ギルド長ガービス


 「初めまして。僕はこのギルドの統括とこの辺りの冒険者のまとめ役をやってるガービス。

 リエ君から君達の事は色々聞いてるよ。超新星が現れたって。

 んー……そちらのお嬢さんは……異世界からのお客さんかな?で、小さなお嬢さんは…………おや?お嬢さん、素敵な衣装だね。もしかして………デリードのおじいさんから貰った?」

 「ん。」

 目をキラキラさせて、首を縦に一度、強く振って答える。

 「凄いなぁ…………。僕も昔、下さいって言ったんだけど結局貰えなかったんだぁ……。

 それ、気に入ってる?」

 「うん!」

 笑顔自体に悪意は無い。

 こちらに対する害意がそもそもない。

 テミスちゃんも見ていて楽しそう………。

 でも………………如何やった?

 この距離で耳を澄ませばまぁ狸オヤジのあたりは何とかなるだろう。クセモノとか、そんな事くらいならなんてこと無く聞き取れる……。

 テミスちゃんの着ているポンチョがデリード工房製なのも容易に解る。だって素人の私が見ても、製作者の腕が凄い事は目に見える。

 でも、でも!今この男、なんて言った⁉

 『異世界からのお客さん』

 私の事をそう言った。

 リエさんは……?

 (コクコクコクコク!!)

 無言で眼を丸くして頭を振る。

 無論、リエさんが信じられる人間だと確信してる。口外なんて有り得ない。

 何でこの男、私の事知ってるの⁉

 「あー!ゴメンゴメン、そんな怖い顔しないで………。

 その、昔出会った冒険者の中に、異世界から来た人が居て、その人達に似てたんだよね…君が。

 だから君も異世界からの人じゃないかな?って………。

 異世界の人は皆強いし、駆け出し冒険者を駆け出しが倒したんだから、もしかして………ってね。」

 ふぅん………まぁいっか。

 今はそれよりも重要な事が有る。

 「で、本題は?駆け出し冒険者に何の用が有ってギルドの長は私を呼んだんですか?

 下の方で皆さん忙しそうにしてましたし、例の火柱の件ですか?」

 敢えて自分から突っ込んでいく。

 この手の相手に下手なすっとぼけは意味が無い。

 だったらいっそ自分から突っ込んでいった方が良い。むしろ、今日一番の大事件で、何処に居ても見えた火柱という大事件。

 この状況でその件を訊かない方が不自然でしょ?

 「いや、呼び出した理由は主に君が倒したスライムについてだよ………。

 フィールドワーク中のウチの調査員が不自然に枯れた草むらを見つけてね。どうやらこれがスライムの毒に依るものらしい……で、『そこに今日居たのは誰だ?』ってことになって、リエ君に訊いて、詳しい話を訊く為に君達を呼んだってワケだよ……。」

 スライム………ね。

 実を言えば、あの猛毒スライムには少し違和感を憶えていた。

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