第2話 ドラキュラさんは趣味が無い

夜勤を明けた。

嫌いな日差しがやって来た。

人間共は「いい天気ね」とかいって空を見上げるらしいな、気持ちいいとか言いながら。

「快楽主義者か!」

弱点でこそ無かったら外に出る事もあるのだろうがそうもいかない。

「陽の光に私が何をした!?」

アウトドアがそんなに偉いか?

汗を流すのがそんなに素晴らしいか?

参加するのに意義がある?

やってみればわかる?

本気で言ってる?俺ドラキュラよ?


「雨の日は寒いしな..。」

インドアの娯楽も考えた、ゲームとかな。だがアレ銃でゾンビを撃つだろ?

愉しめないのだよ。

その、なんか..身内を虐めてるようで何ガリガリのドラキュラがゾンビ狙ってんだって事になるだろ。

「小説でも書くか..」

パーティから外された勇者が奮闘するやつ。極端に強くて無敵で称賛されまくる自我と願望が暴れて止まらない気持ち悪い話をな。

「脳が腐るからやめておこう」

そもそも世界が悪いのだ、この私に厳し過ぎる枷の付いた世の中がな!


「決めたぞ、弱点を克服してやる。」


久方振りに姿見に立つな、勿論オシャレの為じゃない。戦闘服の試着だ。

サングラスにマスク..そして黒いロングコート。

「本当は陽の光が集中する故黒は避けたいのだがな..」

ドラキュラという立場上同じ色しか持っていない。一度服屋に行って別の色を手に取ったとき、「あ、コイツ黒以外も着るんだー」みたいな顔をあからさまにされたからな。

「怯えじゃない、テンプレ保持だ。」

今日やる事は日差しの元外を歩き、トマトジュース以外の主食を口にする。帰りに読みやすい本でも買って帰ってやろう、余裕を見せつける為にな!


「職務質問対策に風邪薬を常備しておこう。」

極度の寒がりというスライドにも出来るしな、我ながら優秀な判断だ。

「簡単だなデメリット共、よく今まで踏ん反り返って威張ってくれた。」

今日で私は..無敵になる!!





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