第2話 外の様子を確認する場面

二話 外の様子を確認する場面



 前回のラブライブ!

 ……違う? はい。

 前回は私が「異世界に召喚される場面」が描かれたのであった。そしてこの「物見の部屋」から世界を見渡すと衝撃の事実が――!!



 というか、四面の壁面全てが「鏡」で、光のないこの部屋の出口は一体どこなんだ。

 ――私? 赤井あかい陽妃ユウキという名の十八歳だ。正直殺しても殺し足りないくらいの両親だったけれど、このネーミングセンスだけは良かったので、私が思考を奪って「自分たちが幸福な結婚生活を送っている」という催眠をかけて生かしておいてある。寛大。

 私の母親は結婚して「赤井糸」という名になったが――結婚して姓を変える、今時珍しい女だった――旧姓は「神前」だった。つまり「コウサキ・イト」――実家が製糸工場だったから「交差・生糸」なのだ。

 なんだこのネーミングセンス。

 それを引き継いだのか、私の名前は「Youkhi Akai」。「kh」なのがポイントなのだそうだ――という説明だけで理解できる人間がいるのか疑問だ――父にさえ理解されていなかったように思う。が、私は好きだ。

 殺してしまうのはちょっと勿体無いと――本当に毒しかない親だったが、思ってしまった。

 そんなことを思いながら、しかたなく、煩わしかったのでまだ出していなかった光輪を頭上に出現させる。基本ただの装飾品なのだけれど、暗い部屋だと灯りくらいにはなってくれる。

 きん、と一瞬ホワイトアウトするくらいに明るくなりすぎて――鏡に反射したせいもあるだろう――光量をあの寝る時点けるオレンジ色の小さい電球くらいのそれに調節する。

 ……ああ、そうか。屋根裏部屋なのか。

 小ホールほどのこの空間、壁は全て天井まで鏡で、ただ天井はアーチ状……の一部のようだ。つまり、もっと大きいホールの屋根裏の一部が、この小ホールなわけだ。

 ということは、足元の床のどこかに開く場所がある筈だ……ほら。

 アーチの一番低いところの床――部屋の端だ――に切れ目があって、どうやらそこが開くようだ。取手もないので仕方なく、能力の試運転も兼ねて、〝空間操作〟でその床を浮上させてみる。ふむ。どうやら安定して使用できるようだ。

 ただ開いた床の下はどうやら先程私が召喚されたような魔法陣で封がされているようで、その一部が見えている。……。もう先程の銀髪の少女を殺したことがバレているのだろうか。或いは、彼女なら関係なく通過できるが、それ以外の者だとできないとか。

 肉体自体は(だいぶ作り替えてしまったが)彼女のものなので、後者なら通れるのだろうけれど……。魔法陣の解析をできるほど、この世界の魔術の情報を得られていないから、この魔法陣の効果が全くわからない。

 この建物は、まだ壊したくないんだよねー。つまり天井を破壊してそのまま外へ脱出、という策はできれば取りたくはない。

 ええいままよ。

 私は右のこめかみの辺りから鎖骨のあたりまで垂れている三つ編みに手を遣る。その一番先には、真っ黒な十字架のかんざし

 私がそれに触れる。呟く。

 音声認識全自動――この剣の起動呪文を。

「天地開闢――天叢雲アメノムラクモ

 三つ編みが巨大な白い両手剣に変わる。

 別に、熱田神宮の御神体そのものでも、レプリカでも何でもなく、ただかっこいいからつけただけの名前なのでご了承。

 とりあえず、開いたその人一人分くらい通れそうな穴、を塞いでいる魔法陣に向かってその、私の身長くらいあるのに私が持つぶんには全く重くないのに、相手に当たると重いその剣を突き刺す。

