第18話

一方大地の裂け目

泉の中

水精霊の水河は恐ろしいめにあった

体積の半分くらい吹き飛ばさせ

散った体も元には戻らず

碧い水が来なければ

危なかった


赤く甘い液体を碧い液体で覆うことで

臭いを誤魔化し出自を逸らかした

緑とも深緑とも黒ともいえる

微妙な配色で

縞々にしないのはなんでだ?

とスナが思うくらい

いろいろ誤魔化せてなかった


それとは別に

エメラルドグリーンに深緑

ツートンカラー

いや上から見たら市松模様か

白い四本の指

いや関節が無いから触手か

同じく四本の足

頭から四本の

白い蛇のような触手

絡まりあう様は

生き物のようだ


楕円の白い目

太ましい樽のような体

ペンギンの羽のような腕

丸いドームのような頭

胴と頭の間目の下に角?

牙かなが生え

四本の白い触手状の足で

直立して歩いてくるさまは

ゴーレム?

我茶品?

河馬?


慌てず騒がずスキャンした

河馬スタチュウゲット

獣竜種?

バグってるな

*+*モス?


こっちの水は甘いぞ

水精霊が歌うと

怪獣なんとかモスが

ふらふらと誘導される

精霊を食べるつもりか?


お?

護符にスライムが群がっている

透明なスライム

何処から湧いた?

葉っぱがふらふらと精霊に近づく

ん?破片か?

溶けてない?

あの時のスライムか?

ずいぶん懐いてるな

精霊の手が破片に触れると

イカ釣りの蛍光ライトのような

緑の光りに包まれる

眩しい光だ

竜巻のように

水を巻き上げて

落ちてきた穴に

潜ろうとするも

赤いベールのような

光りの幕に遮られた


中空に放り出された護符を

怪獣がパクリと咥えた

というか


ドーム状の蓋が開いて

樽の中に落ちたみたいな

牙?は胴に付いてるのかよ!!


