第27話

皇樹武装を手放した木の葉は

黒い靄のようなものになり

ふよふよと聖樹の元に取り付き

姿を隠した


ダークエルフの生態は

この領域世界の約束事

世界樹の上層界

神界や

エルフの森などの

神族の眷族の世界

光りや養分などが

吸い取られた後の

不純物穢れなどを

顕現させて討伐

土の精霊に分解を頼み

大地母神が穢れをはらい

時に取り込み薄く弱く

大地より顕現させ

其れを打ち果たして

徐々に無害化していく

瘴気と呼ばれるほどの魔素は

生き物を狂わせ

肉体や性質まで変える

ダークエルフは闇の精霊の

眷属キリングマシーンとして

同属以外の全ての生き物を攻撃する

何度殺されても生き返り

その生き方は不死系魔物のようであり

殺戮と戦いが我れが望み

そのような者共なので

女王か闇の精霊に話をつけて

土地の浄化か大地母神が癒えるまで

協力は無理でも中立

せめて黒き森の領域の進入禁止

聖樹への破壊活動は禁止としたい

竜を狩るのは別にいいけど

土地も肥えるし


話し合いの前にやるべき事がある

岩の裂け目に戻ると

エリスともう一人の水樹を呼ぶ

エリスさんには

ここの水を増やして欲しいと

もう一人の水樹には

中継点の泉の管理と

聖樹の森の管理

地域の探索をお願いした


今後の計画では

ここエルフの世界との境界が

北の果てそこから

大山の岩の裂け目から

水が流れ草原の所から円を描き

森の周りを一周して内に水を蓄える

水が魔力結界のようになり

上空からは瘴気が聖樹に浄化される

南の果てに火のいずる大地があり

その明かりと暖かさで照らし

命を芽吹かせるのが当面の課題だ


そこでエリスには水霊の加護

水精霊の大精霊に昇格する為の

青い瞳を授けた

境界渡りエイリアスのアドレスを付与


薬草の生い茂る草原に

水樹に付いて来てもらい

品物之比礼(くさぐさのもののひれ)

比礼を授けた


これは様々な樹木の種が

入っていると云われる入れ物で

通称物入れなんだが

ものの~ひれ~~

ふるべ ゆらゆらと ふるべ~~

と言いながら振ると

シャンシャンシャンだか

リンリンリンだか音がして

毛のような物が振り撒かれ

その場所に適切な草木が

即成体で現れるという宝物だ


水の雫のような

碧い玉

まかるかへしと呼ぶ

赤い雫石

道返玉

と三つの瑞宝を授けた


名付けだが希望はあるかと聞くと

アッカがいいらしいんだが

赤の女王と揉めそうだし

アックアかアクアにして欲しいと

頼んでみた

髪色が赤くなるなら

アクアでもいいらしい

聖樹の葉の色に影響されたか

アクアマリンで要石を作って

祭壇に祭り魔金と聖銀で

聖樹の葉を挟み鏡にする

鏡面に瑞樹アクアを写し

神力を注ぐと

始めは黒く淡く光り

次第に白く明るくなり

やがて金色夜想の怪しい光になり

常闇の水精霊へと格が上昇し

草原から聖樹の樹液が湧き上がり

薬草は溶けて混ざり

黒い鏡面の泉が出来た


外の溝にはエリスの水を回してくれ

内を聖域とすればいい


やがて鱗樹の参道の中央に

青い水が流れ

白い花の聖気を浴びながら

その水は草原の手前で分かれ

外周の溝に沿って流れ

広く開けた草原は

中央が盆地になって

黒き鏡面の泉と

薬草や薬効のある草花で

多い尽くされ

森の外の荒れ果てた土地とは

対照的に地上の楽園のようであった


ここでスナは大変なうっかりをしているのだが

本人は気がつかず後から困ったことに成る

これもコルゴダ由来の能力設定にした所以か

中身はそうでないと思いたいが

活動体やっぱ知性が足りてないのではないか


ミミはずっと放置されていたので

最初に水河の所に行った

すぐ近くに出来た聖樹の森

聖樹の出来た経緯と

ここの森も残す約束などをしていた

話の中でスイカが

しきりに精霊とみられる

少年と幼女を気にしていた

落ち着くまではそのままにしよっか

軽いのりで二人はエリスに会いに行った

泉の畔には白い菩提樹のような木が生えていた

透明で菱形の金剛石が鏤められたその木は

すっとクリスタルのように透けると

エリスが姿を現した


ようこそいらっしゃいました

深々とお辞儀をする彼女をよく見ると

キラキラとした細金のような髪

青い瞳には膨大な魔力が感じられ

星のようにキラキラ輝いていた

水樹の頃は透明な人型

もしくは水の色の人っぽい物

だった彼女は透き通るような白い肌

神々しい顔立ちにすらっとした体

水の精霊は平坦な体つきを

していることが多いのだが

彼女は母性を感じさせる

豊満な胸と

なだらかな桃のような尻

訪問者2名は悔しいような

負けたような気持ちになりつつも


水河は気がついてしまった

「貴女水の大精霊に成ったの?」と

大精霊は6属性火と水と風と大地と

光りと闇の六属性6人と

常識ではそうなっていた


彼女を見ると木属性の精霊で

水の大精霊光りの精霊で

蛇・・いや竜の因子を持ち

土地神的なエリアマスターであり

異界渡りまで許可されている


後出しジャンケンかよ・・

項垂れて膝までついていた


ミミはマスターに緊急連絡です


『水河さんが危険が危ないと告げます』




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