ヒロイン?VSワイズスライム1

「空中で!面倒すんの!止めて貰えるかな!!」

パチーンパチーンパチーンバチン!!

ゲルの弾丸が私の拳に吸い込まれ、弾けて消えていく。

穴の真下でどっしり構えた巨大スライムが、体からサザエの貝の棘みたいなモノを突き出して、幾つも幾つもゲル状弾丸を撃ち出して弾幕を展開している。

パチーンパチーンパチーンバチン!!

一発一発、落下しながら拳で捌いていく。

え?『柔らかいから当たっても問題無いんじゃない?』って?

水が滴る様なよく濡れたタオルで思い切り素肌を殴られて、もし同じ事言えたらその考えに一定の理解を示したげる。

まぁ、痛いのが好きでもない限り…たとえ好きでも痛さで悶絶して何も言えないか。

柔らか系、鞭みたいに打ち付ける系は内臓にはダメージ入らないけど、痛覚的にダメージが入る。しかもこれに関しては筋肉の防御は無意味だし、全身が急所になる。当たり判定がデカいから拳圧で衝撃を殺しながら捌く他無い。

今回は不幸中の幸いだけど、これで毒手持ちとか、毒スライムが同じような事やると、投擲で弾幕を潰して相手を圧死or蜂の巣にするのが最適解レベル。

コイツには毒はないけど、それでもスライムぶつけて岩が砕けるレベルの威力が有るって言えば解るよね?今の私の状況。

更には鉛弾なまりだまなら普通に筋肉で弾けば良いけど、この手の柔らか弾丸は不定形だから、痛覚を如何にか出来ても、呼吸器をに入り込まれれば窒息する。

要は爆散させて避けないと致命的って事。

賢いワイズと呼ばれるだけあって、確かに賢しい。リエさんは、『危険だから近付かないで!!』と言ってた。その意味が解ったよ。(ご免なさいリエさん!)

「あぁ!もう面倒臭い!!」

縦穴の壁、側面に足を刺して『某奇妙な冒険の吸血鬼』みたいに歩けば足場は安定する。

でもやんない。

だって…………。

「このまま自由落下で地面迄行って。アンタをブッ潰して!さっさと人を挑発した威圧感ヤローをぶん殴らねぇていけないからよォ!!そんなちんたら歩いてらんねぇんだよぉ!」

そう、このワイズスライムは威圧感をバラ撒いた犯人じゃない。 確かに飛び道具は厄介だけど、このレベルならライフル弾や散弾よりヤバい位。たかが知れてる。 地面に近付くほど威圧感は強まるけど、多分それを放つヤツはこの先に居る!!

さて…じゃあコイツは放置して良いかと言われるとそれも違う。

コイツの脅威度はなんたかんだ言って高い。もし放置して、このままここに居座られると、今度は職人が餌食になりかねない。

『悪いけど、片を付ける!!』

『人の都合で勝手に命を奪う私を許して』とは言わない。

ただ、アナタの命は無駄にしない。

ワイズスライムの核や身体は加工品や薬の材料になるらしい。

命に敬意を表し、あなたの命!有効に使わせて貰う!!

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