夜から昼へ
「ダメ!」
誰かが叫ぶ声で目が醒めた!
「何⁉何が有ったの?!」
敵意や殺意は感じなかった。
不意打ち!?やられた!……………って…あれ?
目が醒めると私は死んでいた………なんて事は無く、体が縮んでいた…なんて事も無く………。
窓から差し込む陽光に照らされたテミスちゃんが仰向けのまま、天井に向けて手を伸ばしていた。
「どうかしたの?」
顔色は……赤みがさしていて悪くはない。
でも、とても怖いものを見た様な顔をして、眼には涙まで浮かべていた。
「? ? ??
…………………私、どうして泣いてるの?」
目を丸くして辺りをきょろきょろ見回す。
「悪い夢でも見たの?」
「…………………………………解らない。
だけど、変なものが来て…灯りが無くなって……………………あれ?」
自分でも何を言っているか解らない様な顔をしていた!
「…………もう朝みたいだし、下に降りて何か食べよっか?」
取り敢えず朝ごはんを食べてから。
何をするにも腹ごしらえは大事!だよね?…………あれ?
「あれ?あれ?あれれ?」
思わずお腹を押さえる。
テミスちゃんの軽いパニックの後、今度は私がパニックを起こした。
「どうしたの?」
テミスちゃんが私の顔を覗き込む。
「ちょっと、下に急ごう。」
何か、厭な予感がする。
「ギルド長!何が有ったんですか?」
王都冒険者ギルド東地区支部受付嬢のリエはギルド長の部屋に飛び込んでいた。
下階は火柱の件で既にてんてこ舞い。急ぎ家からここへ駈け込んで来たものの、情報を得ようにも要領を得ない。
ギルド長室に飛び込むと、ギルド長は椅子に座って目を瞑っていた。
「あぁ…リエさん。来てくれたんですね。
御免なさい。休んでいた所悪いんだけど、少し手伝ってくれないですか?」
ギルド長は片目を瞑りながらこちらを見てそう言った。
「そのつもりで来ました。
で、先ずは情報を!
周知させようにも下階は大混乱。これでは対応できません!
一体何が起きているんですか⁉」
「…………それが僕にも………。
今、調査をしている所ですが、何せ前例が無い。
少し時間を下さい。
下階には落ち着く様に言っておいて。
上位クラスの冒険者の方々には誰かに伝令をお願いして呼び出しておいて下さい。
あぁ、その後でリエさんは八華さん達に応援をお願いします。」
「解りました!
ギルド長。今日……いえ、もう昨日ですね。
昨日の件と今回の件。繋がりが有るのでしょうか?」
「……うーん、何とも。
ただ、今は王城の方からも音沙汰が無いし、スライム大量発生の件も有るから…別件でも繋がりが有っても一つ取りこぼせば連鎖的に致命傷になりかねない。
皆さんには、厳戒態勢をお願いします。」
「………解りました。」
そう言ってリエは颯爽とギルド長室を後にした。
その背中を見届け、ドアが閉まると椅子にもたれかかり、息を吐く。
「んー………視えないな。
要領を得ない。
一体…何が起きてるんだろう?」
窓から射す光に目を細めながら
考えても始まらない。先ずはこの状況を見極めないといけない。
「なんで……………
「ギランさん、お早う御座います!」「おはようございます。」
階段を降りると宿の扉が開き、外でギランさんが空を見上げていた。
「おぅ!嬢ちゃん達、起きちまったか。
一体こりゃあなんだ⁉」
手で
「もしかしてこの辺りだとこんな事何時もの事………って訳じゃ無いみたいですね。」
私の腹時計が言っている。
今は
「おうよ!こんなすっとんきょうな事起こる訳無いだろ?」
「じゃぁなんで………………………
真夜中に太陽が空に浮かんでいるんだ?」」
ギルド長と私の言葉が重なったのは偶然だった。
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