予想外のスライム
スライムはそもそも打撃には強い。
ウィーケストスライムは例外だけど、それ以外は皆割と打撃に強い。
代わりに、斬撃には弱い。
だからこそ『空爪』は有効打になる筈だった。というか、さっき食パンみたいにスライムを斬った筈なのに……
目の前のポイズンスライムは違う!
斬撃を喰らわせて斬ったと思った。実際に幾つかに斬り刻まれた。
筈なのに、直ぐに巻き戻しでもしたみたいに戻ってまた一個の塊になっちゃった!
斬撃耐性⁉ポイズンには無いって聞いてたのに⁉
そもそも、あのデカいの!ポイズンスライムがあんな大きさになるなんて!
いや、落ち着け私。今の問題はソコじゃない。
教科書通り、予想通りに事が運ぶなんて珍しい事。今の問題は如何倒すかが問題。
「一番の問題なのは予想外だってことじゃぁない。
問題なのは、予想外に戸惑って動けなくなることだッ!
私は、予想外でも、次の瞬間には最善手を打っているッ‼」
斬撃が効かない?なら核をブチ抜く迄ッ!
「再生生物なんて幾つも見た事有る。でも、全身隈無く蜂の巣にされて今までこっちに立ち向かって来た奴なんざ居ねぇんだよォ!」
「お姉ちゃん⁉口調がブレてるよ⁉」
「大丈夫、問題無いから。」
拳の風圧で核をブチ抜こうとしても先に風で吹き飛んで貫通出来ない可能性が有る。
なら、私のやる事はたった一つ。
「肉を抉り、骨を砕き、核を砕く直接攻撃を喰らわせる!ただし、相手に触れずに‼」
そんな条件を満たす方法はたった一つ。
「こんなことを知ってる?『人間は古来、最弱の生物だった。』って。」
人間は、虎や熊の様な大型肉食獣の牙や爪は持って無い。
走力だって、人類最速が100m10秒を切る程度。そこらの生き物から逃げる事は出来ない。
筋力?自重が数百キロあっても平然と動ける生命体に比べてMax200㎏ちょっとでも驚異的なレベル。
『グルルルル……鈍いし武器は無い、しかも脂肪分は結構有るから美味い。カモだガルルルルルルゥゥゥゥ!人間だけどカモ……ガールルルルルウ(笑)』
そんな矮小な生物が生き残って来た理由。それは…………
「投擲能力!ツマリ、『
前屈みになってある物を拾う。
それは地面に刺さるエクスカリバーじゃない。宇宙から落ちて来た未知の技術の武器でもない。
そこら中に有るごく普通の…………小石!
石という、そこら中に有る鉱物質の小さな塊。それを手に取り野球選手みたいに投げつける!
ただそれだけでそこら中の物体が危険な凶器になる。
小石が凄まじい音を立ててスライム達を蜂の巣にしていった。
大物のスライムの周りがどろどろと形を崩して無くなっていった。
「よっし!これで全員…………あれ?」
大きなポイズンスライムが無傷のまま形を維持していた。
「なんでぇ⁉」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます