一時撤退


散弾は材質にも依るけど、確実に大概ぶち抜ける。

実際に小物の方は殺れた。範囲も割と広範囲にしてたから核をうっかりぶち抜き損ねた……なんてことは無い。巨大ポイズンスライムの所だけ綺麗なもの……まさか。

「様子見。っと。」

さっきとおんなじ様に石を投げつける。

ただ、さっきみたいに速くはない。普通に時速100㎞くらいで幾つか投げてみた……ら。


シュー!


音を立てて投げた石がスライムの体の中に入り込む前に溶けて行った……………。

毒……っていうか、アレ、劇物じゃない!

硫酸的な!硝酸的な!明らかに飲んだら死ぬとかじゃなくて触れたら手足が爛れるヤバイヤツ!

触れなくて良かった。流石にソレ級はいきなり浴びたらちょっと肌荒れする!

って、それどこじゃない!

「テミスちゃん、ちょっとゴメン。」

テミスちゃんを小脇に抱えて一度下がる。

如何やって倒すにしろ、テミスちゃんをこのままにしておくのは不味い。

うっかり飛び散った破片が飛び散ったら無事じゃすまない!

一度距離を取らなきゃダメ!

「お姉ちゃん⁉逃げるの⁉」

「絶対しない!このまま逃げたら被害が拡大する!ここで仕留める!だけど、このままじゃ不味いから一度撤退する!」

テミスちゃんには城壁の中で待機して貰って、コイツを倒す。



『倒す手立てが有るか?』って?

斬撃は通じない。打撃は危険。散弾も効かない。

そんな状態で如何するかって?


私には『とっておき』が幾つか有る。

おじさんを倒すように考えた技とか、教えて貰った技とか、色々有る。

その中でも、今から使うとっておきは『あるから奪い取った技』だ。

「ちょっと待ってなさい。『重ね当て』の応用奥義を直ぐに見せてあげるからねッ!」

そう言いながら地面を蹴り上げて駆けて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る