惚れられる。

 「う~~~ん、汚い、この景色は風情がない。」




と魔王城から眺める景色は、活気がなく薄暗いものであった。ものの一瞬で制圧した城を眼下に見下ろす。




先ほど描いた「小鬼の蓮華」が見える。こうして、高い場所から見ると、赤い蓮華がそこに咲いたようにきれいだった。




しかし、この世界の世相がよくわかってないことに気付く。この魔王城を制圧してもよかったんだろうか、そんな疑問が思いつく。



だが、暇が潰せたので、よかったんじゃないかと片づける。




そして、魔王城を軽く蹴り、リリスの城へと向かうのであった。




 城の窓を勢いよく蹴り破ってリリスのいる部屋に乱入する。リリスとアテナ、リンが驚き、腰を抜かしている。




「どうした、そんなに驚くことか? 」




そこまで驚くほどのことではないだろうと思っていると、




「あのここ、けっこう高い場所なんですけど。」




とアテナが言う。そう言われて、蹴り破った窓の下を見ると人が点のように見えた。




「なぁに、私にとってはどうってことない。」




その何気ない言葉を一同は、一回聞き流そうとしていた。しかし、リンがその違和感に気付く。




「あなた・・・、本当にアルさんなんですか・・・? 」




恐る恐る私の方を見る。リリスやアテナの顔色がどんどんと変わっていくのが見てとれた。




「そこらへんの勇者でもできることだぞ。」




そう言って、ベッドに横になるのであった。




 しばらく寝た後、目が覚めると、リリスたちが待ち構えていた。




「先ほど、斥候から連絡が入り、魔王軍が壊滅したとの情報が来ました。」




喜ばしそうに言い、そして、私の元へ寄ってきて抱きつく。




「ラン様、この世界が平和になったことですし、どうか、私の夫になってくださいませ。」




そう言ってくるが、




「私は貴様を求める気は更々ないぞ。」




とはっきり断る。あまりにも、即決で言われたので、リリスのプライドはズタボロに引き裂かれ、放心状態となる。




 リンとアテナがフォローを入れる。




「リリス様は、本当はあんな人じゃないんです。」




などと言うが、リリスは




「いいえ、私はラン様しか興味がありません!! ほかの男などどうでもいいと思えるほど彼を好きになりました。」




と断言する。私は彼女が恐怖で頭がおかしくなったと断定するのであった。

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