修羅よりはうまい
静まり返る民衆をよそに赤い屋根の食堂に入る。客は誰ひとりとしていない店だ。店主は外での出来事を知らぬのか。
「ご注文は? 」
と応対する。私は一言、
「この店で一番うまいものを頼む。」
と答えると、店主は
「はいよ。」
そう言って、料理を持ってくる。
うん、いい匂いだ。そして、喰らいつく。うまい肉だ。修羅の時に食べていた人肉よりはるかにうまい。
そうして、肉を味わっていると、店主がこちらに近寄ってくる。
「あんた、一体何したんだい。」
と私に聞いてくる。
「しらん。」
と一言だけ告げる。しかし、外には
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民衆が店の前に群がっていた。そんなに、この肉が食べたいのか、卑しい奴らだなと思いつつ肉を貪る。
すると、その民衆の中からリンとアテナがやってくる。
「ランさん、あなた一体なにしてるんですか!!」
そう言ってキャンキャンと騒ぐ。至福の食事中だというのに、無礼な奴だな。
愛しいが・・・ここで殺してやろうかとも思うが、干し肉の恩があるので、ぐっとこらえる。食べ終わった頃、彼女らに一言、
「目の前にあった石を退けただけだ。」
そう言い放つ。彼女らはこの世のものとは思えないものを見たかのような目をする。
「あ、あなた・・・狂っている。」
「こ、この人、おかしい。」
そう二人はブツブツと独り言を言い始める。私はそんな彼女らを無視して、適当に金をおいていく。
店主がちょっと足りないよと言ったような気がしたが、それを無視して、店を出る。人々が道を開けるかのように退いていく。
先ほど、通った大通りに出ると何やら鎧を纏った奴らがこちらに近づいてきていた。そして、私を取り囲む。
しかし、取り囲んだ者たちは恐怖におびえた様子であった。ある者は泣きながら、ある者は祈りながら、私を見ている。そして、隊の長らしきものが、遠く離れた場所から
「お前に告ぐ。お前はこの国の勇者ハジメ殿を瀕死にさせた罪により、ここで死刑を言い渡す。」
と言い放つ。私はそれに驚く、
「ほぉ~~あの者、死んでいなかったか。」
その言葉に兵士たちは動揺する。
「ハジメ様を一撃で倒した奴に、俺たちが叶うはずがない。」
とある者がそう呟くが、隊の長はそれを無視して、かかれ!! と号令をかける。
「お前たち、戦うということは死んでもいいということだぞ。容赦はしないぞ。」
と一応の警告を発する。その言葉に兵士たちは臆したのか誰一人として動かない。なんだ骨がないなと思い、その場を立ち去ろうと歩き始めると、兵士が自ら退き、道を開ける。
この世界の者達は骨がないなと思いながら、見晴らしのよい場所へと行くのであった。
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