二章 ◆好きか嫌いかと問われれば嫌いじゃない

06

私は恋愛なんてしたくない。


過去に付き合った男性からはことごとく振られている。

イメージと違うだの、何か冷たいだの。


私に何を求めていたの?


別に猫かぶっていたとかそういう訳でもない。

むしろ、猫かぶるのをやめる前に振られてしまうのだから、私には恋愛なんて向いてないんだろう。


とどめは最後に付き合った人。

浮気されて捨てられた。

愛しているのは日菜子だけだよなんてよく言えたもんだ。

社内恋愛だったけど、彼は社内で浮気をしていた。

彼の部署の派遣社員の女の子と、こともあろうか会議室でキスをしていた。

たまたま目撃してしまって、驚きのあまり声を上げることもできずその場を逃げ出した。


ひどい裏切り。

男なんて信じられない。


彼は私を追うこともなく、彼女を取った。

居づらくてたまらなくて、会社を辞めようと退職願まで書いて課長に提出したけど、なぜだか課長のところで保留にされてて。

気付いたら彼と浮気相手の彼女の姿が会社から消えていた。

何がどうなったのかわからないけど、課長から「もうちょっとここで頑張ってみない?」と言われて、課長の優しさに諭されたのか浄化されたのか、「はい」って返事をしてた。


課長は多くは語ってくれなかったけど、きっと私は飯田課長に救われたんだと思う。


だけどもう、恋愛なんて懲り懲り。

駆け引きとか正直面倒だし、一人で生きていく方が楽だもの。

幸い正社員だし、会社も安定しているし、人間関係も悪くないし。

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