たかいたかい
「おい!コラ、待て!」
背中から大剣おじさんが追いかけて来るのが解る。
木の床板を踏む音で何処から如何来るかが手に取る様に解る。
「この!」
ズアッ!
「オィ!」
グリン!
「お前!」
ズサァ!
後ろを見ないで後ろから絡んでくる男を躱す。
見える!後ろを見なくとも、貴様が昨日辺りに右足を強打して少し打撲気味な事まで見えるッ!
ウチの家系の特徴なのか何なのか、後ろを見なくても大概把握して相手の攻撃を躱せる。
足音の感じや喋った時の口の位置、後は脇腹や股下の服が擦れて鳴る音から相手の動きを察する……技術的なsomething?
因みに、じーじに至っては『マフィアの小僧共が後ろからライフル撃って来た事が有ったんじゃがなぁ、ソレ躱した挙句に弾を素手で掴んで捨てて見せて相手の心をへし折った事があるぞぉ。』と言っていた。
それをやらかした場所では未だに『一晩で街の裏社会の組織図を血の色一色にに塗り替えた東洋の怪物がこの街の最奥には居る。』という都市伝説が有るから、多分じーじはクロだ。
「待てって!の!」
ブワッシュ!
体育座りの状態で相手の頭上に跳び上がる。流石に面倒だな。
流石にテミスちゃんが居る手前、揉め事は避けたいんだけどな………………。
「おじさん、何か御用?私急いでるんだけど?」
振り返って、うんざりした顔を露骨に前面に押し出して厭そうな顔で、不快感丸出しで訊ねる。
冒険者に成って情報&元手を集めて、絞り込んだテミスちゃんの故郷の候補地に連れてって…………結構長い冒険の旅が待って……改めて考えると結構長い旅になりそうだなコレ。
楽しみ甲斐がありそう。
「おい、嬢ちゃん!何妄想で楽しい旅にトリップしてやがんだ!」
おじさんが若干キレだした。
「で、なにおじさん?ナンパなら後にして。世界が終わった後でなら構わないから。」
(意訳:毛頭も毛根も無い。)
「おじさんおじさん言うな!俺は未だ30代だ!」
お兄さんとでも呼べと?
自分からそれを言うか?
JKからしたら『未だ』でなく『もう』or『いい年した』なのに。
「で、なにおじさん?依頼なら私が冒険者登録してからにして。
私の故郷だと登録手続きと校長の不毛な話は不必要に長いものなんだから。」
「何が冒険者だ、ガキが!」
カチン
「世間も危険も知らない小娘がっ。何が、『依頼なら私が冒険者登録してからにして。』だ!」
イラッ
私が言った台詞の部分を声のトーンを変えてワザと言った。
おじさん、何の真似だ?ソレハモシカシテワタシノマネカ?
「物を知らないガキが遊び感覚で冒険者ごっこか?恥を知れ!お前などその辺のスライムに喉を塞がれて死ッ………
おじさんの会話の最後、作者が『」』を入力し忘れた訳じゃない。
ただ、男が私の掌底を下からモロ喰らって顎を揺らされて飛んだだけだ。
バキッ!
天井に刺さって他界他界しただけだ。
おじさんの言葉の端々から少し本音が漏れていたのは解る。
要は、『危険だから止めなさい。』ってことだろう。
おじさんの傷からして修羅場の二三は潜り抜けているのは解るけど…………。
「おじさん、説得下手。
自分が以前若者だったのなら、『若者は煽ったら反発する』って解らない?
アト、ヒトハヨクミテケンカヲウルベキダ。」
あぁ、ダメか。
もう、喋れないもんね。
私は天井に刺さったおじさんを放置して受付に急いだ。
周りがザワザワしてるけど、気にしない。
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