を向けていたら太陽を如何にか出来てもスライムで呑まれる。
じゃぁ犯人のアモンを潰して太陽を消す?そもそも、入り口潰れてるから!洞窟に戦力は過剰に送り込んでも炙られて無駄死には目に見えてるから!そもそもスライムの方を解決できないから!
何 こ の D E A T H コ ン ボ ! ?
スリーアウトとかじゃ無いよ?チェンジ無しのゲームオーバー!
割とアモンは強いし、容赦無くやって来るのは知ってたよ?洞窟爆破(炎上)されたし!
でもさ……デリードさんの所で聞いた話だと闇雲に人を危機に曝す様なクズじゃ無かったよね!?
一体……何が起こってるの?
地下の洞窟。
真夜中の太陽等関係無く、ここは真っ暗で、異常に熱く、ある者の放つ異常に濃い魔力が立ち込めていた。
人は一人も居ない。
スライムやその他生き物も、ある者は息を潜め、ある者は逃げ出し、危機から身を守ろうとしていた。
危機。
この洞窟の最奥に座していた炎がその危機の根源だった。
「オ˝ォ゛…………………オオオオオオオオオ˝ォ゛オ˝ォ゛オ˝オオオオオオッォォォォォォォ゛オ˝………………」
熱く、力強く燃え上がっていた紅炎は何処かへ消え、そこにはどす黒く蠢き、悶える黒い醜炎が燻っていた。
「オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝オ˝!!!」
頭を両腕で抱え、牙を剥き出しにしながら涎を垂らして醜炎は叫んだ。
それに呼応するように疑似太陽が脈打った事を、誰も知らない。
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