 ぱん。

 そんな軽い音と共に魔法陣は消滅して、下に向かってきらきらとガラス片のように舞い散っていく。

 ……まあ、この部屋に対する封がそれだけとは思えないが。

 見た感じ階段や梯子のようなものはなく、恐らく今の魔法陣解除でもしここに他の住人がいたら――十中八九いるだろうが、それらが集まって来る前にここを出よう。

 私は大ジャンプをして空中で逆さまになり、剣をその穴に向けて掲げて一本の槍のような姿勢になる。

 ――存外あっさりと。

 そこまで分厚くない床(天井)を抜けると、そこは大ホール――というか、ヨーロッパの城の、舞踏会とか開かれる場所だった。ぱっと見。絢爛豪華、ぴかぴか、大量のシャンデリア、敷き詰められた真っ赤な絨毯。

 剣でそのままそれを突き刺して、私は着地する。普通に着地してもよかったのだけれど、まあ念のためだ。

 ダンスホールは眩いほどに明るく、巨大な窓の外は暗い。

「……」

 私が黙って着地した場所に立っていると――ホールの端、壁際だ。

「……お嬢様は」

 既にここの住人が――というか、女中というか、有り体に言えばメイド、だろうか――恐らく二十以上はそこに立っていた。私の背後――左後方三十度くらいにある玉座の辺りにも、何人か控えているようだ。

「私が殺した。この世界に〝死〟という概念が存在するのであれば」

 その挑発する言葉に、玉座の裏にいた二人が激昂して飛び出してきた。

 獲物は二人とも片手剣――同じ顔に見えるが双子だろうか。二人を私が右手の剣で(右から左へ)薙ぐ。と、その後ろにいた三人がそれぞれ何かを唱え(聞き取れなかった。まだ適応できていないようだ)――既に唱えていて、赤青黄の光弾(だと思う)が高速で飛来する。剣を振り終えた右腕の三角筋の辺りから三発、地対地ミサイルを発射する――私の〝能力〟だが――光弾を迎え撃つ――すり抜ける。翼を一つ羽ばたいて上空へ躱す、が追尾してくる。もう一つ羽ばたいて光弾を発射した三人の後ろに回り一人を羽交い締めにして(どうやら生身の人間のようだ)――剣は元の三つ編みに戻る――ミサイルを躱そうとしたそいつを(ついでに光弾の)盾に受けようとする。

「――」

 また何か呪文を三人が唱えて光弾は消えるが、私のミサイルは光弾が到るより先に彼女らに着弾する――防ぎようもなく――ち。

 爆発音は、私の耳には届かないように言わば耳栓をしていたわけだが、ちゃんと炸裂した筈だった。が。

「おやめなさい」

 と、メイド長みたいなちょっと偉そうなメイドがそう言う。光の防壁が私のミサイルを防いでいた。物理攻撃も防げるのか……。周囲の壁面は確かにボロボロに焼け焦げ、しかし既に消化剤のようなもので消火されていた。すぐにその防壁は消滅したが。

 とりあえず見せしめにこの羽交い締めにしたメイドだけでも絞め殺しておくか。

「やめて、ください」

「私にメリットは?」

 すぐに爆殺しなかったのは、先程のメイド長の発言に交渉の余地が見えたからだ。

 見た目(私たち日本人と比べると)二十代後半くらいに見えるが、声は見た目から想像されるよりも低かった。耳も尖っていないし、一見して私の地球人たちと変わらないように見える。私の肉体にした少女に比べると見劣りはするが。髪型はおさげより少し上くらいの位置でシニヨンにしていた。

 訊きながら私が首を絞めているメイド(触れた感じでは女だ)の首は継続して絞め続けている。トートロジー。

「……手助けします」

「なんの? 魔獣を滅ぼす?」

「いえ、あなたが元の世界に帰る、手助け」

「……この女を私が離してお前たちがこちらを攻撃してこない保証は?」

「……」

「一見して空拳でも光弾を発射できそうだから武装解除を示しても無駄」

「……ではどうすれば」

「〝空蝉うつせみ〟」

〝空蝉〟――〝現人うつせみ〟――〝移身うつせみ〟。〝祝詞のりと〟。

 瞬間、私はメイド長の後ろへと移動する。即座に彼女(こちらも直観的に女だと感じられた)の首を絞め、摑んだままホール側にいたメイドからも玉座側のメイドからも離れた場所へと後退ステップで移動する。

