第3話 【韓国映画/女は冷たい嘘をつく】行方のない復讐譚と韓国サスペンス
まず、閲覧注意の映画です。
ゴア描写(いわゆる残酷描写)は殆ど無いものの、かなり心を抉られる映画。
いや、最近本当に韓国サスペンス映画は凄いと思います。
「殺人の告白」という映画が、藤原竜也さまの起用で日本リメイクされましたが、アレも日本のサスペンス映画のダサさを図らずも露呈してました。
いや、藤原竜也さまは本当に素晴らしかったですよ。
小柄な身体から、妙な負のエネルギーをガンガン発していて、ここだけはオリジナルより凄げーなと思いましたが……。
脱線しましたが。
こちらも韓国サスペンス映画の「女は冷たい嘘をつく」です。
ストーリーは、離婚してシングルマザーになった主人公の女性。
しかしある日、子守で雇っていた貧しい中国国籍の女性ごと、赤ん坊の愛娘が消えるという話。
主人公は、戻って来ない子守の女性を探し始めるのですが……。
ひと昔前まで、韓国と言うと韓流恋愛映画が人気を集めていましたが。
最近の映画レビュー界では、韓国サスペンスの評価がジリジリと高くなっていて。
日本でも、今はもうハリウッド映画や日本映画が見られなくなった。つまらなくて。
それほど韓国映画は面白い!
やみつきになる。
というコメントが増え始めている。
実際に私もその一人なんですがね。
その理由や日本サスペンス映画との違いは、別の映画でご紹介するとして。
とにかく、韓国サスペンスと言うとリベンジ物が有名。
この作品も、いわゆるリベンジ物です。
ただ、この作品もそうですが。
リベンジと言うと、アメリカ映画や日本映画が、因果応報、勧善懲悪のイメージがあるのに対し、韓国映画は徹底して救いの無い、デスペラード感がメインになる事。
狂気に満ちた、真っ暗で、何の救いも無い、何処までも続く虚無の中で、キャラクター達の生ぐさいまでのリアルな人間性が浮き上がって来る。
計算されたハイテンポなストーリー運びに乗せられている内に、気づいたらそれぞれのキャラクター達が深く心に根を張っていく。
── だからこそ泣ける。
だからこそ、胸が抉られる。
明るく、ライトな、頭を使わない、忙しい時に気軽に観られる、時間つぶしで手軽にスカッとしたい。
だってお客が低年齢化してるでしょ?
手っ取り早く回収したいなら、ティーン向けにライトで安価な物を……。
映画に限らず日本の出版界でも飽きるほど言われて来た、この都市伝説。
日本やアメリカ配給会社の思惑に、真っ向から勝負する韓国サスペンス映画。
そんな作品が、この日本でもジリジリと支持者を集め始めているというのは、面白い現象ではないかと思います。
ちなみにティーン向けと言っても、消費者はあっという間に20代に成長しますし、それに伴い目も肥えて来ます。
大体、世界的にも太いお客である先進国は、軒並み少子化が進んでいますからねー。
数年スパンで見ても、これ以降に市場が拡大するような大量の分母はありません。
実際にライト系も最初は良かったものの、乱立した今では出版不況、映画も売れない時代になってしまいました。
客層としては、それなりに社会の不条理に触れてショックを受けつつも未だ独身。
お金と時間は、それなりに確保出来る。
人数的にも層が厚い。
20代〜30代がメインターゲット層になるというサスペンス映画は、それだけ確実な回収が見込める良質なビジネスモデルと言えるのではないでしょうか?
実際アクション映画や特撮ファンタジー映画を作るより、サスペンスなら良い原作さえあればうんと制作費は安上がり。
「ブレアウィッチ」「ミザリー」「コクソン」等、ホラー以上に1発当たると収穫の大きいジャンルです。
最近ではドラマ「あな番」でしょうか。
また社会啓発系やノンフィクションと違う、他の国では何となく及び腰になりそうな、普通の人達のエグいリアリティを、真っ向から描いているのも韓国映画の新しさ。
警察官や名探偵といった主人公も居ますが、カッコいいヒーローと言うより、何処か普通のオジサン感漂う、リアルなキャラクターが登場し、読者と同じように悩みながら物語が進んでいく。
だからこその、あのパワーなのでしょう。
作中で出てくる「怖くない……何も怖くない…私は娘と生きて幸せになるの……」と自分に言い聞かせるシーンや
「私が、死にます。全部私が悪いの! だから……」など
やはり心を徹底的に抉られるセリフも多い、この作品。
誰にも顧みられなかった弱者の、心の叫びが壮絶な復讐に変わる。
何の救いも無く、成し遂げたところで何も変わらないのに。
これって、表現をする人の心と非常にオーバーラップするのかも知れません。
小説を書く、と言う行為に、直接的な救いは無いけれど、でも書かずにいられない。
── 大丈夫そうなら、是非一度観てみて下さい。おススメの映画ではあります。
ちなみにあーちゃん♪名義で公開した、別サイト「趣味で始める小説講座」でも書きましたが。
出版界でも、デスゲーム系ではないガチガチの純サスペンスって、今なら何か大きな物が埋まっている気がします。
ウェブライター様は、是非韓国サスペンスを観て、試しに20〜30代ターゲットに一度トライしてみてはいかがでしょうか?
おススメ度 ★★★★☆
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