ギルド長は仕事中
「私達が今日初めに出会ったのは、大量のスライム…視界を覆ってしまうくらいの大量のスライム達に先ず出会いました。
昨日もスライムクエストには出たんですけど、昨日と比べて異常な数だと思いました。
駆け出しの所感ですけどね。」
「…それに会ったのは…この都市の近くで良いのかな…良いみたいだね。
その数は異様だな。」
一度疑問を口にしながらぶつぶつ言いつつ引っ込める。
「確か、この近くの草原でした。
後で説明しますけど、その辺りでポイズンとも出会いました。」
ギルド長の目が僅かに光る。
でも、こちらは全く動じない。
だってあのポイズンは火柱とは無関係に見えるから。
あそこは洞窟とは逆サイド。もしかしたらアモンの影響で湧いたかもしれないけど、『かもしれない』だから、『私は心当たりがない』と万が一言ったとしても、嘘を吐いた事にならない。
心眼だか魔眼だかでも、嘘が無いなら動じる必要は無い。
「大規模スライムにポイズン、………(混成型…か)。
有り難う。他には何かあったかい?」
?今、小言で混成型って言った?まぁ…置いておこう。
「他には、ポップスライムにも会いました。」
「ポップ!?そんな訳………
念の為に講義に組み込んでおきましたけど、ポップスライムはこの辺りで、出現報告がここ30年無いんですから!」
リエさんがそこで話に割って入る。
確かに、リエさんの猛攻議では、『この辺りに生息するスライム』として全然ポップは出て来なかった。
ポイズンも、今隠れて貰っているワイズも、『この付近で使う事は無いけど、長期的に必要になる事柄』として教えて貰っていた。
まぁ、そのお陰で直ぐに反応できたんだけど。
「んー……大量発生した挙句ポイズンも居た、ポップが居て、挙句ワイズ……ちょっと異常だな……。
リエさん、初心者スライムクエストの一時停止及び冒険者への通知を。
あと、『ギルド長権限に基づく高危険度モンスター出現による門外への外出制限』という事で外出制限をかけるから、クエスト停止と外出禁止の二つを全ての門番に通知して。
近隣の町村ギルドへもこの辺には近づかない様に通知する様お願いします。
高ランク冒険者や実力の有る冒険者には僕から緊急調査クエストって事でお願いしておきます。」
「手配は終わっています。直ぐに。」
そう言ってリエさんが部屋から急いで出て行く。
優男とは言っても、危険と隣り合わせの冒険者をまとめ上げるだけの事はある。
都市の内部だけでなく、その周囲の都市の被害リスクまで潰して調査団の派遣。
手馴れているというか、堅実というか………。
そんなこんなでリエさんが居なくなり、部屋には私とテミスちゃん、ワイスラ(ワイズスライム)とギルド長だけになった。
「さて、じゃぁ僕も仕事をしようかな?」
「?」「?」
私とテミスちゃんが首を傾げる。
ギルド長の眼が真剣になり、こちらにその双眸を向ける。
「レベル1冒険者、八坂八華さんに緊急依頼をします。
スライム変異種大量発生の原因究明と可能であればその打破をお願いします。」
駆け出し冒険者にギルド長が頭を下げつつ無茶振りをしでかした。
オイコラギルド長、さっき迄の高評価を返せ。
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