第2話

私は会場から出てアンダーソン家の馬車で、家まで帰りました。パーティの途中でしたけど事が事ですのでそのくらい許されるでしょう。ですがいきなりアラン様に婚約破棄を言い渡されるとは思いもしませんでした。私がアンジェリカ様をいじめるわけありませんのに。これじゃあ私が悪役令嬢みたいじゃないですか!

そんな事を考えている間に家に着きました。



「お帰りなさい、ローズちゃん。帰ってくるの早かったわね」



そう言って出迎えてくれたのは私の母のカミラ・アンダーソンです。お母様はとてもお上品で私を産んだとは思えないほど若く見えます。その美貌が羨ましい限りです。



「ええ、実はアラン様から婚約破棄を言い渡されてしまい、パーティ会場に居づらくなりまして……」


「 なんですって!こんなに可愛いローズちゃんを振るなんて!」



私の話を聞いて怒り出した母はとても怖かったです。

両親は親バカなので私を傷つける者には容赦がありません。親バカと言っても教育に関してはとても厳しく躾けられました。そのおかげが学園の成績も上の方でした。



「お母様落ち着いて下さい!私は大丈夫ですので!」


「ローズちゃんは良くても私は良くないわ!そこの貴方、今すぐ夫とヴァルを読んで頂戴!」



母は近くに居たメイドさんにそう頼みました。

ちなみにヴァルというのは私のお兄様です。お兄様はお顔がかっこよく、頭も良いので女子からモテモテなのですが

妹の私の事を大好きな、所謂シスコンです。


「ローズちゃん、後で家族でこの件についてお話ししましょう。それまでお部屋で待っていてね」


「はい、分かりました」



私は自分の部屋に戻りました。パーティ用のドレスから着替えて少しゆっくりしていると、私の侍女のクレアが凄い勢いで部屋に入って来ました。クレアは私より少し年下で可愛らしい女の子です。



「お嬢様!アラン様に婚約を破棄されたって本当ですか!」


「落ち着いてクレア。その事は本当です」


「どうして落ち着いていられるのですか!お嬢様が傷つけられるのが私は悔しいのです!」



まさかクレアが、私の事を思って怒ってくれるとは思いませんでした。家族やクレアが私のために怒ってくれるのは嬉しいですね…



「私は大丈夫ですから、落ち着いて下さい。私はその気持ちだけで嬉しいですから」



私がそういうとクレアはそうですね、言って部屋から出て行きました。

今更ですが、どうして私がこんなに落ち着いているかと言うと実は私には前世の記憶があります。

私が記憶を取り戻したのは4歳の時です。恥ずかしい事に階段でこけてしまい、頭を打った衝撃で思い出したのです。

死ぬ直前の私はもふもふが大好きな女子高生でしたが両親は教育に厳しかった上に私に愛情を持ってくれなかったので、ペットを飼ってはくれませんでした。

今の両親は厳しいですが愛情を凄く感じるので私は転生して良かったと思います。ペットは飼えませんでしたが…


なので私はアラン様に婚約破棄されても落ち着いていられるのです。寧ろ、療養を理由に昔一度だけ訪れた場所に住んで、もふもふの動物達と遊べるのではないかと思っているくらいですもの。

あそこはもふもふな動物達が沢山居た気がしますし、もうすぐ家族で話し合うので一度提案してみましょう。

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