第8話

御寝所の縁側で

年老いた三毛猫が

日に当たりながら

うつらうつらと

まどろんでいた


突然すくっと立ち上がり

黒髪の少年の下に来ると


『ひと目お会いしたいと思っておりました』


何処からか声が聞こえる

辺りを見回すも猫しかおらん

香箱座りの猫が見上げていた


『名を付けて頂きとう御座います』


猫が喋った


すっと後ろに気配がして

御伽さんが右手の後ろ


「りりーが良いかと思います」


チラッと手元を見ると

命名里りゐと書いてある

でその心は?


「歩く姿は百合の花」


却下

じーっと猫を見る

人物鑑定をするように

心の奥迄見通すように


《スカーレットリリー》

ぬこ

心眼

今生の別れ

ご挨拶

神頼み

終の棲家


本人のりのりだな

半分ぐらい意味わかんないし


パンと拍手を打つ


尻尾が2本

で後いくつ残ってる?

とりあえずこれで

暫くは持つんじゃない?


『これでもう里には行けませんな』


うんうんそうだね

悟り・・

覚りかな

いやねこまるにしよう


命名 ねこまる


真名は何だか知らないけど

ここではねこまるで


玉鋼

いやしろがねの鈴をあげよう

狒緋色金と白銀で

赤々しい狒緋色金は

日の光で虹色に輝く

白銀は月の光りで金色に

闇の中では青白く輝く

もーもー柄で作って渡そう


最後に足される色が

漆黒の魔金か

聖者の白金か

いずれ訪れる

命のを賭けた戦いの結果に

残しておこう


名前たまでもよかったかな


『御名前賜る』


硬いね

御伽さんは失意のまま退散

気がついたら居なかった


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