友達は脆く消えやすい

中川葉子

第1話

「ねぇママ、りんちゃんとゆずちゃんとももちゃん元気なくなっちゃったの……」

「……わかったわ」


 娘の言葉に少し悲しみを覚えながら車でスーパーへ向かう。私がこのスーパーで買うのは林檎柚桃この三つのみだ。会計を済ませ、帰路につく。

 家に帰ると娘が肩を震わせなぜか泣いている。「どうしたの?」「りんちゃんしんじゃった」そんなわけないじゃない。私は娘の頭にそっと手を置き微笑んだ「大丈夫よ。あなたのりんちゃんはここにいるわ。ゆずちゃんもももちゃんもね」そう言いながら袋から果物を取り出す。


「あ!! 生きてる!! なんでママは生き返らせれるの?」

「それはね魔法使いだからよ」

「ママすごい!」


 娘からの羨望の視線を浴びながら体の向きを変え静かに思う。魔法が使えたら果物が友達という盲信に取り憑かれたあなたを魔法で直したいわ。

 ちらりと娘を見ると「私のママは魔法使いなんだよ〜」と嬉々として話しかけている。

 私が17歳のこの子へ信頼を上げることができていないから、架空の物に命を吹き込み会話をするのかもしれない。ただ、私は母親としての仕事も愛情もすべてしたつもりだ。どうしろというのか。

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友達は脆く消えやすい 中川葉子 @tyusensiva

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