第24話

『ミミ見てないで助けろ』


ミ「あぶなーい」


渾身のドロップキックを

瀕死のエルフに食らわせてた

あれ致命傷じゃないかな


やっぱりというか

ミミはダメージ受けないんだな

別に死んでもいいとか思ってないけど


それでも後ろの人たちは

ほとんど全滅じゃないかな


年長者として

ちょっと頑張っちゃおうかな


白樺?白い樹を

ミサイルよろしく発射したから

黒竜の長い尻尾で粉砕

そのまま背中に叩きつけてやった


「Guooo」


あ 鳴くんだ


そのまま誘導

裂け目を出た所から

羽の大きめの鱗を

剣のように射出

ベヒーモスの体の

側面に当てると

血を撒き散らしながら

弾かれギリギリの幅の

黒い鱗の壁ができる


ベヒーモスは引き返せないし

侵入者は飛行でもしなけりゃ

この道しか通れない


裂け目では水樹と主人がもめてた

ラミアは半数が脱落

イケメンさんは

見当たらないから

泉にでも沈んでるか


黒い蛇みたいなの

主人格のが追ってきてるな


つーかミミさんに

倒してもらおうと

思っているのだけど


海召喚して

海竜とでも

戦ってもらおうと

思っていたのに


全ては侵入者が悪い

白い樹連続で12本くらい飛んできた

4本1セットかな


菱形の黒鱗で縦断爆撃

木っ端微塵にし


『話し合いは必要ない』

『逃がしてもいいから回収だけしてこっち来て』


鱗に風の斬撃を付与して飛ばしながら

様子を見るも背びれのような木や

白い触手等は傷が付くも

翠の鎧のようなものは

普通に弾かれている


ジリ貧だな


気がつくと

ブラックバイパー・・・

パイソンかが

ベヒーモスの尻尾に

大きく口お開けて

噛み付こうとしていた

そこに打ち込まれる

銀の弾丸

衝撃で吹っ飛び

赤黒い血を撒き散らしながら

転がりピクリとも動かなくなった


追撃の銀の弾丸は

ミミが体を盾にして防いだ

体に触れたものを

片っ端から収納したらしい

なんかだんだん似てきたなと


『禁呪を使うからそこの黒いの保管しておいて』


虚無の彼方より生まれ出る

何処かに請い対価は生命の賛歌

命の灯火にして九千八百

九星二黒三白二赤

アジュデーケイション


黒い球体が回りながら

ベヒーモスに近付くと

その巨体を覆いつくし

触れたものが砂の様に

更々と崩れ落ちる

翠光の鎧は抵抗するも

白い鱗は罅割れ

吹き出した血は

一瞬で乾き

赤い結晶の粒になり

黒い卵形の宝石が

ベヒーモスを覆っていた

黒い空間を全て吸い取ると

赤くキラキラした光りが

表面に点滅していた


黒竜は其れを掴み

天空より見下ろす


ベヒーモスは

見る影も無くカラカラの

干した蜥蜴のようであった

鎧は無事でも満身創痍で

目は虚ろで覇気が無く

地面にへたりこんでいた


竜言語魔法

嘗て七色の竜王と呼ばれた

その竜王の十八番だったらしい

敵を打ち倒す触媒の対価が

国民の生命力だなど

やはり竜王国は長くは

持たなかった

そう伝えられている

曰くつきの魔法だ

アレンジして相手の生命力にしてあるが


『ジャッジ一回で倒せるから』

『倒したら収納複製』

『でオリジナルの亡骸出して』


手早く指示をだす

ベヒーモスと対峙したと思ったら

ワンパンした・・

は?と思ったら倒せたらしく

収納複製してオリジナルの亡骸をだした

へー本当に倒したんだ


『慈悲の涙を流せ』

今回ミミの眷族化させるのに

神の奇跡を使う事にした

悲しみの涙ではなく

いつくしみ慈愛の涙

その水は生命の賛歌

愛と喜びに満ち溢れた

乾いた心を癒す水


常人は触れちゃ駄目なやつです


サービスで修復にリカバーかけました

鱗も触手もピッカピカです


* 一緒に旅に出ようよ

* 君のことが大好きなんだ

* 絶対幸せにするから

* 何時までも一緒に居るよ


あいつ何やってるんだ

死体に調教なんて効くわけないだろ


涙が染み込み

ミミの後ろに

白いハリネズミの幻視が見え

ベヒーモスが発光すると

ぽふんと三歳児くらいの幼女になった

白いくるくるした毛

澄んだ翠の虹彩

染み1つ無い白い肌


「ママ」


「ベヒーモス・・・」


言い終わる前に白い空間に

呼び出しました

ミミと白い綿菓子みたいなの


お仕置きです

なんで名付けに種族名?

あとなんか余計な事言おうとした

なんでベヒーモスは

こちらに移します

綿菓子をちぎって

小さく丸めた物に

ミミから伸びた

もやもやを押し込める


個体名はケイにしましょう

怪しげな調教を破棄し

親子関係を認めます

ミミには聖竜の母の称号を与え

竜種と聖獣の創造を許可します

ちゃんとかタンは命名に禁止です

公私の区別を付けましょう


個別名ケイには

聖獣認定を付けます

著しい行使の不適格が認められれば

認定を取り消すこともあります


この丸い毛玉は

複製体に押し込んでやれば

次からそれがベヒーモスとして機能します

可能な限り複製作ってから

本体を起動させるのを勧めます


白い空間を終了し

識別名グリーンアイズドケイと

オリジナルモスにマーキングをして

変化の項目にチェク

逐一報告にします


ぼろぼろの固体が横たわっているので

リカバー見た目は綺麗になりますが

所詮は修復魔法なので

とりあえず是基準で複製してもらい

再度取り出して毛玉を押し込みます

自我が消失してるのか

生命力が足らないのか

動き出す気配が無い

ライフエッセンスを舌に垂らし

様子を見ます


幼女ケイがベヒーモスの

口の中を覗きます

いつの間にか手に持つのは

白く長い針のようなもの

舌の上にブスっと刺して

舌をペシペシ叩きます

すると針が消えた場所

魔方陣のような物が浮かび上がり

白く透明な光の渦が

そこでミミがケイを抱きかかえ

頭から出したので口を閉じてしまい

何が起きたかは分かりません

一度預かって以前のスキャンデータを当て

活性化しない理由はなんだ?

オリジナルが居るから

中身が抜けてるのか

毛玉を抜いて

複製を作り解体

毛玉をもっと柔らかく

量も増やし再構築

精霊結晶を取り出し

毛玉を馴染ませて召還

雷魔法のスタンをかけた


再び地上に戻すと

ミミが「なんかピクピクしてますね」

等といいながら正面に回ると

聖獣承認の儀式をしていた

頭に手を載せなにやら呟くと

白いハリネズミの幻視が

顔に向かって盛大に針を飛ばしていた

本当に幻視なのか?


ビクッと起き上がると頭を下げて

触手が伸びてきて手に触れた

やれやれ裂け目に戻るか


黒竜のまま裂け目に戻ると

シェイプチェンジ

黒の竜騎士鎧にクロスヘイムの

フェイスガードを上げた

騎士で貴公子然な風体

苛烈な所は見たから分かるが

知的で優しそうな顔から

此処にいるお嬢様方には

テンションも駄々上がりで

なんせ全て蛇形なものだから

見た目のいい黒竜は大好評

カルラの姿なら

大恐慌だったかもしれないが



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