何故か婚約破棄されたので、私はもふもふ達と暮らします!

山口琴羽

第1話

「ローズ、お前との婚約を破棄させてもらう!」


学園のダンスパーティの中で私ののアラン様がそう言いました。大人数の中で言えば婚約が破棄できると思ったのでしょう。

その言葉を聞いた私は心の中で喜びました。とても嬉しかったのです。ですが婚約破棄される理由がわかりません。



「アラン様、理由を伺ってもよろしいですか?」


「はっ!理由はお前が1番知っているだろ!」



私が1番知っている?全く覚えがないのですが…



「仰っている意味が分かりません。私はアラン様に婚約破棄される謂れはありません」


「理由が分からないだと?私の大切なアンジェリカを傷つけておいてよくも分からないと言えたな!」



アンジェリカって誰でしょうか?私そんな名前の子聞いたことないのですけど。



「ほら見ろ!お前の事を怖がっているじゃないか!」



そう言うアラン様の後ろを見ると、か弱そうな少女が居ました。

確かに今にも泣きそうな顔をしていました。ですがそれは演技だと思われました。こんな私でも女子の端くれですのでそれくらいの事は分かります。



「…アンジェリカ様、私はあなたに何かしましたでしょうか?」


「なっ!勝手にアンジェリカに話しかけるな!」


「アラン様!!少し静かにしていて下さい!私はアンジェリカ様に話しかけているのです」



普段おとなしい私が大きな声で言ったので、周りの皆さんも静かになってしまいました。



「アンジェリカ様、もう一度言います。私はあなたに何かしましたでしょうか?」


「……えっと、私はローズ様に制服を汚されたり、お前にはアラン様は似合わないなど様々な事を言われたりされたりしました…」



アンジェリカ様はたどたどしい小さな声でそう言いました。

話の内容からすると、私がアンジェリカ様をいじめているというものでした。私からすると冤罪にも程があると思うのですけど…



「だから言っただろうローズ!お前が1番知っていると!」


「ですが私は身に覚えがありません。その証拠などあるのでしょうか」


「証拠?あぁ証拠ならあるさ!ブラントとカーティスが見ていたからな!それが証拠だ」


ブラント様とカーティス様はアラン様の側近の方です。

というか証拠はそれだけなのでしょうか?でしたらその時間帯に私がどこにいたのか証明できれば私は無実になりますね!



「アラン様、その目撃した日を教えて頂けますか?」


「ふん!教えた所で何も変わらないというのに。お前が目撃されたのは1週間前だ」



1週間前でしたら私の数少ない友達のオーウェンとお喋りをしていましたね。オーウェンに頼めば私の無実を証明してくれるはずです。



「それなら私の無実を証明できます。オーウェンは居ますか?1週間前に私とお喋りをしていたことを覚えていますか?」


「俺はここにいるぞ、ローズ。その事なら覚えているぜ!印象に残っているからな!」



良かったです。覚えていてくれて。これで大丈夫なはずですが。



「だそうです。アラン様。これで私の無実は証明されたはずです」


「それがなんだ!物的証拠がないのにアンジェリカをいじめていないとは証明出来ないぞ!」



大丈夫なんでしょうかこの人は。そちらの証拠もブラント様とカーティス様が目撃しただけでしょうに。これ以上の会話は無理そうですね。そろそろこの場から離れましょうか。



「アラン様、私はアンジェリカ様をいじめていませんが、その婚約破棄だけは謹んでお受けしましょう。どうぞアンジェリカ様とお幸せに」


「おい!待て!まだ話は終わっていないぞ!アンジェリカに謝れ!」



そういうアラン様を無視して私はパーティ会場の入り口に向かって歩き出した。



「それでは皆さんさようなら。騒がしくしてしまい申し訳ありませんでした。残りの時間楽しんでいってくださいね」


入り口を出る際に私は周りの人への迷惑を謝りたかったので挨拶をして入り口を出た。

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