「な゛……!」

 この私の肉体が元の少女の〝空蝉ぬけがら〟にして、私が〝現人もとのせかい〟から離れている故に可能な〝移身いどう〟。

 ワンチャンこのまま元の世界に戻れるかと思ったけれどそれは叶わなかった。悲しみが深い。ただ私の〝追従ついしょう〟による〝祝詞〟(や〝空間操作〟)がこの異世界でもちゃあんと使えているのは朗報だ。

 と思っていたがメイド長は首を絞められ目を血走らせながら(私は彼女をそれだけで足を浮かせているのに)しかし、両腕で私の手首を掴んで引き剥がそうとする。

 見た目地球人と同様のようだが、呼吸器官や脳にあたる臓器が頭部にはないのだろうか。ただ耐久性が高いだけなのか。……脳を胸に移植するって話が『ブラック・ジャック』にあったなあ。

「あなたは……神……なのでしょう?」

 あろうことかその状態で発声したので多少驚いた。絞める力をつい強めてしまった。

 そしてそれは「あなたは[あの銀髪少女に召喚された][この世界の、或いは他の世界の]神なのでしょう?」という意味なのだろうか?

「わだじだぢをずぐいに、……じょうがんに、おうじだのでわ、……ないのでずが……?」

 だとしたら――それは「否」だ。

 確かに私の能力は〝救済〟と呼ばれてはいるが、それは他人から客観的に見て、その超越的力をそう表現せざるを得なかったというだけで、私の能力はただの〝改変〟だ。

 最初にあの吸血鬼に呼ばれた〝機械〟で正解でもいい。

〝改変〟――

 私の肉体を、傷がつかない〝機械〟に変えて。

 世界中を、誰も傷つけない〝機械〟に管理させて。

 人類を、誰かを傷つければ相応の罰を与える〝機械システム〟によって支配する能力。

 そのように世界を〝改変〟する能力。

「〝神〟とは〝許すもの〟のことだぜ」

 決して〝裁くもの〟ではない――間違っても、私は神たりえない。

「が……」

 ……なんというか、メイドたちの反応を見る限り、ここは一神教が支配する王国ではなさそうな雰囲気がある。まあ、私が破裂させた妖精みたいなのがあれ一匹ではなく沢山、或いは一定数存在する、そしてそれを或る種敬意と畏怖をもって接している、と仮定すると、宗教的に云えば多神教的なのかもしれない。

 となると、先程のように気軽に「神」と呼び、「神」を喚ぼうと試みるのも、頷けなくもない。

「待ってください!」

 と、さっき私が絞め殺そうとしていたメイドを介抱しているそれが叫んだ。静かに、しかし確かにこのホール中にその声は響く。

「侍従長があなたの召喚陣を敷いた張本人です! 彼女を殺せば二度とあの陣を描くことはできません!」

 涙で声を震わせながら――それもそうか。きっとずっと小さい頃から仕えてきた可愛らしい女の子が殺されてしまったのだ。激昂するのも当然だろう。年齢的に私の肉体になっている少女より少し歳上のように見えるので、なんだろう、私たち地球の日本人で云うと、近所に住んでいる従妹の女の子が殺されてしまった感じだろうか。

