第29話

所変わってエルファーレ精霊の森

界層主が空白になり

前ハイエルフの巫女様が

命と引き換えに

この世界の改変と

エルフ種の独立を

果たしたのが300年前


ハイエルフ評議会メンバー

6名と主要里長30名

全てが休眠を余儀なくされる

という大精霊術で

おそらく精霊王も

その時の対価で喪失

もしくは顕現する

精霊力が枯渇して

未だ不明という

事態に陥っている


この世界の界層主は

休眠する誰か

もしくは新しく誕生する

ハイエルフに受け継がれる

森の世界樹が管理し

ハイエルフの巫女は

世界樹の声を聞き

森の運営をする

休眠している評議会メンバーは

意識は世界樹と繋がっており

その知識は世界樹を介して

その時の巫女に受け継がれる

但し未だフレイが消失した証拠は無く

光りの精霊としての自我が強く

界層主改変の事実は

未だ伝えられていない


そんな中世界樹の神託所

真白と呼ばれる少女が

今日もお声を聞けなかったと

項垂れていた


控えの間ここに入れるのは

水精霊の長及び泉の女神の

メリジェーンと6氏族の長老

樹精霊ドライアドの長

以上8名

風の精霊はここより外でしか

会えない決まりだ


今は誰もいないので

白い繭を抱いて瞑想中だ

けしてうたた寝では無い


鮮明に覚えてるのは

こちらに帰ってから

最初に声が聞こえた時だ


無色透明な魂だけの存在よ

貴女が帰ってくるのはまだ早いの

それでも貴方を受け入れましょう

でもこれだけは聞いて欲しい

闇のは触れることも拒みました

あはたには光りが溢れている

フレイあの方の光は

癒しだけではないの

おそらく貴方には宝剣

レヴィアタンを

その身に宿している

それが平和の灯火になるか

我が身を焼く業火になるか

エルフの掟で火の属性持ちは

泉に帰らせて分解させるのね

それは忍びないので

古いとても古い友人に貰った

神刀を授けましょう

アクエリアスの宝瓶

双子の魚の水瓶の運搬人

銘を瓶

癒しと守りの水を携える刀です

常に表に見えていますが

実際には貴方の中にある

そういうものですので

常に身に付け躊躇無く

使用してください

貴方の心の中の炎が

消えたりはしないでしょうが

少なくとも見えなくなります


それから一度も

声を聞かないんですけど

刀が泣いてる

キーンと音がして

鯉渕が浮いてます

慌てて神託所に駆け込みました


『その子そろそろ生まれるわよ』


ふぁ?繭がしゅるしゅる

解けていきます

裂けたり光って消えたりと

予想していただけに

以外でした


中から生まれ出たのは白い子猫


『守護獣にしても猫はまずいわね』

『火炎系の能力も隠匿しなくちゃ』

『糸を被せて刀を抜いて横に一閃』

『真上に構えて真下に振り下ろし』

『刃は無い物と思いなさい大丈夫』

『失敗しても後八つは命あるから』


えーーー

見えないようにして

切り殺せって事ですか

子猫はとても可愛く

涙を流しながら

言われたようにしました

すると本当に斬った感触が無く

水飛沫を浴びた糸が

湿って張り付き

うにょうにょしたと思ったら

白い子犬に変わりました

この子もかわいい


『守護者とは見た目を変えましょう』

『良い実が生ったので使いましょう』

『太神の称号が使えたのでオオカミ』

『多くの獣の神に昇格させましょう』

『過去の記憶の封印と新しいスキル』

『火炎系能力の無効と回復術の取得』

『水系治癒術取得水と光りの精霊術』

『守護獣認定獣神指定と魂のリンク』

『神狼=人狼化の許可称号森の番人』

『巫女いえオラクルとして入場許可』

『このくらいすれば誤魔化せるかね』


声しか聞こえませんが

とっても悪いお顔を

されてる気がします


「温情感謝いたします御心のままに」


落ち着いたらお仕事頼むねって

軽いのりでお願いされました

この子が起きるまでは

自室で待機です





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る