第32話 斧ケン

オノケンタウロスの討伐に成功しました

悪魔族の憑依先が牛族に指定されたので

今後悪魔族特攻は

悪魔族 悪魔族特攻3倍ダメージ

    牛族特攻2倍ダメージ


牛族  悪魔族特攻2倍ダメージ

    亜人族特攻2倍ダメージ

    牛族特攻3倍ダメージ


牛族→馬族2倍ダメージ

馬族→牛族2倍ダメージ

牛族と馬族は反特攻

悪魔族と妖精族も反特攻

馬族は妖精のプリンセスの保護に置かれました


魔族は魔石があるってこと?

馬族に魔石が有ったら妖精族の敵じゃないの?

エルフって妖精族の一種だけど魔石あったような

うーん難しいことわかんない

あれオノケンタウロスって言うんだ

角有ったし牛っぽいし

ケンタウロスって馬の人じゃなかったの?

教えてロンドさん


・・・


ロンドさん怒ってる?

消えちゃった?

初心者用だったの?

私もう一人なの?

おじいちゃんも消えちゃったし

これからどうしたらいいの?


ゴルゴダがさめざめと涙を流している頃

泉の畔ゴルゴダの心臓の浄化施設で

ある異変が起きていた


契約の箱・・本来の心臓が入ったアカシアの小箱

中空に浮いたその箱から円形に伸びる赤い水流

そのいたる所に設置された箱の中身は

細く捩れたガラス管やポーションビン

中には蒸留水を作る装置に似たものなど

おそらくろ過や抽出添加などをして

アカシヤの言う穢れを浄化しているのだろう

ほぼ混じりけの無いオリジナルな状態になった

心臓それは神像=アイドルの様な物に昇華していた

アカシヤが確認のために向かっている頃

それは起こった


なんか途轍もなくヤバイ気がする

自我を持って数日の箱はスキルを確認した

食堂(捕食したものを吸収)

保管(捕食及び収納物保管庫)

擬態(食堂保管に入ったものに擬態する)

吸収(身体能力技能スキルを自分のものに出来る)

隠匿(死亡もしくは許可するまで表示されない)

なお隠匿には生物も入れることが出きる


まず保管に心臓を移した

そして隠匿のスキルを使った

そして本体の2割ほどを割いて心臓に擬態し

箱の元の位置に戻した

そこで逃げるという選択肢が無いのが

生まれて間もない幼さなのか

無意識の忠誠なのかはわからなかった

アカシヤが箱の前に来ると

満足そうに蓋を開け

心臓を掴んで取り出した

すでに本体からは切り離している為

箱には痛みなど無かったが

分離されたソレは機能を失われ

心臓の形をした肉塊と化していた

アカシヤの顔色が変わる

箱を丁寧に器具から外し

再び心臓を戻す

手元から白い紙に包まれた髪の束から数本選び

臓器から伸びた管を縛り

指先から電撃を浴びせた

ドクン

臓器が脈打ち成功かに思えた

破裂しそれでも血が湧きたち

肉塊は止め処なく溢れ出る

その勢いで蓋は弾け飛び

血肉を撒き散らしながら泉へと沈んでいった


あらあら残念な事をしました

アカシアは少しも残念そうじゃなく

新しい箱を出すとレプリカで研究できましたし

触媒があれば複製も出来そうですわね

次のレプリカが出来たら試してみましょう

箱を大切そうに仕舞い込んだ


契約の箱はと言えば

沈み行く箱は偽装した破損を戻し

強引に蓋を閉めて肉塊を切り離す

中に残った無限に増殖する肉塊は

保管の中に堅牢な収納庫を作り

さらにパーミッションを分けて

いつでも切り離せるようにして

保管

解析を進めつつ吸収できるかも試した

溢れ出た血肉はもはや手遅れなので無視

元は自身の本体での擬態なので

問題無く制御できた

ここにミミミカバニースター

通称ミミックさんが誕生した


一方その頃溢れ出した血肉は泉の深い所

血が渦を巻き螺旋が螺旋2重螺旋

一重二重の螺旋の旋律に乗せて

赤い槍が水中を浮上していった

流され巻きつきながら

肉塊が引っ張られるように

泉の畔に舞い上がると

血の槍はまず最初に槍の穂先が巻き角に

赤いモヒカンの馬の顔

逞しい上半身に

逞しい下半身

鬣の先にふさふさの尻尾

一本足の赤い馬

いやユニコーンか

チャリオッツ犬ゾリのような筐体に

左右に車輪が付いている

肉塊は最近増殖しているスライムを

水中で巻き上げたようで

本能のままに捕食した

反応は劇的だった

竜種の血

辰砂

生命の泉

妖精の血

賢者の石の記録が

ゴルゴダの追体験から流れ込んできた

ああ姉妹達

それでは私はマッハなのか・・

赤きマッハ

盲目の魔女

透き通るような白さの肌に

左右刈り込まれた真紅の髪はオールバック

赤い包帯のような布切れを両目の上に巻き込み

血に染まったような色合いの

魔女のローブ

右手は肩まである銀のグリーブと銀の手甲

真赤なブレストプレートと

赤い膝上まであるブーツ

チャリオットと馬は飛行可能で上空から赤い槍を降らす

本来は魔女らしく風や炎の極大魔法を得意とするが

常に戦場をさ迷い歩くという物騒な性格の為

先の用な脳筋まっしぐらな戦いを好んでする


「久々に黄泉帰ってみたが・・」

「人種も戦争もないようだが」


クスクスとアカシヤは笑いながらマッハを抱きしめる


「お久しぶりでございますお姉様」


マッハは困惑そうな顔をしながら

いけ好かない魔女の事を考えていた


「るふぇい?」

「私は赤いトカゲが大っ嫌いだよ」


アカシヤは一瞬顔色を変えたが

バイザーの下で隠れてて事なきを得た

バイザーに触れると黒い帯が目を覆い

漆黒の六枚羽がばさっと衣服から飛び出た


「バーバからも言ってやってください」


すると一本足の赤馬は不機嫌そうにこう言った


「わたしゃその呼び名好きじゃないよ」

「あんた本物かい?見た目じゃ騙されないよ」


「あらやだバーヤ様ごめんなさい」


「どういうことか説明してくれるかい」


「お姉ちゃんがおーじいに騙されてた事とか」

「時系列?まぁ私達に時間なんて関係ないけど」

「私達も含めていろいろ混ざったり間違ったりしてるのよ」


「そこでお姉様にも協力してほしいの」

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