第2話 魔人
「体は、大丈夫か?」
心配の声をかけてくれているのは、先日砂漠地帯にてサメ似の異生物に殺されかけてたところを助けてくれた『ホワイトスピーダー』という二つ名を持つグリザイアである。
なぜ、ホワイトスピーダーなのかというと白髪頭でイケメン(それは関係ない)で、迅速な剣撃で敵をザクザク斬っていくからである。
「あ、ああ。俺は、大丈夫だ。助けてくれてありがとなグリザイア。」
「ふんっ、礼などいらない。ただ、助けてやっただけなのだからな。ところで、なんのために砂漠地帯を歩いていた?あの辺は、あの『グリネイト・シャーク』のようなかなり強い魔獣がいる危険エリアなんだぞ。」
俺は、聞かれるのがまさかなぁとは思っていたものの、見事的中。これは、解答に悩むぞ……。よし、メジャーなやつで答えよう。
「んえ?いや、まあ……。俺の住んでいた街が魔王に乗っ取られてさ、そのあとに俺の誕生日が来るからいよいよ冒険家になれる年なんだよ。なのにさ、魔王に乗っ取られたせいでギルドが潰れたから……。だから、近くにある街にギルドないか探していたらこの砂漠地帯に来たというわけだ。」
「そゆことか。ってことはあんたの家族等は、みな魔王軍にやられたということか……。すまない、辛辣なことを聞いた。」
「いや、終わったことだから大丈夫だ。それより、この街にはギルドはあるのか?」
「あるよ。今いる俺の家からまっすぐ前に行って、つきあたりを曲がったとこ。」
「ありがと!」
俺は、言われた通り道を歩いた。そして、たったの5分でギルドらしき建物に着いた。中世のような建物で。ギルドマークであろう、剣が二本重なったマークが旗に施してあった。ギルドは、二階建て。さらに、寝泊まりもできるらしい。
「お、お邪魔しまーす……。」
俺は、恐る恐る入った。シーンと静かになっていて、辺りを見渡しても冒険家らしき人はおらず、カウンターに受け付けの人が一人いるぐらいだ。受け付けの人は、なんとまぁ綺麗な美女だと期待していたがまさかのイケメン男性でがっかり。それでも、登録すべく俺は話かけた。
「あ、あの……。新しく冒険家になろうと来たんですが……。どうやったらなれますか……?」
ギルドに来たなら知って当然だろ。っていうような顔つきだ。
「は?ギルドにきたならそのぐらい分かるだろ。俺が、言った通りの行動をすれば良い。」
「は、はい!」
やっぱり言われるよなぁと思いつつ。言われた通りにした。まず、水晶玉に手をかざし、自分の能力を測るらしい。それで、自分の使える魔法の属性と個人特有属性がわかるらしい。特有属性というのは、火・水・木・光・闇の5種類の魔法属性とは異なる属性のことである。いろんなのがあるらしく、回復に特化した属性、火力底上げをする属性、敵の行動を制限させることができる属性などがある。
「結果は、わかりましたか?」
「なんだと……!?あんた、すげぇな。超レアな全属性の魔法を使え、さらには特有魔法として強化属性……。魔力はぼちぼちしかないみたいだから、地道に修行して高めるといいかな。完成体にあんたがなったら、全冒険家を追い抜く最強冒険家になれるぞ。」
え?まじかよ……。願いが叶ったあああああ!でも、魔法の撃ち方とか強化はどうやったらできるとかわからんのよなぁ……。
「教えていただき感謝です!修行に敵したところはないですか?」
「そうだな……。魔王軍の領域と接してしまうが、『ゴルンザレス村』というところをすすめる。接しているだけあって、かなり的確に、教えてくれるし実戦も積むことができるし、強力な冒険家だらけだからな。」
「そうですか……。ありがとうございます!」
俺は、ゴルンザレス村というとこがわからないので地図みたいなの無いかなぁ……。と、歩き回ってた。でも、見つからない。なので、グリザイアは用事が砂漠地帯にあると言ってたはずなのでそこに行ってグリザイアに聞くことにした。
――かなり歩いた。半日ぐらいかかった。そして、グリネイト・シャークと戦っているグリザイアをようやく発見できた。グリネイト・シャークだけども、かなり図体がでかく、グリザイアは苦戦しているようだ。
「あいつが苦戦するほどのなのか……。あっ!?」
俺が叫んだ理由は、グリザイアがグリネイト・シャークの一撃に耐えきれず、転倒したからだ。
