第16話

再び裂け目の中


『生命の泉を練成で培養』

『色の無い核の無いスライムを出してほしい』


スライムに同調して

ウランガラスの破片を取り込んでみる

反応なし

溶解なし


別の破片を器代わりにして

世界樹の葉を乗せ

紅海の神海水を垂らす


葉は溶けたが同調せず

そこに木屑を投入

液化する物の反応なし


内容物を回収して

清掃した後

葉を乗せ

生命の泉を注ぐ


反応なし


ジェシカパイシーズの護符を置く

反応なし


そちらは諦め

別の破片に世界樹の葉を乗せ

血の池の水を入れる

破片が解けて

床に染みこんでしまった


葉だけが残ったので

注視していたら

放置していた器が

カタカタと音を立てていた

ジェシカパイシーズの左右の円が

赤と銀に色付いていた

葉に近付けると

床の染みから

赤い触手のような物が

王冠のように伸び

円の中から紐のような物が飛び出し

絡み合いながら葉の上に降り立つと

蛇のように丸まった

イソギンチャクのような触手が

覆いつくして

一度トライデントの様な三椏になり

やがて左右の先が合わさり

丸みを帯びてスペードのようになり

伸びていた根元が縮み

ハートのようになり

弛緩して崩れそうになり

カゴメ紋を刻んだ護符を乗せ

結界で囲んで


『赤いスライム』


一瞬で憑依して飲み込んだ


結界は火を防ぎ

しかし炙られながら

魔力の塊のような

銀の液体を吸収して

回りながら白い護符に

赤と銀の色をつけ

表面は白地に篭目が銀に

文字は赤く

裏は赤い結晶に

反面が銀糸のペイズリーのような

精巧な模様が描かれていた

涙の尖った部分

そこにアルマジロトカゲとか

アーマードレイクとか呼ばれる

赤い球体を模した

小さな生き物の幻視が見え

両手両足尻尾で

ヒトデの様な装甲が

上下が逆の星を作り

やがて頭からも炎の棘を生やし

篭目の模様に全身燃えると

銀糸の模様ごと泡のように消えた

赤い結晶は輝きを増し

白銀の表は聖剣のような効果を持ち

裏の精霊結晶は癒しの炎の効果を持つ

さらに世界樹の葉を吸収した事で

風と水の精霊も宿せる

護符は光りと土

ノームの血と土と聖光の複合体

赤い精霊石は火と闇


全ての属性を網羅した

宿しているのがスライムなのだが


生命の泉のスライムは

本来分体で意思の無い

水精霊のようなもので

上位固体がいるはずなのだが

核を持ったことで

明確な別種になり

進化と呼ぶには

余りにも逸脱してしまっていた


スライムに憑依しているとはいえ

リソースの全てを使っている訳ではない

複数の同時の神託や

固体操作などは訳なく

早速ミミの機能を借り

黒竜体のガルーダを

増殖する肉塊の血肉で

人化ベースで創り

竜化などの機能はそのままに

ゴルゴダのデータを割り当て

魔石の無い核を入れれば動く

アバターを作った

時空魔法を含む

ミミの機能を参照し

スライムに割り当て

残器を含む複数の

黒竜固体を受け渡しで貰い受け

データを破棄

記憶領域からも消す

人化ベースのガルーダを捕食

ベースはスライムの変身体とした


これにより活動固体を獲得

加減も融通も利くアバターを手に入れた


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る