コンビネーション
「『シュタッ!』着いたー!」
「着いたね。」
魔法は使って無いよ?まぁ、編集の魔法的な物は使ったけどね。
デリードさんと職人'sに洞窟までの地図と洞窟内の地図や松明、魔石やスライムの核なんかを入れる袋と魔石の見本、それと『魔物除け』を貰って、歩いてここまで来た。
途中に大量めのスライムには遭遇したけど、他には目立った事は無かった。
「いや…違うか。」
目立った事は無かった。いや、無さ過ぎた。
流石にこれだけスライムが居れば、二・三人の冒険者に遭うかな?と思っていたのに、人一人居なかった。
競争相手の居ないお陰で、道中倒したスライムの群れの核で袋が3つ、パンパンになった。
「この中に有るの?」
「んー…地図か私の見方が間違ってなければ多分そう。
んー…これ、解り辛いなぁ。」
地図は解り安い。
手描きなんだろうけど、サイズを実物大に大きくして、実際の町の上に広げたら、地図の上の物と実物がピッタリ合うくらいの高精度だと思う。
ただ、洞窟の位置が雑木林の中で、洞窟って言うよりも地面に空いた穴ぼこに近いから、そもそも実物を見付け難かった。
「地下空洞の冒険って感じ?」
「冒険者みたいだね。」
「テミスちゃん、私、冒険者。」
「そうだった。」
ケラケラケラケラ。テミスちゃんが少しはしゃいだ様にそう言った。
さっきの私の提案にも乗り気だったし、どうしたんだろう?
「お姉ちゃん、早く行こう。」
急かすテミスちゃん。
正直、今日も残すところ半日しかないし、例の件は今日中に報せなきゃならないし、急ごう。
懐の大きな塊。あの特大劇物スライムの核を確認して洞窟へと入っていった。
洞窟入り口はある程度職人が加工したのか、階段みたいになっていて、歩きやすかった。
テミスちゃんをお姫様抱っこして歩こうとも思ってたけど、必要は無かったな。
ボァッ
貰った松明に火を着ける。
灯りに照らされた洞窟は先が見えないくらいに広い。
鍾乳洞みたい…とまではいかないけど、岩がところどころ氷柱みたいに天井からぶら下がって柱みたいに地面と天井を繋げているものもある。
それよりも……
「暑ッ!!」
6mちょっと地下に潜った辺りで階段が終わり、抱いた思いはその一言で表せた。
まぁ暑い。
冬場の満員電車だってこんなに暑くない。
正直、洞窟に入ったときに『暑いな。』とは思ったよ?
でも、地下空洞の上の方に熱気が溜まっているだけだと、下に行けば涼しくなると思ったの!
地下が一番暑い!!
入口近くは外気が混ざってマシな方だったと、今、気付いた!
何ここ?火山でも近いの?
魔石っていう謎鉱石が採れるみたいだし、まぁ火山が有るのも解らなくもないけど、でもおかしくない?
山って山は近くに無かったし、国の中枢をわざわざ火山の近くにする意味も無い。
何よりこんな地表近くが熱いなら、多分活火山。
街をグルリ全部見たけど、活火山対策や火山灰対策が無かった。 要は火山が有る前提の街じゃない。
「暑い?そう?」
テミスちゃんは不思議そうな顔で、涼しい顔して応える。
「テミスちゃんは、そんなポンチョ着てて、逆に大丈夫?」
「平気。全然暑くない。」
くるくるその場で回り、ポンチョをはためかせる。
やせ我慢…じゃないな。
凄いな、あのポンチョ。あんな頑丈そうな生地で挙げ句に快適さまで確立するなんて……。伝説の職人デリードさん、恐るべし。
ぷよ~ぷよ~ぷよ~ぷょ。
そんな事を考えている間に、スライムが暗闇の奥からやって来た。
「テミスちゃん、お願い。」
私が松明と紐の付いた小さな布袋、そして、魔石の見本をテミスちゃんに渡す。
「解った。」
首飾りに重ねる様に布袋を首に掛け、松明を持つと私の後ろを左右上下確認して駆け出す。
今回はテミスちゃんと私のコンビで挑む。
私は洞窟奥から湧いて出るスライム駆除。
テミスちゃんは松明を持って灯りのキープと同時に魔石採集。
テミスちゃんにはポンチョ(高防御力)と魔物が半径1m内に寄らない魔物除けを装備して貰ってるからスライム程度じゃビクともしない。
スライム退治をしつつ、魔石採集。
「さぁ、飛ばしていこうか!」
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