第2話 異世界転生の前に



「.......んだ........!」


「お.....るんだ......!」


声が聞こえる。

確か俺は.....鉄パイプの下敷きになって死んだはず.....

じゃあこれは....夢か...?


「起きるんだ......!」

だんだん声が大きくなる。

これは.....夢じゃない!?


「起きるんだ!!」


誰かの声で目が覚めた。

「ここは.....?」


状況が把握できない。死んだはずの俺がなぜまだ意識を保っているんだ?


「やっと起きたようだね。」

目の前には謎の光が佇んでいた。もやのようなオーラのような光の塊。

そこから声が聞こえてくる。


「あなたは?」


「私はレーブ。この世界の神"だった"存在さ。」

謎の光は自分の事をレーブと名乗った。


「それで、俺はなんでここに?」


「成り行きだな。話すと少し長くなるが......」


「手短にお願いします。」


「まぁそう言わずに聞け。まずここは、君のいた世界とは別の世界。いわゆる君たちにとっての"異世界"というヤツだ。私はこの世界で神だった。」


彼はさっきもそうだが自分の事を神だったと言っている。どういう事なんだ?

「あの、なぜ神ではなく神だったなのですか?」


「そこもおいおい話すさ。まず、この世界は魔法と呼ばれる特殊な能力がある。それとお前の世界とは違って人間と魔族の二つの種族が暮らしていた。私はこの世界で人々と魔族の二つを導き、彼らが住める環境を長い年月を経て作り上げた。国とも呼べる物もでき、彼らはお互いに支え合って生きてきた。だがそれから数千年経った日のことだ。人も魔族も無差別に次々と攫われる事件があった。結局その事件の犯人は捕まったのだがそれが全ての元凶だった。そいつは攫った者達を生贄に生命エネルギーとも呼ぶべき大きな結晶を作り上げていた。何もない所から生き物一人を生み出せるほどの膨大なエネルギーだ。国は禁断の魔法によって作られた悪魔の結晶だと誰もわからない場所へ封印したのだが、どこからか結晶の力は噂となりそれを知った人々は結晶を手に入れんと国へ剣を向けた。更に同胞を攫われた上に殺された事に怒った魔族達が人間を襲った。それを皮切りにお互いに不満を持っていた者たちが立ち上がって戦争を始めてしまった。それから人間と魔族の戦いは250年近く続いた。ついに大地は完全に荒れ果て地上から生き物は姿を消した。」


話長いな。しかも話がぶっとんでいる上に一遍に話すせいでなおさらよくわからない。

「つまり、世界を創造したけどすごいエネルギーの結晶を求めて戦争が起きてみんな死んだと?」


「まぁ、大方その通りだ。」


だいたい事情はわかったのだが、なぜもっと早くに手を打たない?


「今、なぜこうなる前になんとかしなかった?という顔をしたな。」


「ギク」

レーブだっけか。この神ひょっとして心を読む力でもあるのだろうか。


「いいか?神というのは導く存在であると共に見守る存在なのだ。そりゃ神の力を使えば一瞬で片付くだろうさ。だが生命の進化と発展を見守ることが神の使命だというのにその神に理不尽な手の加えられ方をされる側はどうだ?君はある日いきなり神の気まぐれで帰る場所も食べ物も奪われて納得ができるのか?」


「それは......」

なるほど。ただ見ているだけという訳ではないみたいだ。しかし、話が見えないぞ。一体それと俺に何の関係があるんだ?

と、その時。


「あぁ?それと俺に何の関係があんだよ!」


暗闇の向こうから佐和橋が姿を現した。


「落ち着きたまえ。ちょうどその説明をするところさ。」


レーブの光が大きくなる。


「さて、少し長かったけどつまり何が言いたいかというとだね、この世界で誕生した生命の結晶はまだ残ってるんだよ。わかる?君たちのどちらか一人、元の世界へ蘇生する事ができるんだ。」


「元の世界に......」

「生き返れる......!?」

思わず息を呑んだ。


「まぁ、それができるかどうかは君たち次第だけどね!それじゃあ.....
















......果てしない旅の幕開けと行こうか!」

不良と凡人による蘇生を巡る戦いが始まろうとしていた。

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