 私は生前親戚に会った記憶がないので想像するしかないわけだが、激昂するのもわからなくもない気がする。

 いや、それはそれ。

「ふむ――あ」

 そのメイドが言った台詞が本当か嘘か、私には判断がつかなかった。

 が、私はこの「侍従長」と呼ばれたメイド長を、放すことにした。まあ首を絞めることをやめるだけであって、羽交い締め状態へと移行し彼女の拘束は解いていない。

 ――それが本当だったら困るからだ。

 基本、私の地球では――この異世界では知らないが、基本一人のもつ〝能力〟は一つだ。

 私のそれは〝改変〟だ。〝救済〟は「〝改変〟の結果がそう見えるから」そう呼ばれ、〝機械〟は「私の肉体の変化がそういう性質を持っていたから」そう呼ばれているというだけで――〝追従〟は、特例で使えているだけで、本来私の〝能力〟ではない。……そう云えば、私の〝能力〟、その運用に必要な莫大なエネルギーは、地球では私が所謂「死後の世界」に送った魂の力を燃料に使用していたのだけれど、ここではどうなっているのだろう。ここでも人を殺し続けなければならないのだろうか。……ただ〝追従〟は、本来私の〝能力〟ではなく地球で死んだ彼の〝能力〟を私がたまたま受け継いだだけで、それがこの異世界でも使えているということは、この〝追従〟は元の世界と繋がっている、ということなのだ――と、感覚的に感じられる。

 恐らくこの〝追従〟で召喚陣を詳らかにすれば、同じような召喚陣を描いて、この蜘蛛の糸のような元の世界へと繋がる見えない流れを辿っていけば、私は戻れる――とは思う。

 問題は自力でこの召喚陣を詳らかにするにはどれほどの時間が必要なのか、ということと、私の〝改変〟の燃料は、元の世界で私が現在も〝システム〟が殺し続けている魂で賄われているのか、この異世界で私が殺した魂で賄われるのか、残念なことにわからない、ということだ――後者だと非常にまずい。〝機械〟の肉体から弾丸やミサイルや光線を発射することも、〝追従〟で便利な〝祝詞〟を使うこともできなくなって、ただ〝機械〟の肉体のもつ丈夫さと〝天叢雲〟だけで戦っていかなくてはならない――

「わかった」

 と私は私としては大人しく、この「侍従長」を放すことにし、羽交い締めからも解放する。

「がはっ……」

「侍従長」はその場に倒れ、(最初私がこのホールに降り立ったときに)ホールに立っていた何人かが彼女と私の間に走り込み、構える。即座に私は玉座側へと一つ翼を羽ばたかせて――再び剣を真っ直ぐに構え、「侍従長」たちのすぐ上を飛行し、最初に攻撃してきた五人の元へと飛来する。一瞬、「侍従長」が解放されてほっとしていたその五人には明確な隙があり、一人の首を剣ごとその女の左手側から刎ね(真っ赤な血が吹き出した)、二人目をその逆の(正面から、右肩から)袈裟斬りにし(私も返り血を浴びる)、即座に反応して(えらい)光弾を発射した女は、剣を斜めにして光弾を右後方へと受け流した後に鳩尾を突き刺して、女が突き刺さったまま光弾発射組の二人目を左手を尖らせた形にして喉仏に突き刺す。最後の一人は、左手の女を捨て、右手の剣の女を光弾の盾にして近づき、ステップで背後に回り込み左手だけで首を絞め、人質とする。右手の剣に刺さった女もその段階で捨てた。

「な……」

「いつの間にかじりじりと挟み打ちの構図になろうとしていたからね。仕方なく」

 ホール側に大量にいたメイドも、同士討ちを恐れて光弾による加勢はできなかったようだった。

 玉座側にいた人間はまだいた筈だ。確かあと二人――どこかに隠れていると思ったが、あちらに混ざったのだろうか? いや、あちら側の人数に変化はないようだが――……仕方がない。私は翼を広げる――羽を、ばらまく。

 上――風の揺らぎが見える。

 剣を上方向に振り回そうと、床についた両足の特に母指球に力を込めた瞬間、地面が揺らぐ――ごく僅かに。たぶん私でなければ気づかなかった。一瞬視線を遣ると、両足のちょうど中間地点から片手剣の鋒が現れる。

