転生したら最強冒険家になれると思ってたのになれませんでした。

龍牙王鳳

第1話 初めての異世界

――ここは、どこなんだ。


俺は、眠っていたようで目を開けると、そこには見たことない物だらけだったので、自分の部屋ではない見知らぬ場所にいるらしい。辺りを見回すと、自分はなにやらデカい椅子に座っているらしく、下を見たら降りる段数の少ない階段があり、目の前には真っ直ぐ伸びているデカいテーブル。そこには、たくさんの椅子が置いてあった。よく見るとその椅子には、知らない人達……あれは人と呼べるのだろうか?少々疑問に思ってしまうがそれは置いといて、あとは獣も座っていた。


「……魔王様。敵軍100人の冒険家に我が軍は苦戦中のようですが、如何なさいましょうか?」


全く意味がわからない。俺が魔王ってことなのか?ってことは、世界征服のために戦っていると?そして、目の前にいる人と似ても似つかない美女がそんな物騒なことを言うなんてな。ここは、どう反応するべきか……。


「んー、そうだなぁ……。我が軍の兵力はどのくらいなんだ?今、冒険家と戦っている兵力のことだぞ。」


「え、魔王様……?もうお忘れなのですか?兵力は約20人です。その中に、幹部の魔人が一人います。彼は、魔獣を使役する魔術師なので彼がいる限り大丈夫かと思いますが、兵力が兵力なので苦戦中なのです。」


周りのどうやら魔人というらしい人に似ても似つかない者たちと、獣だと思っていた魔獣たちは彼女に目線を集めている。どうやら彼女はかなり優秀な人材らしいということがすぐにわかった。


「ふむ、なるほどな。増兵はしなくてもよい。兵が全員殺られても彼がいれば問題ないだろう。今攻めているとこを占領したら我が軍の領土はどのくらいになるのだ?」


「はい、かしこまりました。増兵はしないということですね。えっと、領土の件はですね今攻めている『アルコ村』というとこを占領するとこの国の半分の領土を獲得したことになります。」


え、俺の勢力ってそんなに強かったんだ……。いつの間にそんなに占領してたんだか。自分の勢力の圧倒的凄さに驚きつつ少しの間沈黙した。

――沈黙を破ったのは、突然この大広間にやってきた兵士だ。


「はあはあ、魔王様!ついに、冒険家100人を退け我られが勝利を収めました!」


「さすがだな。これで、半分の領土を獲得したということか。」


そして俺は、また深い眠りにつくのであった……。


――夜が明けた。今日もいつも通りの生活が始まると思っていたのだが……


「おーはーよ!孝也君!もう、学校行く時間だよ!」


こうして、明るく挨拶してくれる彼女は、幼馴染の斉藤美津留。今日は、俺の家までわざわざ来て起こしに来てくれたみたいだ。


俺の家は、東京都江東区のマンションである。お父さんは、俺が産まれる前に亡くなっていて、お母さんは、俺が中学生になったころに亡くなった。占い師によれば、俺の家系は死にやすいらしい。それでも、死んだら天国でも、地獄でもない、とある世界に飛ばされるらしい。これを世は、異世界転生というらしいんだ。もし、それがほんとに可能なら、俺は最強の勇者として転生したい。


「……。なにボーッとしているの?早く学校行くわよ。」


やっぱり美声だなぁ……と、感想を抱きながら俺は支度をして、学校へ向かった。


――学校が終わり、午後17時になった。

幼馴染の斉藤美津留は、「今日は生徒会関係の仕事があるから待たなくていいよ!」って言っていた。ちなみに言い忘れていたが、斉藤美津留は中学3年生である。生徒会長として、最後の仕事があるのだろう。ちなみに今日は、2022年10月10日。


俺は、学校から出ようとした時違和感を感じた。そう、今日死ぬではないかと思ってしまったのである。校門を出て、曲がり角を曲がった次の瞬間。


「あ、……。」


俺は、大型トラックに引かれた。そして、人々のキャーという叫び声がした。


――俺は、死んだのか。


深い眠りから覚めて、俺は目を開ける。

すると、辺り一面砂漠に覆われたとこにいたのだ。


「えっと、ここはどこなんだ?砂漠……?俺は確か……。あ、そういえばトラックに引かれて死んだんだっけ……、ってことはここは異世界!?」


最後の異世界!?で変な声が出てしまった。でも、誰に転生されたんだろ……。俺は、歩きながら考えていた。


後ろから俺に、迫ってくるのがいるとは知らずにただ考えごとをしていた。ついに、迫ってきていたものが飛び出し、俺を襲った。


「シャーーー!」


砂漠から出てきたと同時に、砂が大量に宙を舞った。


「!?なんだ、あの生き物……。俺を襲ってくるから肉食?あれは、どう見てもサメだよな?でも形が知ってるサメとはまるで違う……。体の左右に三角の形の手みたいなのが付いてる。」


「シャーーー!」


異生物のサメは、動きを止めることなく俺目掛けて突進してきた。そして、俺は噛まれた。

――痛い。とても痛い。


そして、俺の噛まれたとこからたくさんの血が出てくる。それが人間の血だからだろうか?サメの習性である、血の匂いで人間を襲うというのが今まさにこれだろう。その、血のおかげで、今まで静かに眠っていたサメたちが動きだし全員で襲って俺を喰い続ける。


「ああ……。俺の異世界生活は開幕初日で終了か……」


そう思っていた矢先、何者かの攻撃がサメたちに集中される。素早い剣による斬撃。サメたちは血を吹くことなく、この場から無数の光の小さな粒を出しながら消えていった……。


そこには、小さな紫色の石が置いてあった。


「よっ!大丈夫か?生きてるみたいでなによりだよ。あんたの名前を聞く前に俺の名前を言うのが礼儀だよな。俺の名前は、グリザイア。ホワイトスピーダーという二つ名を持つ。よろしく!」


イケボで白髪頭で右手に剣を携えてかなりの筋肉を誇るグリザイアという人物が目の前にいる。


「俺の名前は……。」


異世界での名前が思いつかない……。なので、俺は自分の苗字ではなく名前を使うと決めた。


「俺の名前は、タカヤだ。こちらこそ助けてくれてありがとう。よろしく。」


俺は、痛みを忘れ自己紹介をした。


――ここから、異世界生活は始まるのだった。

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