白い光りがレーザー光線のように

出鱈目に体から発射され

白く塗りつぶした

頭から腰まで伸びた

白金色に輝く甲羅に

世界樹の樹脂のような

エメラルドグリーンの

宝石のような皮膜

白い鬣のような触手に

首背尻尾まで

白樺のような樹木が

背びれのように生える

丸みのある頭は翡翠のような緑で

口は胴まで裂け

その根元胴の部分に

羊の角のような巻いた牙が生える

尻尾は甲冑の肩のように

まるで伊勢海老のような

丸みを帯びた白銀色で

尻尾は銀の樹木が絡まったような鉄球

河馬のような白い四本足

背中に小さい2本の羽

第一関節に四本の爪

左右違う宝玉が持てる

組み合わせでいろいろな魔法

聖属性

植物系

地属性

風魔法


トルネードスピン

尻尾を回して自身を中心にして

竜巻を起こす

飛び上がってボディプレス

背中の白い槍を40本飛ばし

槍の縦断攻撃

鉄球状銀杏が銀の弾丸を飛ばす

突進

叩く

尻尾攻撃


スキャンして

鑑定結果に眩暈がした


彫像は白い河馬だったよ・・


おいじじい

話が違うだろ

何が地竜だ

あんな蜥蜴もどきと一緒にすんな


「おい!水河とかいう精霊」

「死にたくなかったら契約しろ」


速攻で契約してミミ連れて逃げ出しました

ベヒーモス

あそこに置いておけば

門番に最適だろ

黒い亀もどきが出ると思ったが

予想外すぎる


箱に戻った我々は

話し合う事とする


ビーカーに

生命の泉を満たし

水河を呼ぶ


『いつかあの泉に戻してやる』


とりあえず今後の話し合いと

方針其々の身柄の割り振りだ


この身も受体状態では無敵に程遠く

精霊は未知数

ミミも破棄するには惜しく

計画も中途半端

逃がした個体の情報も無し

金鶏もどきも割り込まれた

影響を調べないと

東の果ての泉は使用不可

あの先は大瀑布と魔国の入り口か


西の果ては未調査領域

南の果てが溶岩地帯か


まずは白い大地に池を造り

世界樹の葉と木屑と

紅海の神海水の混合液

生命の泉のレプリカを注ぎ込む

培養が間に合わないというよりも

無限に増殖する肉塊からの

練成のほうが有用だったと

精霊種といえスライムを

増やす危険を考えた

水精霊が足らなければ

自分の分体のほうが

安全だと思ったのもある


水河という水精霊も

ウインデーネ由来か

湖の女神由来か

はたまた泉の乙女由来か

判断できない

とりあえず水精霊という

極めて困難な運用法

分体や指揮系統の隷属化は無いようで

逸れ固体なのは確認済み


神話級植物

黄金林檎の樹を植樹

仙桃にしなかったのは

ある理由からだ


偽アカシアの木を北に群生させる

大地と水

風と木

癒しと光りの力で

植物育成極

促成栽培を施され

瞬く間に雑木林が出来る

最初に来たのはサイレントビー

昆虫系魔物に見えるが

妖精の一種だ


黄金林檎の花の蜜を集め

ロードブラックセージ

黒き賢者の蜂

に種族が現界突破した

オーバーロードではないのは

死者でも隠者でもないから

黒き蜂妖精の王種

妖精王ではない

あくまで強さの指針上の名だ


蜜を集め泉に浸す

共生関係とも

精霊への貢物とでも

とられる行為は

劇的な変化を齎す

泉が琥珀色に輝き

甘い香りと

清浄な空気が満たす


黒き林は一斉に芽吹き

花が咲き

無機質だった地面に

色とりどりの草花が

咲き誇り

緑の絨毯が

湖畔を覆う

黄金林檎の樹は

実を実らせ

そこに光り輝く

女性の聖霊が舞い降りた


「名を聞こう」


ワタクシハ

イツキ

アキラ


ミ『光りの精霊じゃないの?』

水『生命の精霊かと』

ス『聖属性の精霊だな』


ミ『どうすればいいの?』

ス『もう少し待て』

水『来たようですよ』

ミ『ほんとに来た』


銀色のヒドラが向かってきていた

ヤマタ八本の首と一本の尻尾


水河は泉の中

ミミは箱の中

スナは透明化して様子を見ていた


ヤマタは林檎の木を見ると

ブンブン尻尾を振って喜び

泉の水を飲み始めた

甘く林檎の香りのする水は

たいそう美味しく

夢中になって飲んでいた

スナは尻尾の付け根に

金鶏解除の時のドロップ品

ミカエルの炎剣を突き入れると

ポロリと取れ沈黙する

あ・・これ溺れ死んだか

と思いつつ

尻尾を裂くと

中から赤い兜と

一振りの剣

よくわからないが

頭の本体は尻尾の中にあって

あの8本の頭は偽者か?


林檎の精もといイツキさんは

可哀想だとおっしゃって

助命を嘆願した


いや多分こいつ死んでるけど


駄目もとで林檎の実を1つもらって

尻尾に埋め

死海の神海水で断面を洗い

聖銀糸で縫い合わせ

松葉に火を灯し炙り

タイガの松脂を塗り

さらに松の実オイルで浸し


水河に頼んで水面を下げてもらい

体内に入った水も抜いてもらう

リカバーかリバースか迷い

癒しの風で表面を直すと

剣を背中から心臓に突き入れた

イツキさんはえっ!!て表情で固まり

水河はうわーという感じのじと目をし

ミミは目をそらし頭を抱えた


強い刺激があれば生き返るかと

兜戻すのは危険だし


何にも起きないよね

うんうんそうだね

適当に頷いていたら


剣が解けて丸くなり

にょろんと首が生えてきた

他八本は項垂れたままだが


「イツキさんその屑竜眷族化か隷属させて」

「神具贈呈するからこれ使うといい」



千刃の櫛

金の針のような細かい歯が付いた櫛

神獣や巨人やドラゴン等の

巨大生物にも対応した

躾用の拷問具

死なないギリギリの痛みが続く

千本の針は

体内に留まり続け

溶解も破損もしない

使用の際は

嘘ついたら針千本飲ます

と指などに触れ

離す事で起動する

契約を破ると即時執行され

その追跡能力は

テェンダロスの犬かくや

破壊不能オブジェクト


無事契約したみたいで

樹さんはすっごい笑顔だ


対価に実3つ貰って

水河さんとミミに1つずつあげた


「で、九頭竜に聞きたい事あるんだけど」


大淫婦知らないかと尋ねたところ

知らないらしい

本当にしらないらしいので

赤い兜の主を探そう

きっと似たような固体が

いくつもあるのだろう


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