魔人VSヒロイン? ~洞窟が吹き飛ぶまで1~

  『炎毒瓦斯』

 『謎魔人VSヒロイン? ~汝の名は~』の最後で、アモンをすり抜けて、変な名前の技を使い始めた時から話を始めるよ。




 「エンドクガスぅ?舐めてるの?」

 名前から察するに、何かの毒で私を殺す気だろう。

 『頑丈だから毒で殺せばいい。』

 安直だけど、普通に考えれば真っ当に手堅い手段だろう。

 真っ当に考えればなぁ!


 一呼吸置く。


 「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううう!」

 深い、深い、深呼吸を始めた。

 ヒュウヒュウと音を立てて、私の元へと空気が集まって来る。

 毒ガス?馬鹿な。

 ウチの親戚の集まりで出て来る料理の中に何が有ると思う?


《メニューの一部》

・トリカブトの花和え

・夾竹桃の実

・ジギタリスティー

・ニガクリタケの味噌汁

・ドクツルタケのバター炒め

・ベニテングタケの串焼き

・カエンダケの土瓶蒸し

・ドクゼリの天ぷら

・チョウセンアサガオのキンピラ

・イモガイの酒蒸し

・煎りスズメバチ

・ヤドクガエルのスープ


 後でこのメニューを博識系&理系な友達のベリョーさんに見せたら、『……………なにこれ………………………………拷問に見せかけた確実に死ぬ殺人会場?』って言われたよ。

 まぁ、普通に死ねる系の毒料理ばっかだよね。上のメニュー。

 でもね、一つ言っておくね。


 死者:0名

 怪我人:2名(親戚‘sと取っ組み合いをした八坂八華&和野しおり)


 この集まりでは、そこら辺を皆食べ尽くして、下手すれば酒迄呑んでた人も居たけど……中毒どころかお腹を壊した人さえいなかったよ。

 ウチの人間、何だかんだ言って頑丈さは有るらしく、ちょっとやそっとの毒じゃ、お腹さえ壊さない。

 もっと言うと、ガスが発生して立ち入り禁止になっている火山地帯で匍匐前進しながら深呼吸しても別に平気だよ。(火山地帯は硫化水素が発生している場合が有り、それが空気より重く、有毒性がエグイくらい高い。因みに、コレを水に溶かすと硫酸になるよ。)

 食べるだけじゃ無くて吸っても平気。

 その程度では喉の腫れ一つ起こらない!(※ただし、一般的には真似をしてはいけない。)

 そう思ってまたしてもアモンに殴りかかりにいった。


 スカ

 スカ

 スカ

 スカ


 ウーン……ダメか。

 鳩尾やこめかみや脛や脳天を抉りに行くけど、さっきのすり抜けをされてから、全然手応えが無い。

 手を焼かれることも無い、火の玉一つ飛んでこない。どころかアモンの周りの火が弱々しくなってるようにさえ見える。

 「……………邪魔者には消えて貰おう。」

 そんな物騒な言葉が聞こえた気がする。んー………弱体化している訳でも無いけど………これって一体……………あっ!



 この、一見すると千日手になりそうな悪手をする、目の前の魔人の企みに気付いた。

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