邪魔者
リンとアテナの後をついて行き、食堂に向かう私たちの前に大勢の人だかりができていた。
「なんだ、祭りか。」
そう尋ねると、リンが、
「強い魔物を倒した姫様のパーティーの凱旋らしいわ。やっぱり、あのパーティーは強いわ、私ももっと頑張らなきゃ。」
そう言って足を止める。しかし、私は早く飯が食べたいのだ。
「おい、止まるな。食堂に案内しろ。」
と言うと、
「で、でも、その食堂は向かいの通りよ。それにこの人だかりを超えて、凱旋している姫様の列に横を突っ切らなきゃ駄目なのよ、そんなの無理だわ!! 」
と狼狽する。
「その食堂とやらは、どの建物だ。」
とリンに聞くと、
「あ、あの赤い店。」
と答えるので、私はその店へと向かう。
後ろの方で、ちょ、ちょっと!! とリンの呼ぶ声がするが、無視して、人だかりを前にする。無理やり通ってもいいが、身体が疲れるので、
「邪魔だぁああ!!! 」
と大きな声を出す。すると、民衆が私を見る。その姿にたじろいだのか、次々に退き道が出来る。私はその道を悠然と歩いて行く。そして、凱旋をしているー列に突っ込む。
「おいおい、変な奴が来たぞ。今、俺たちが渡ってるんだから、待ってな。」
といて好かない男が話す。
「あ、危ないですよ。ちょっと待っててください。」
と杖を持った女が言う。
「おい、君。今、姫様が凱旋をしているんだ。変なまねはよしてくれ!!」
そう言って、弱そうな男が目の前に立ちはだかる。
「邪魔だ。」
と小声で言うが、そいつは退こうとはしない。
その男は、さらに
「姫様の列に、突っ込んでくるとは何奴!! この勇者ハジメが、成敗してくれる!! 」
と言うと、民衆が、
「ハジメ!! やっちまえ!! 」
「キャーー!! ハジメ様!! 」
と熱狂する。
耳障りだなと思いつつも、無視をして進むが、そいつがまた立ちはだかる。本当に邪魔だ。
「これが最後の忠告だ。戻れ!! 」
と真剣な面持ちで語りかけてくるが、それでも、私は進もうとする。すると、そいつは剣を引き抜き、切りかかってくる。私はその剣を見る。
「ほぉーー、いい一振りじゃないか。よこせ。」
と切りかかってくるハジメを一蹴りして、剣を奪い取る。ハジメは遠くの建物に吹っ飛んでいった。
「さっきの一振りよりかは、多少はマシだな。」
と剣を振る。沈黙と緊張が辺りを支配する。私はそんなことなどお構いなしに店へと進む。横切った一行は、何が起こったわからないような顔をしていた。
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