第12話 鎮魂歌
目の前で繰り広げられる
常識外の戦いに
ゴルゴダはへたりこみ
どうすれば生き残れるか考えていた
目の前には折れた槍
空の壷
杖
本
下にあった本に巻いてあった布で
羽織った布を巻くための紐にした
それは見たこともない文字が書かれた布だった
同じ文字で書かれた本も読むことができなかった
頭のあった場所に白い袋があったので
本はそこに入れて腰布に巻きつけた
そこで折れた槍鏃を見たら
《グラディウス》封印状態
と表示されていた
壷は
???の壷
杖は
あめん棒 未・・
布は
羽衣
袋は
収納LV0 未契約
身に着けた何かの影響かしら
魔法は使えそうになかったので
杖は左の腰に
グラディウスを左手に持ち
右手に折れた槍の棒を
立ち上がり箱の縁を出ようとするも
見えない抵抗のような物があり
出れなかった
グラディウスを投げつけると
そのまま地面に刺さった
棒高飛びのように
右手の棒を両手に持って飛び越えた
地面を転がりグラディウスを取ろうとしたが
抜けなかったので
両手で体重を預け
力を抜きもたれかかり
両手で引き抜くと
天高く掲げた
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その頃戦いは苛烈を極めた
二本の黒き刃は銀色を切り裂き
切り伏せ赤き頭は両腕のリボンに拘束され
今まさに終わりの時を迎えようとしていた
まず動いたのはヴァーミリオン
全身が赤い玉のように丸まり
転がって脇をすり抜け
ゴルゴダの前に出ると大きく手を広げ
ぷにっとした尻尾で自身の体を持ち上げると
後ろから見ると逆レッドスターのよう
「大丈夫、私が貴女を守るから」
ゴルゴダを抱きしめると
その唇にキスをした
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銀蛇は赤い首が高温になり熔けるように重なると
まるで蛇そのものが銀色の水滴のようになり
距離をとる逃がすまいと黒い羽が射出され
短めの槍のような形になり
地面に縫い付けるかと思われたとき
急制動し円を描くように門の裏に消えた
守護者は振り返り両手を振り下ろした
ヴァーミリオンの左右のツインテールが
斬り飛ばされそのまま肩口から刃が進入し
背中の装甲はガリガリ削られ
一度胸のあたりで止まり
尻尾の前で切り結ばれ
ヴァーミリオンは崩れ落ちた
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対象が後ろを向いた
翼から覗く白いうなじを食い破ってやろうと
飛び掛ったオルトロスは
左右から翼が開きギロチンのように首が落ち
羽ばたいたことにより3枚卸のように
胴体が切断された
ヴァーミリオンが敗れたことにより
門は消え
蛇の姿もなかった
血溜まりに黒い子犬と
白い犬の仮面のような物が落ちていた
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ゴルゴダは目の前に何かが現れたと思ったら
中からすごく綺麗な人が出てきて
抱きしめられた
とても暖かくていい匂いがした
「大丈夫、私が貴女を守るから」
安心感のある声で
守ってくれると言ってくれた
口付けをされた
ファーストキスだった
もうこのまま時間が止まってしまえばいいのにって思った
幸せだった
人の温もりを感じられた
愛されてるって感じられた
生きて行けるそう思った
だけど
それは
間違いだった
口の中に
塩のような
鉄のような
血?
思わず飲み込んでしまって
眼を見開くと
縛った髪は切り飛ばされ
抱きしめた腕には力がなく
口から糸を引いて崩れ落ち
胸まで穿たれてなお
その瞳は凛としてこちらを見ていて
私は追いかけるように
傅くように手を伸ばし
抱きしめた
全身に血を浴び
不意に腕の感触が無くなると
水溜りと
赤い砂の山
水溜りが
生命の
赤い砂が
いなく・・
なっちゃった・・・
目の前には怖いお姉さん
黒い羽なんて悪いものに違いないわ
そう思って身構えてると
白い人は一言も喋らずに目の前まで来ると
白い指
黒い爪
頬を撫でられ
その冷たい指が
顎
首
胸と移動し
やがて右手のその指が
私の体に入ってきて
心臓を引き抜かれた
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