第4話 魔人 後半戦

「はあはあ……」


「雑魚!雑魚すぎて話にならないわ!グリザイアのやつ、こんな雑魚いやつを弟子にするなんてねぇ……。意味わからないわぁ!ふふふ……。あなたを、すぐにでも屠ってみせるわ。」


じゅるり。


舌なめずりを魔人はして、俺に向かってきた。やばい、死ぬ、死ぬ、このままじゃだめだ。モットー、メリダ、グローリンが来るまで耐えられるのか……。


「へっ、へへ。あんたに、俺を倒せるはずがないんだよなぁ。はあはあ。全力を、尽くす……!!」


「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


甲高い雄叫びとともに、俺は全神経を左手の剣に集中させ、強化を使用。


「ちっ。まだそいつを扱えるだけの、魔力を持っていたなんてねぇ。でも、もう遅いわよ?ふん!」


女性の魔人も、自分のムチを使い、俺の剣を捕えようとするが俺が許さない。自分の体を空中回転させてムチをかわし、一気に魔人目掛けて剣を振り下ろす。


「ぜいやああああ!」


剣が魔人を刺す感覚を、感じ取れた。しかし、次の瞬間魔人によるなんらかの攻撃によって、俺は倒れてしまった。ちょうどその時に、強化も切れた。


「く、クソっ……。グハッ」


血を吐きながら、感じたことない激痛がほとばしる。痛い、痛い、痛い。


――俺は、また死んだのかな……。


と、思っていたその時。例の三人が同時に到着した。

まず、一人目に声をあげたのはメリダだろう。


「きゃぁぁぁ!!タカヤさん!?大丈夫ですか!今、治療を開始します!」


そのカワボが発せられたと同時に、俺の体が温かくなって傷が癒されていくのを、感じた。

その次の声がモットーかな。


「魔人……!てんめぇ!ぶっ殺す!!」


モットーは、言った同時に恐らく大剣を魔人に向かって振り下ろしただろう。


「あらあら、可愛い子供たちね」


最後怒り混じりの、ねを言ったあと魔人は俺の剣目掛けて放ったムチをひるがえし、モットーの背中目掛けて放った。

次の声は、シールダーのグローリンだろう。


「みんなを守る盾とならん!ふんがぁ!」


最後の変な声と同時に、グローリンは巨大な盾で魔人のムチを弾き返す。


キィィィンという金属同士がぶつかる音が鳴った。


「こんなもんなのか、魔人というのは」



「えぇそうよ。私は、弱い方。あんたたちもねぇ!」


魔人は、諦めず。今度は、魔術を使うつもりなのだろう。紫色の魔法陣が浮き出て、なにやら呪文の式句らしきものを唱えている。


「砲撃、開始!」


途端、魔人の周囲六個の魔法陣から何個もの数えきれない、なにかの丸い赤色のものがたくさん飛んできた。


「みんな!俺の後ろに回れ!」


「「「はい!」」」


俺たち三人は、異口同音で応え俺はメリダに支えられながらグローリンの後ろに回った。


その瞬間、盾と魔術による長期戦が開始した。


「大丈夫だ。俺がみんなを守ってみせる」


「みんな、すまない。俺ごときのために死地へ、駆けつけてくれてありがとう」


「気にすることなんて、ないのよ。私だって、好きでこの場に来たわけなんだし」


「つまり、そういうことだ」


メリダとモットーが、答えてくれた。


「ありがとう……。ほんとに、ありがとう……」


「諦めるには、まだ早いぜぇ」


グローリンは、そう言うと。集中攻撃を食らった盾から、魔法陣が出現した。


「行くぜ、これが俺に与えられた固有属性」


その瞬間、魔人に向かって魔法陣から盾が食らったはずの魔術が本家より威力を上げて、襲い掛かる。


「な、なんなのあれ!?きゃぁぁぁ!」


魔人は、自分の魔術の集中攻撃を地肌に食らい、倒れた。


「ふ、ふふふ……。あんたたちを侮りすぎたわね。でも、私は倒れない」


そう言うと、魔人の左に巨大な赤色の魔法陣が出現した。


「ショーの、始まりよぉ!」


途端、グルアアアアという雄叫びと、ともにドラゴンみたいな黒い魔獣が出現した。


「これで、私の勝利よ!行け!我が愛龍、龍神丸よ!」


なんてださい名前なんだ……。


だが、その名前は伊達ではなかった――。


龍神丸と呼ばれし黒龍は、口から火炎を放ち、家の中を焼いた。俺たちは、グローリンの盾にある『シールドフル展開』により、防御範囲拡大によって無事だったが、グリザイアの家は、焼き落ちた。


「シールドフル展開、解除」


巨大シールドは、消えた。


「ふははははは!面白い!面白いわぁ!なんて、素晴らしい光景なんでしょう!火のおかげで、暗かった辺りが輝いてるわ!」


「相変わらず、元気だな」


どこから発せられた声なのか、わからなかった。でも、この声はたしかに聞いたことある声なのだ。


「!?」


魔人は、驚きながら後ろを向く。そこには、煙から姿を露わにした、グリザイアが立っていた。


「ふん、人の家をペットで焼き払うなんてバカだな。しかも、この家は俺の家だ。黙って死ね」


途端、魔人の悲鳴がほとばしり、黒い血を体中から吹きまくり倒れて紫色の石となった。


「待たせたなぁ。タカヤ一行」


「グ、グリザイアーーー!」


俺は、グリザイアに向かって泣き叫び魔人戦は、終了した――。

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