 ちっ――この場はもう、能力を使わないで省エネで行こうと思っていたのに――やはりこいつら、もとい彼女たちは優秀な兵隊だ。

「〝サエギリ〟」

 ――〝三重斬リサエギリ〟。

〝祝詞〟は「掛ける言葉の数が多ければ多いほど」「掛ける言葉(単語)の長さが長ければ長いほど」強力になる。〝遮〟は、言葉は少ないが長さが(少し)長いので強度は増す――

 地面は塞がれ(なんだこの表現)私の股間――正しくは正中線を狙っていた鋒の動きは止まる(地面の中で息はできるのだろうか。「ドンブラ粉」ならできない筈だが、「オアシス」だとどうなのだろうか)。上には私の、真っ白な中心に黒の十字架が描かれた大剣を一度大きくかつ素早く振る(例えるなら「『大乱闘スマッシュブラザーズSP』のガノンドロフの上スマッシュ攻撃」だろうか)――一度目は手応えがない、どうやら躱したようだ――ただ〝三重斬リ〟なのだ、一撃が三重になる――二撃目で手応え――たぶん硬かったので剣で受けてそれが折れたのだろう、三撃目は柔らかい肉と剣ほど硬くはない骨の感触、その瞬間ばしゃばしゃと鮮やかな赤色の――ではなかった。

 どうやらやはり姿を透明にしていたらしいメイドが、腰のあたりで真っ二つになったものが落ちてくる、が、血が、そいつのそれは真っ黒で――じゅうじゅうと、私の服を、そして私が左手で摑んでいたメイドを生きたまま溶かしていく。

「ああああああ」

 悲しい悲鳴と共に、その女はみるみるうちに皮が焼け肉が溶け、骨が崩れ落ちた。

 対して私の肉体に痛み(のセンサーが反応している様子)はないので、どうやら私の〝機械〟の肉体はその「毒」を受け付けていないようだ。私の〝能力〟に感謝。

 ただまた全裸になってしまった。せっかくあのお嬢様な服、気に入っていたのに――

 いや、「王女様」か?

「……彼女の『最期の血』でも倒せないなんて」

「いや、偶然だよ」

 言いながら私の剣で――剣も〝機械〟の能力の一部だから溶けていない――床を突き刺す。手応えはあったが、どこに当たったかはわからなかった。まあいい。

 私は剣を抜き、剣の血を払う、肉体に浴びた血も、張りつくことも固まることもなく、全て床に流れていき――床を溶かしながら、その剣で開いた穴へと流れていく。

 綺麗になった私の体――見た目は普通に人間のようなのだ。性質が〝機械〟なだけで、動きや臓器、触った感じなどは普通の人間である。まあ臓器は攻撃を受けそうなとき体内の異次元とかで保護するんだけど、それはそれ。

「で?」

「……」

 私はその「侍従長」と勝手に私の中で翻訳された役職で呼ばれる女に問う。

「まだ私を手伝わせる気はある?」

「……」

「答えやすい質問に変えようか? まだ私を手助けする気はある?」

「……はい」

「それじゃあ、まずは非礼を詫びないとね?」

「……、……申し訳ないことをしました」

「許す」

 許す――と自分で言ってしまって吹き出してしまった。

「ふふふふふははははははははは」

 哄笑するーーまるで神のように。

 下唇を嚙み締めて悔しさを噛み殺してそう言うメイド長に免じて、私は戦闘を強いられたこと、服を溶かされて全裸にされたことは許すことにした。他はまだ許していないけど、まあそれを「許す」と判断するのは、私が元の世界に帰ることができてからだ。

「じゃあまずは、私の服を用意してくれる?」

 私は剣を元の三つ編みに戻し、こきこきと首を鳴らす。

「あと、赤縁の眼鏡も」

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