狂気の華

この世界の中心

 「まぁ、好きにすればいい。」




と本人の自由意思に任せる。




リリスはわかりましたと、やる気満々になる。リンとアテナはそれを見て、少し困惑している。




まぁ、そんなことより、今の私は戦いを求めているのであって、このまま、ぬるま湯に浸かっていると魂が壊れてしまいそうな気がしてしょうがない。




そこでどこか戦争していないかと、そばにいるリリスにこの世界の情勢を問うてみた。




「はい、この国ジルド皇国は、先ほどまで魔王軍の侵攻に危ぶまれていましたが、壊滅したことにより現在は、どこの国とも戦争をしておりません。やっとこの国に、平和が訪れたのです。」




そう嬉しそうに言うリリスであったが、私は次のような質問をする。




「一番、被害の少なかった国はどこだ。軍に一番力を入れていた国はどこだ。」




その言葉に、リリスの血の気が引く。




「我が国の北に位置する・・ノルディン王国です・・・。」




「その王は、勇敢か? 」




リリスが恐る恐る答える。




「はい、前線で勇敢にも奮戦して魔王軍を一番に撃退しておりました・・・。」




次の戦争が近いことを感じとる。人というのは、敵がいれば纏まるが、それがなくなればまた、争い始める。それが昨日の友であったとしてもだ。




「どれ、さっそくそのノルディンとやらに行ってみるか。」




そう高々に宣言して、リンとアテナを担ぎ、全力で走り、突き破った窓から飛び去るのであった。




その際、リンは気絶し、アテナは発狂しながら泣き喚いていた。




「だからぁあああああ、なんで私達もつれていくのぉおおおおおおおお。」




「仲間なのだから、当然であろう!! 」




 アテナが泣きながら、気絶しているリンを揺さぶる。




「リン、起きて、私たち、うぅぅぅ、生きてるよ。うぅぅ、怖かったよぉ・・・・。」




そう言いながら、泣いているアテナをさすっている。



そんな奴らを捨て置いて、この国を見て回るとするか。



だが、私の正体がバレてはならんと思い、捨て置かれていた仮面を身につけて、空へと飛び立つのであった。




はるか上空で、私の眼下には大軍勢が見える。あれが、ノルディンの軍かと思い、空を蹴り、その場へと急降下する。




「なにぃ!! 魔王軍が壊滅しただと!! 」




王、ヨルダはその知らせに驚いた。まさか、あの魔王軍が私の代で、終焉を迎えるとは思いもしなかったのだ。そして、我が国以外が止めを刺すなど、思いもよらなかった。




しかし、困ったものだ、若いころから魔王討伐を掲げていた私の生きがいが、ぷつりと途切れてしまった。



手塩にかけて育て上げた我が軍はこれからどうしたらよいのか、皆を路頭に迷わせてしまう。そんなことを考えていた時に、




「ドオオオオオオオオン!! 」




外の方で地響きがなる。何事かと思い、外に出てみると、仮面の青年がそこに立っていたのであった。

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