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職人の一人が、自分の工房から何かを取って来た。
時計職人が使うような眼鏡型の凝った作りの拡大鏡。それを掛けてじっくり首飾りを検分し始めた。
火傷の跡とタコが有る大きな手。しかし、首飾りを扱うその手の動きは繊細そのものであった。
食い入るように見て、訝しんだような顔をして、目を光らせつつ、何かを考えこむとこう言った。
「うーん………………見た所………何かの呪いや魔法の類は無いみてーだな。特に何かの効果が付いている様子は無い。何の変哲も無い飾り、だな。お前はどうだ?」
そう言って近くに居た他の職人に飾りを渡す。
その職人は、懐から何かの魔方陣が描かれた紙を広げ、その上に首飾りを乗せると、魔法陣が輝き始めた。
それをジィっと見ていたが、魔法陣の光が収まると、首を傾げた様に男は言った。
「俺も似た様なモンだ。この飾りの石、何かの効果が付与されている様子も無ければ何かを付与された跡も無い。勿論、妙な効果一つ、爆発物一つ付いていない。安心安全の石っコロだ。あぁ、本当に、ただの………な。」
何だろう?さっきから見た職人職人が奇妙なものを見る様に考え込んでいる。
いや……それよりも先ず。
「ねぇ、アレは何をしたの?最初のアレは普通に私の知る鑑定だったけど、その後の魔方陣のヤツ……あれ、何?」
近くに居た職人に訊いてみる。
「ん?アレか?普通に魔法的な効果が無いかを調べただけだ。
知らないか?魔法陣。紙や床に意味を持たせた魔法の言葉や図柄を書いて、そこに魔法を流すだけでそこに記された効果を引き出せるシロモンだ。
ありゃぁ解析系の魔法だな。そんじょそこらの呪術師の仕掛けくらいなら二重三重の仕掛けをしても丸裸に出来る位の………な。」
職人の凄まじく自然な解説のお陰でファンタジーチックアイテムの正体が解った。
つまり、あの首飾りには何の変哲も無いただの、私達が普通にアクセサリーとして買っている物の類って事だ。
でも、なら何で………?
「じゃぁ、皆何で首を傾げてるの?
さっきから見る人見る人考え込んで意味深な事ばっかり言って……何かそんなにおかしいの?」
食い入る様に見て、その細部まで見た結果として、皆口を揃えて何の変哲も無いって言うけど、同じ様に皆首を傾げてる。
「あぁ……それなぁ。
んー………なんて言ったら良いんかな?」
職人が難しい顔をして考え込んでしまった。
「確かに………何の効果も無い。
聞いた話によりゃぁ露店商に高値で掴まされたパチモンなんだろう。だから調べに来た。だろ?
別に、どっかの工房から未完成品を貰って来たって訳じゃぁねぇんだよな?」
「えぇ。露店商から20万エルで買ったものだけど?」
「だから皆首傾げてんだ。」
「???????????????」
訳が解らなかった。
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