第15話

北の端

黒い岩の裂け目

赤く爪痕の様なその裂け目に

ミミと共に入っていった

荒野には

それらしい人影が

無かったってのもある

奥まで進むと

淡く緑色に光る場所を見つけた

正六面体のキューブのような

角の丸い石のような

周りには薄く割れたような

卵の欠片の様な

割れたウランガラスのような

木っ端微塵に砕けた

木片のような物まで

半透明な緑の光沢がある

その光りに照らされて

赤い裂け目は

何かの体内のような

命を育む揺り篭のような

栗のイガのような物は

エメラルドにも見える

近くに割れた丸い岩は

木目のような模様をしているが

深い緑の部分は翡翠ではないだろうか


『所要で出かける』


ミミにそう告げると一瞬で姿を消した


================


血の池の穴の先

白い地面に何かを刻むと

いくつかの護符が出来上がった

形は様々で

三角

四角

六角

八角

十二面

星型

其々聖なる言葉や

あるいと高きお方の名

誓約の言葉

制約の内容

特殊な魔方陣

神聖が降りるよりも

魔性が来た時に備えたような

様々な護符の他に


シーズパイセーズ

水の女神の備え


そして念の為

メタトロン紋章を造った

この宝珠限定とはいえ

親しい神格を葬った

報復されることは無いと思うが


この世界はかなり歪な法則で

試行された世界故に

何もかにもデタラメだからだ


箱に戻り世界樹の葉と

タイガ杉の松ぼっくり

杉と言っても

松の実のような物が取れる

それの精油

目に見える聖樹ではなく

世界の壁の

外の枝に移している

七つの大海から

死海

黒海

紅海

その深海から

神海水

超圧力をかけると

真水化した中に

様々な生命のエッセンスが

凝縮される

この世界では

大地の底から吹き上げる

水ではなく

世界の果ては大瀑布で

下に落ちる物であり

遥か天空の上

真の世界樹の

枝葉に支えられており

樹液と葉脈からの

光りの波動を浴びた

神層階の水であり

階段のように

落ちては受け止められ

それは

まるで

羊水のような


それでもゴルゴダの所有物

モルダ葉は再現できるか微妙だった

緑の月の正体は

おおよその予想がついた

あれが星の欠片扱いなら

なんとかなるか

最悪宝珠の欠片と

エセリアルでいいかと

考えていた


そして裂け目に戻るまでで

3秒程で戻ってきた


実体が無いとは

そういうこと


更なる保険で

ミミに練成彫像化

複製製作許可

エーテル使用許可

エーテリオン生成学

鑑定の精密精査

魔力の精密操作

借受エーテルの物質化

召喚と送還術

追加で

精霊の友(仮)

の称号と

ミミの自身の一時借受

身体を短期間寄り代に出来るという契約をした


ここまで優遇しての逃走防止

なのであるが


万が一製作物が分体扱いの中で

暴走又は作為的な裏切りや

偽装の防止だ


加護の無効

取り消し

本体を消失すれば

何も問題ない


暫定的な修復作業なので

諦める試行を中止すればいいだけ


つまり

深く考えてはいなかった



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る