「このままじゃ恩人が殺られてしまいかねない……。なにか、なにか俺にできること……。」
俺は、アルタレス街からでる前に装備を揃えといてある。グリザイアは、小さい周りのグリネイト・シャークにも数の圧倒的差で追い詰められていた。デカ物に攻撃するも硬いのか、弾かれる。
「くそっ、どうしよ……。どうしよ……。」
俺は、もう迷うことなく一心不乱に、グリネイト・シャークの横を綺麗にスライスしていく感じを思い描き、突進した。
お願い……。俺のちっぽけな火力を奴を斬り伏せられるような一撃まで上げてくれ……。
俺は、精一杯イメージした。奴の倒れるざままで。そして、ついになにやら剣に温かさを感じたと思ったのも束の間。グリネイト・シャークは気付いたら、真っ二つになっていて紫色の小さな石になった。
「……。」
「……。」
俺とグリザイアは沈黙した。
それを破ったのは残ったグリネイト・シャークの残党。俺は、綺麗に切り裂きついに倒し尽くした時には、強化属性のバフは終了していた。
「お、おい。今のは、一体なんなんだ?見たことない力のようだったが。あと、助けてくれてありがとう。これで、お互い様か……。」
「命の恩人を死なせるわけにはいかないからな。」
「優しいな、おまえ。ありがとう。」
「ああ。ところで、ゴルンザレス村というのはどこにある?魔法の出し方とかわからないから修行に行きたい。」
「やめておけ。あそこは、修行の聖地として、かなり有名だが。実戦を詰めるというのは魔王軍の進行が始まった時に、それと戦える冒険家を徴収するからなんだ。修行なら俺に任せな。」
なるほど……。魔王軍と戦えるからこそ強くなれるのか。
「わかった。グリザイアに教えを乞う。お願いします。」
こうして、俺はグリザイアの元で1年に渡る修行をすることになった。だが、修行開始の前に彼はこう告げた。
「タカヤ。お前に話があるんだ。今俺らのいるアルタレス街に魔人がいることが判明した。その結論にいたった理由は、魔獣だ。
魔獣はな、魔王の手によって普通の動物が魔化したやつなんだ。それに、魔人の中でも魔術師の類いはそれと同じ力を使える。恐らく、アルタレス街の魔人は魔術師だ。そして、今日。俺は、別の魔人討伐に向かう。近くの活火山にある街が魔人に襲われたらしいからな。おまえは、アルタレス街の魔人をマークしててくれ。アルタレス街は、100年前に伝染病による影響でたくさんの死者が出た。それは恐らく魔人による虐殺だと思っているんだ。今日でちょうど100年と聞く。恐らく今夜決行されるはずだから油断するなよ。あと、討伐は今夜しかチャンスが無いと思え。住人として溶け混んでいるから見つけるのか難しいからな。」
「わかった。長い説明ありがとな。」
俺は、グリザイアと別れアルタレス街へ戻り 一人グリザイアの家で剣の練習をしていた。
――そして夜のとばりが訪れた。
俺は、夕飯を終えたあと装備をイメージの力で空中の中にある空間に置き。そのまま眠りについた。
――俺が眠っているころ街では。
「クククッ。フハハハ!いよいよ100年経ったわね……。魔力供給のお時間ね。私に、たくさんの魔力をちょうだい。」
そして、高笑いをした魔人はたくさんの人を殺しては、魔力を喰らって喰らいまくった。
ついに、グリザイアの家に魔人は訪れる。
「フンっ。グリザイアはどこに行ったのかしら……。あの子の魔力は美味しいのに……。ん?誰かが眠っている……?彼……、グリザイアじゃない!?何者よ……。」
恐る恐る魔人は、寝ている少年の顔を覗き込み、呆れた顔で鉄のトゲトゲがたくさん付いてるムチを彼の心臓目掛けて突き刺した。血が飛び出た。すると彼は、起き上がる。
「な、なんか痛い……。ね、寝不足かな……?」
俺は、起きてから心臓辺りから血が出ていることを確認した。
「……。うわああああああ!」
「!?ちょ、いきなり騒がないでくれる!?」
俺は、声がした後ろを見た。そこには、美女でありながら悪魔めいた顔つきであった……。
「なっ……。もしかしてあんたが魔人……。」
魔人を初めて見た俺は、呆気に取られたまま彼女を見つめた――。
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