第5話 黒龍戦
「おいおい、泣き叫ぶな。たかが魔人を一体倒しただけだろぉ?それに、まだ安心できないしな」
グリザイアが安心できないと言った理由は無論、黒龍が空を飛んでいるからである。
あの黒龍はたしかに強かった――。グリザイアの家が一瞬で、
「グリザイア……用事がどんなのだったかは聞かないようにしておくよ。それより、もっと大事な黒龍の倒し方だ。それさえ分かれば余裕で倒せるはずなんよなぁ」
「だめです!タカヤさんはしっかり体を休めてください。そうしないと、体が保ちませんよ?」
そう注意してくれたのは桃色の髪をしていてとても可愛いショートカットで、右手に短剣を持っている小柄な美少女メリダだった。
「注意ありがとな。わーったよ、休んでればいいんだるぉ?ったくよォ」
戦いたかったなーと思いつつも、注意されたら退けざるをえない。俺は、メリダとともにギルドに報告しに向かった。
「つーわけなんで、お二人さん、グリザイア師匠をよろしくたのむよ」
「任せろ」
と応えたのは、さすがに大剣使いということだけあって筋肉がすごく爽やかイケメンなロングへア男子の、『バーサーカー』モットーである。
「ふんっ、さっきも見せた通り仲間を守るのは大得意なんで、任せてくれ」
自信満々に応えてくれたのは、先程『シールドフル展開』、『魔術カウンター』を使い、俺たちを守ってくれた『シールダー』のグローリンである。
「ほんと、お前ら頼もしいわ」
「いい仲間ができたな、タカヤ」
「ああ」
俺は、黒龍討伐よろしく。と言ってからメリダに支えられながらギルドのある場所を教えた。
「ここがギルドねぇ……」
「田舎街だからそんなに大きくないだろ」
「それもそうよね」
きっぱり否定しなかったメリダは、そのままギルドに入って行った。
「すいませーん。ここの管理者は誰ですか?」
入って早々メリダが呼びかけるが、返事がない。
「返事……ないな」
思ったのも束の間。
「やぁやぁ、タカヤ殿。ご無事でなにより。傷を負っているようだが、なにがあったのだ?」
呑気に俺の名前を呼び、質問してくるのはここの受付を務めていた男性だ。
よかった、ギルドの人たちは殺されていない。
「私から説明をします……」
メリダはこの街に起きた出来事をてきぱきと、説明していく。俺の状況についてもだ。
魔人が一般人として街に紛れていて100年に一度のペースで人々を殺して魔力を奪い、自分のものにしていたことや、魔人によっては召喚魔術が使えるということも説明していた。
「なるほどな……状況は把握したよ。タカヤ殿、メリダ殿。君たちはここで安静にしていなさい。黒龍が倒されるまで」
「「ありがとうございます」」
異口同音に俺たちは返答し、二階にある宿屋へ向かった。
一方そのころ、グリザイアたちは――。
「グルああああああああぁぁぁ!」
「ハアハア……手強いな、さすが神獣種に属するドラゴンと言うべきか……」
グリザイアは考えている。どうすれば神獣を討てるのかと。
「俺の力、見せてやる!うおおおお!」
叫びながらモットーは火の魔法を使い、黒龍の火球攻撃を防ぎつつ、大剣を振りおろす。
「かってぇえ!なんなんだよこの硬さ!」
「だから言ったろ、硬いって」
「聞いてねぇよ!」
コントじみた会話を二人はしながらモットーは黒龍の背中あたりから飛び降りて戻ってきた。
「だめだこりゃ……」
「神獣種はやっぱり違うよな」
頭を下げてはあ……と、ため息をつくグローリン。
「俺が頑張って攻撃を防いでも俺たちの、攻撃がしっかり通らないなら意味ないな……」
「たしかにそうだな」
冷静に応えるグリザイア。
「火球攻撃来るぞ!備えろ!」
と、叫びながら注意をするのはモットーであった。
「そうだ……!俺の『魔術カウンター』で倒せるのでは!?」
そう思い付いたグローリンは、またみんなを自分の後ろに隠れさせて『魔術カウンター』を発動。
「火球攻撃を、カウンターできるのなら……」
グローリンの巨大な盾に向かって、大量の火球攻撃が襲い掛かる。攻撃が終わった――。
すると、魔法陣が盾から出現して本家よりもさらに威力を上げた攻撃が黒龍を襲う。
「グギャアアアアア」
断末魔とともに紫色の石となって、黒龍は消滅した。
「『魔術カウンター』……中々だな」
「黒龍を俺たちは、倒せた……!!倒せたんだ!バンザイ!」
祝勝をあげるのはモットー。
「みんなお疲れ様……よく頑張ったな。あとで褒美をやるよ」
「ありがとな!」
「ありがとうグリザイア」
モットーから順にお礼を言ったあと、グリザイア他、の家たちの修理に力を注いだ――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます