魔人VSヒロイン? ~洞窟が吹き飛ぶまで2~
ここには私しか居ない!
でも、洞窟の浅い所にはテミスちゃんが居る。そして、テミスちゃんに毒耐性があるなんて聞いてない。
毒と言っていたから何かを体から出していると思っていたからテミスちゃんの心配はしてなかった。
要は、『バラ撒ける毒の量なんてたかが知れてる。毒なんて私が全部吸い込める!』って思ってた。
でも、もし、毒の正体が私の予想通りなら………。
「狙いは私ではなくテミスちゃんか!」
コイツが今何の毒を使っているか?
炎を扱う奴が使う毒ガス。
換気が出来ていない洞窟の最奥。炎、そして、相手が弱ってもいない筈なのに火の燃え方が衰えている。
練炭などの炭素を不完全燃焼する事によって発生する無臭の気体。
排気ガスや煙草の煙にも含まれ、『密閉した場所でモノを燃やしてはいけない』と言われる理由・原因でも有る物質。
化学式:CO
漢字で表すと『一酸化炭素』
一般人でもお手軽に作れる割に、毒性が笑えない毒ガスの筆頭だ!
ちょっとやそっとの毒なら、作れる限度は有ると思ってた。私が吸い込めば洞窟に充満するなんて無いと思っていた。
でも、酸素と火が有れば作れる一酸化炭素は別。
テミスちゃんが危ない!
そして、コレの意外と知られていないヤバイ点はもう一つ有る。
「撤退!」
踵を返して全力ダッシュ!テミスちゃんの元へと私は向かった。
一酸化炭素はヤバイ!
何がヤバイって、お手軽な割に、空気中濃度が1%くらいでも直ぐ死ぬ洒落にならない毒性が有るって事。
でも、それだけじゃない!
一酸化炭素は毒ガスというだけでなく、
解りやすく、『バックドラフト現象』って言えば解る?
火事が起きた時に扉とかを不用意に開けて爆発するアレって言えば解る?
ザックリ原理を説明すると、アレは密閉された部屋に一酸化炭素が溜まり、そこに酸素が送り込まれて引火→大爆発するって現象。
あの馬鹿げた火力でバックドラフトを引き起こされたら中毒前に吹き飛ぶ!
二重にテミスちゃんが危ない!
地面を踏みつけ、
「プョ?」
上へと続く穴の真下にスライムが転がっていた。
まだ到底、『自力で逃げて』って言える状態に無い。
「悪い。回収!」「プェッ!」
全力疾走を維持したまま颯爽とスライムを攫って行く。
そのまま右足を蹴って、上へ通じる穴へ跳び上がる。
跳び上がった先には壁が迫る。穴の上には一息では届かない。
ガッ
壁に激突する前に左手と左足を出して壁を捉え、上へと更に跳躍。
反動で今度は逆方向の壁が迫る。右手と右足を出してまたしても上へ!
これを繰り返して穴を昇って行く。
ブァッ!
下から押し上げられるような風…熱風!
マズイ。もう吹き飛ばしに来た!
普通のバックドラフトなら何とかなるかもしれない。けど、こちらの実力を知った上で普通のバックドラフトを仕掛ける?絶対ない!
多分、この感じからすると、自分の火力を上乗せしてバックドラフトを仕掛けに来てる。
間に合え!
という訳で、テミスちゃんを回収して洞窟から飛び出した所で、洞窟が溶けて吹き飛んだって訳。
ちょっと待って………………『洞窟が溶けて吹き飛ぶ』ってどういう事?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます