第3話 彼女の両親
「渋子ちゃん、いい加減、お家に帰ってきたら?」
「嫌です! 絶対にあんな家に帰るものか!」
渋子は家出娘だった。
「お父さんが悪いことをしている間は、絶対に家には戻りません!」
渋子が正義感が強くなったのは、渋子の父親に原因があった。
「困ったわね。渋子は一人娘なんだから早くうちに帰って、お父さんの会社を継いで会長になってもらわないといけないのに。」
「お母さんは私に悪いことをしろというの!? お金、お金、お金! お金のためなら人殺しから強盗まで、ありとあらゆり犯罪に手を染めて、良心の呵責はないの!? お父さんの性で泣いている人たちがたくさんいるのよ!」
渋子の父親は、かなり悪い会社の会長らしい。そこから推理すると、渋子は社長令嬢になる。
「でも、お金持ちって、お金を多く集めた人のことをいって、貧乏人ってお金を多く使った人のことをいうのよ。自業自得じゃない。」
これがお金持ち視点の論理である。
「あわわわわわー! 聞こえない。」
渋子は耳塞ぎ、声を出して手を当てて、自分の信条に都合の悪い母親の言葉を聞こえていないフリをする。
「お金だけじゃないでしょ! 人間は一生懸命に汗と血と涙を流して、歯を食いしばりながら働いてお金を稼ぐことに意味があるのよ!」
これが渋子の信条である。
「それは貧乏人の言い分よ。あなた、家を出てから苦労したのね。」
渋子は家出してから仕事を転々と変えているので、お金が貯まらないで苦労している。
「貧乏に負けたら、うちに帰ってきてね。」
「私は負けないわ! 欲しがりません! 勝つまでは!」
「あんた、いつの時代の人よ。」
こうして渋子は母親と別れた。
「まだダメね。頑固なのはお父さん譲りだわ。」
帰りの車の中で渋子ママは、娘が家に帰って来るのは時間がかかると感じた。
「おまえらもかー!?」
渋子は新しくファミリーレストラン、略してファミレスにウエイトレスとして就職した。
「キャアアアアアアー! 助けてください!?」
ファミレスの食品倉庫でファミレスの店長と先輩たちが、アルバイトの女の子を襲おうとしている。
「新入りは黙っていろ!」
「そうだ! そうだ!」
「せっかく就職させてやったのに、また無職に戻りたいのか!?」
ファミレスの店長や先輩たちが渋子を脅してくる。
「無職が怖くて仕事ができるか! 私の辞書に不可能はない!」
正義貫徹の渋子の信念は絶対に揺るがない。
つづく。
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